「2026年の熊本地震で売上が大幅に落ち込み、従業員をこのまま雇い続けられるか不安…」「熊本の取引先が被災して社員を一時的に受け入れたいが、コスト面が心配…」そんな声が全国の経営者・人事担当者から届いています。
実は、令和8年熊本地震の影響を受けた事業主が従業員を他社に出向させて雇用を維持する場合、賃金の最大5分の4(中小企業)または3分の2(中小企業以外)が最長1年間助成される制度があります。それが「産業雇用安定助成金(令和8年熊本地震災害特例人材確保支援コース)」です。
本記事では、令和8年10月22日に創設されたこの新制度の概要から支給額、申請要件、手続きの流れまで、西宮の社労士がわかりやすく解説します。
産業雇用安定助成金(令和8年熊本地震災害特例人材確保支援コース)とは?
産業雇用安定助成金(令和8年熊本地震災害特例人材確保支援コース)は、2026年に発生した熊本地震により事業活動が一時的に縮小した熊本県内の事業主が、在籍型出向を活用して従業員の雇用を維持する場合に、出向元・出向先の両事業主に対して出向中の賃金の一部を助成する制度です。
在籍型出向とは、出向元の企業に在籍したまま、出向先の企業で働く雇用形態です。出向元では一時的に人件費負担が軽減され、出向先では即戦力の人材を確保でき、従業員は雇用が継続されるという三者にとってメリットのある仕組みです。
令和8年10月22日に創設された新制度です。能登半島地震の特例コースとは別コースとして設けられており、熊本県内の被災事業主を支援することを目的としています。
支給対象となる事業主・労働者
出向元事業主(熊本県の被災事業主)
- 熊本県に所在する雇用保険適用事業所の事業主であること
- 令和8年熊本地震の影響を受けて事業活動が一時的に縮小していること
- 出向後に出向者を元の職場に復帰させることが前提となっていること
- 出向元と出向先の間に独立性があること(親子会社間の出向は原則対象外)
出向先事業主(従業員を受け入れる事業主)
- 全国どこでも、雇用保険適用事業所であれば対象(熊本県内に限りません)
- 出向元と独立した関係にある事業主であること
対象労働者
出向元で雇用される雇用保険被保険者が対象ですが、以下の方は除外されます。
- 雇用保険の被保険者資格取得後6か月未満の方
- 解雇予告がなされている方
- 退職願を提出している方
支給額・助成率
出向中の賃金の一部が以下の割合で助成されます。
| 企業規模 | 助成率 | 日額上限 |
|---|---|---|
| 中小企業 | 4/5(80%) | 9,110円 |
| 中小企業以外 | 2/3(約67%) | 9,110円 |
※上記の上限額は出向元・出向先の支給額の合計です。
具体的なシミュレーション(中小企業の場合):
- 対象労働者の賃金:日額8,000円
- 助成額:8,000円 × 4/5 = 6,400円/日
- 出向期間1年間(約260労働日)の場合:6,400円 × 260日 = 約166万円が助成
出向期間・申請対象期間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出向開始日 | 令和8年(2026年)10月1日 ~ 令和9年(2027年)9月30日 |
| 出向期間 | 1か月以上1年以内 |
| 助成期間 | 出向期間中(最長1年間) |
特例コースのため、出向開始日は遡って令和8年10月1日から適用されます。すでに10月から出向を開始している事業主も対象となる可能性があるため、早急に窓口に相談することをお勧めします。
通常コースとの比較
産業雇用安定助成金には通常の「産業連携人材確保等支援コース」や「スキルアップ支援コース」などがありますが、今回の特例コースとの主な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | 令和8年熊本地震 災害特例コース |
通常コース |
|---|---|---|
| 出向元の対象地域 | 熊本県のみ | 全国 |
| 出向の理由 | 地震による事業縮小 | 産業構造の変化など |
| 出向先の制限 | 全国どこでも可 | 条件あり |
| 助成率(中小) | 4/5(80%) | 4/5(80%) |
| 制度の背景 | 緊急・災害対応 | 通常の雇用政策 |
申請の流れ
- 出向計画の策定:出向元・出向先で協議し、出向契約書を作成する
- 窓口への事前相談:都道府県労働局またはハローワークに相談し、必要書類を確認する
- 支給申請書の提出:必要書類を揃えて申請窓口に提出する
- 審査・支給決定:労働局が申請内容を審査し、支給決定通知が届く
- 助成金の受給:支給決定後、指定口座に振り込まれる
主な必要書類
- 出向契約書(写し)
- 就業規則(出向規程を含む)
- 出向者の雇用保険被保険者資格取得届(写し)
- 出向中の賃金台帳(実績証明)
- 令和8年熊本地震の影響を示す書類(売上比較資料など)
※書類の詳細は管轄の都道府県労働局またはハローワークにご確認ください。
受給にあたっての注意点
- 出向終了後の復帰が前提:出向後に労働者が元の職場に戻ることが条件です。出向を機に解雇・退職させることはできません。
- 独立性の確認が必要:出向元・出向先が親子会社・関連会社の場合は対象外となる可能性があります。
- 出向開始前の手続き確認を:助成金申請に出向開始前の手続きが必要な場合があります。既に出向を開始している場合は早急に窓口へ相談してください。
- 他の助成金との調整:雇用調整助成金など他の助成金と同一の出向について重複受給はできません。
まとめ
産業雇用安定助成金(令和8年熊本地震災害特例人材確保支援コース)のポイントをまとめます。
- ✅ 令和8年熊本地震で事業縮小した熊本県の事業主が対象(出向元)
- ✅ 在籍型出向により従業員の雇用を維持しながら、賃金の最大4/5(中小企業)を助成
- ✅ 出向先は全国どこでも対応可能
- ✅ 出向期間は最長1年間(令和8年10月1日〜令和9年9月30日開始分)
- ✅ 令和8年10月22日創設の新制度のため、早めの確認・申請が重要
被災した熊本県内の事業主の方はもちろん、熊本から従業員を受け入れることを検討している全国の事業主の方も、ぜひ活用をご検討ください。
詳細・最新情報は厚生労働省の公式ページをご確認ください:産業雇用安定助成金(令和8年熊本地震災害特例人材確保支援コース)|厚生労働省
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