キャリアアップ助成金「賃金規定等改定コース」とは?
パートタイマーや契約社員などの非正規社員の給与を引き上げた事業主に、国から助成金が支給される制度が「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」です。
最低賃金の引き上げや物価上昇により、人件費の増加を懸念する中小企業も多いと思います。しかし、賃上げに取り組んだ場合にはこの助成金を活用することで、コストの一部を補填できます。社労士として、ぜひ積極的に活用していただきたい制度です。
対象となる事業主・労働者
対象事業主
- 雇用保険の適用事業主
- キャリアアップ計画を策定し、労働組合等の意見を聴いて提出していること
- 非正規社員の賃金規定等を改定し、3%以上増額していること
対象となる労働者
- 有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者(いわゆる非正規社員)
- 賃金改定日の前日から遡って3か月以上継続して雇用されていること
- 改定後も6か月以上継続して雇用されること
※ 1事業所あたり年度ごとに上限100人まで支給されます。
支給額(2026年度)
賃金の引き上げ率に応じて、1人あたりの支給額が変わります。
| 引き上げ率 | 中小企業(1人あたり) | 大企業(1人あたり) |
|---|---|---|
| 3%以上4%未満 | 4万円 | 2.6万円 |
| 4%以上5%未満 | 5万円 | 3.3万円 |
| 5%以上6%未満 | 6.5万円 | 4.3万円 |
| 6%以上 | 7万円 | 4.6万円 |
加算措置(さらにもらえる場合)
以下の取り組みをあわせて行うと、1事業所につき1回限り20万円(大企業15万円)が加算されます。
- 職務評価の手法を活用して賃金規定等を増額改定した場合
- 有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合
たとえば、非正規社員10人の賃金を5%以上6%未満引き上げ、昇給制度も新設した場合、
6.5万円 × 10人 + 20万円 = 85万円の助成金を受け取ることができます。
申請の流れ
- キャリアアップ計画を作成・提出:取り組み実施前に、労働組合等の意見を聴いたうえで都道府県労働局に提出します(令和7年度からは届出のみで可)。
- 賃金規定等を改定して実施:就業規則や賃金規程を改定し、実際に3%以上の賃金引き上げを行います。
- 引き上げ後6か月分の賃金を支払う:改定後6か月間は継続して新賃金を支払います。
- 支給申請:6か月分の賃金支払い完了翌日から2か月以内に、管轄の労働局またはハローワークへ申請します。書類持参、郵送、電子申請のいずれかで受け付けています。
注意点・よくある落とし穴
- 事前のキャリアアップ計画提出が必須:賃金改定前に計画を出していないと対象外になります。必ず先に手続きしてください。
- 3か月以上の雇用実績が必要:新しく採用した従業員はすぐには対象になりません。
- 就業規則への明記が必要:口頭での賃上げではなく、賃金規程・就業規則に明記する必要があります。
- 最低賃金との関係:最低賃金の改定で自動的に引き上げた場合は対象外です。事業主が自発的に3%以上増額することが条件です。
まとめ:賃上げと助成金活用で好循環を
人手不足が続く中、優秀なパートや非正規社員を長く働いてもらうためには賃上げが欠かせません。キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)は、その賃上げコストを国が一部負担してくれる制度です。
「賃上げしたいけど経営への影響が心配」というお悩みをお持ちの事業主様は、ぜひこの助成金の活用をご検討ください。申請手続きや就業規則の整備については、お気軽に当事務所にご相談ください。




