「残業が続いて社員が疲弊している」「深夜に退勤して翌朝早くから出勤させているが、健康管理が心配」とお悩みの経営者・人事担当者の方はいませんか?
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)は、退勤から翌出勤まで一定の休息時間(勤務間インターバル)を設ける制度の導入に取り組む中小企業を最大150万円まで支援する助成金です。令和8年度は4月13日から11月30日まで交付申請を受付中です。
この記事では、西宮市の社会保険労務士が制度の概要・支給額・要件・申請方法をわかりやすく解説します。
この助成金でできること(まとめ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金の名前 | 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |
| 所管 | 厚生労働省・都道府県労働局 |
| 対象 | 中小企業事業主(労災保険適用) |
| 支援内容 | 勤務間インターバル導入に必要な設備・研修・コンサルティング費用を助成 |
| 助成率 | 対象経費の3/4(常時30人以下で一部事業は4/5) |
| 最大支給額 | 150万円(11時間以上・新規導入・労働者の1/2超に適用) |
| 令和8年度交付申請期限 | 令和8年11月30日(月)午後5時 |
勤務間インターバルとは?
「勤務間インターバル」とは、1日の勤務が終了してから翌日の勤務が開始するまでの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する制度です。
たとえば「11時間インターバル」を導入した場合、深夜0時まで残業した従業員は翌日午前11時より前には出勤させることができなくなります。これにより、十分な睡眠時間と生活時間が確保され、過重労働・過労死のリスクを大幅に低減できます。
2019年4月の働き方改革関連法施行により、労働時間等設定改善法に基づく「努力義務」とされましたが、まだ多くの中小企業では導入が進んでいないのが現状です。
対象となる事業主の要件
以下のすべてを満たす中小企業事業主が対象です。
- 労災保険の適用事業主であること
- 業種別の中小企業規模要件(下記参照)を満たすこと
- 全事業場で年次有給休暇管理簿を作成していること
- 常時10人以上の事業場では就業規則に年次有給休暇の時季指定規定を設けて労基署へ届出済みであること
- 勤務間インターバルが未導入または不十分な事業場があること(既に11時間以上を全員に適用済みの事業場は対象外)
中小企業の業種別規模要件
| 業種 | 資本金 | または常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他(製造業など) | 3億円以下 | 300人以下 |
支給額の詳細(成果目標別)
助成額は「成果目標(導入するインターバルの時間・適用範囲)」によって異なります。
① 新規に勤務間インターバルを導入する場合
| インターバル時間 | 適用範囲(労働者の割合) | 助成上限額 |
|---|---|---|
| 9時間以上11時間未満 | 1/2超に適用 | 100万円 |
| 9時間以上11時間未満 | 1/4超〜1/2以下に適用 | 50万円 |
| 11時間以上 | 1/2超に適用 | 150万円 |
| 11時間以上 | 1/4超〜1/2以下に適用 | 75万円 |
② 既存の制度を拡大・延長する場合
既に一部の労働者に勤務間インターバルを導入している事業主が、適用範囲の拡大や時間の延長を行う場合も助成対象となります(上限額は50万円〜100万円)。
助成率
- 通常:対象経費の3/4
- 常時使用する労働者が30人以下で一部の改善事業の所要額が30万円超の場合:対象経費の4/5
対象となる経費(何に使えるか)
勤務間インターバルの導入・定着に向けた以下の費用が助成対象となります。
- 研修費:管理職・従業員向けの労働時間管理研修
- コンサルティング費:就業規則の作成・変更に関する社労士等へのコンサルティング費用
- 労務管理ソフトウェア導入費:勤怠管理システムや労働時間見える化ツールの導入費用
- 労務管理用機器:ICカードリーダーやタイムレコーダーなど
- デジタル式運行記録計:運送業など車両を使う業種での導入
- 生産性向上のための設備・機器:業務効率化により残業削減につながる設備
※注意:乗用自動車や汎用パソコン・タブレット・スマートフォンの導入・更新は原則として対象外です。
申請の流れ(令和8年度)
- 交付申請(令和8年4月13日〜11月30日):様式第1号で都道府県労働局へ申請。Jグランツ(電子申請)も可。
- 交付決定の通知受領:審査後に交付決定通知書が届きます。
- 改善事業の実施(交付決定日〜令和9年1月31日):就業規則の改定・届出、研修・システム導入などを実施。
- 実績報告書の提出:事業完了後30日以内または令和9年2月5日のいずれか早い日まで。
- 支給申請:実績報告書に基づき労働局が審査・支給額を決定。
ポイント:交付決定前に着手した経費は助成対象外となります。必ず交付決定後に着手してください。
導入の具体的なステップ
勤務間インターバルを導入する際は、以下の流れで進めると効率的です。
- 現状の労働時間を把握:深夜帰宅・早朝出勤が発生している部署・職種を特定する。
- 目標インターバル時間を設定:9時間以上か11時間以上かを決定する(助成上限額が変わります)。
- 就業規則に規定を追加:始業・終業時刻の変更ルールを明記。社労士に依頼するのが確実。
- 勤怠管理システムを整備:インターバルが確保されているかをリアルタイムで把握できる仕組みを構築。
- 管理職・従業員への周知:制度の目的とルールを全員に説明し、定着を図る。
よくある質問
Q. 勤務間インターバルを導入すると、終業時刻が遅くなった場合に翌日の始業時刻を遅らせる必要がありますか?
A. はい。たとえば「11時間インターバル」を設定した場合、前日の終業時刻が23時であれば、翌日の始業時刻は午前10時以降となります。ただし、繁忙期の例外規定を設けることも可能です(就業規則への明記が必要)。
Q. 複数の事業場を持つ会社は、すべての事業場に導入しないといけませんか?
A. 一部の事業場(指定事業場)を対象に申請することが可能です。ただし、成果目標で指定した事業場については確実に導入する必要があります。
Q. 既に9時間のインターバルを一部の従業員に適用している場合は申請できますか?
A. 適用範囲の拡大(対象者を増やす)や時間の延長(9時間→11時間)を行う場合は申請できます。ただし、全ての対象労働者に既に11時間以上のインターバルを適用している場合は対象外となります。
Q. 就業規則の変更費用(社労士報酬)も助成対象ですか?
A. はい。コンサルティング費用として助成対象に含まれます。
注意点・申請のポイント
- 交付決定前の着手は不可:交付決定通知書を受け取る前に就業規則を改定したり、設備を購入しても助成対象外となります。
- 成果目標の未達は支給額が減額:申請した成果目標を達成できなかった場合、支給額が減額されることがあります。
- 年次有給休暇の整備が前提:有給休暇の管理簿作成と、10人以上の事業場では就業規則への時季指定規定の記載・届出が必要です。未整備の場合は先に整備が必要です。
- 申請期限厳守:令和8年11月30日(月)午後5時が交付申請期限。余裕をもって準備しましょう。
まとめ:勤務間インターバルは健康経営の第一歩
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)は、従業員の健康を守りながら会社の生産性を向上させるための制度です。最大150万円の助成が受けられるこの機会を活用して、過重労働防止と健康経営の実現を目指しましょう。
「自社が対象になるか確認したい」「就業規則の改定も一緒に依頼したい」という方は、西宮市の社会保険労務士事務所にお気軽にご相談ください。助成金の申請支援から就業規則の整備まで、ワンストップでサポートいたします。
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