「事業再構築補助金やものづくり補助金に採択されたが、肝心の人材が確保できない」「新しい事業に必要な専門人材を正社員で採用したいが、コストが心配」――そんな悩みをお持ちの経営者・人事担当者の方に知っていただきたいのが、産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)です。
この助成金は、補助金採択を受けて事業転換を図る事業主が、専門的な知識・スキルを持つ人材を新規で正規雇用する際に、最大1人250万円(中小企業)を支給する制度です。
今回は、西宮市の社会保険労務士事務所「たけだリフテック社労士事務所」が、この助成金の概要・対象要件・支給額・申請方法をわかりやすく解説します。
産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)とは?
産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)とは、「事業再構築補助金」または「ものづくり補助金」の交付決定を受けた事業主が、業績低下を抱えながらも生産性向上のために専門的人材を正規雇用した場合に、国が雇用費用の一部を助成する制度です。
景気変動や産業構造の変化により事業活動が縮小した企業が、補助金を活用した事業再構築の過程で必要な人材を確保しやすくするために、厚生労働省が令和5年11月29日に創設しました。
どんな企業・労働者が対象?
対象事業主の要件(すべて満たすこと)
- 補助金の採択:以下のいずれかの交付決定を受けていること
- 事業再構築補助金(第12回・第13回公募の「成長分野進出枠」)
- ものづくり補助金(第17回以降の公募の「製品・サービス高付加価値化枠」)
※いずれも、事業計画に「人材確保に関する事項」の記載が必要です
- 業績低下:生産量・販売量・売上高などが前年同期比で10%以上減少していること
- 解雇回避:新規雇用の6か月前から申請までの間に、事業主都合で解雇を行っていないこと
- 派遣抑制:派遣労働者数が前年同期比で「5%超の削減(中小企業は10%超)かつ一定数以上の削減」を行っていないこと
対象労働者の要件
- 雇用形態:雇用保険の一般被保険者として、期間の定めのない労働契約(無期雇用)で採用すること
- 職務内容:以下のいずれかに該当する業務に従事すること
- 専門的な知識・技術が必要な企画・立案・指導業務
- 部下を指揮監督する係長相当職以上の監督業務
- 賃金水準:1年間に350万円以上の賃金が支払われる者(基本給・諸手当のみ、時間外手当は除く)
- 雇用時期:補助事業実施期間内に雇い入れること
支給額はいくら?
| 企業規模 | 1人あたり支給額 | 支給方法 | 最大5人採用した場合 |
|---|---|---|---|
| 中小企業 | 250万円 | 125万円 × 2期 (6か月ごとに支給) |
最大1,250万円 |
| 中小企業以外 | 180万円 | 90万円 × 2期 (6か月ごとに支給) |
最大900万円 |
※ 1事業主あたり最大5人まで支給対象となります。中小企業なら最大1,250万円の助成が受けられます。
「中小企業」の定義は?
| 業種 | 資本金 | または 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
申請の流れ(ステップ別に解説)
- 【STEP1】補助金の採択・交付決定を受ける
事業再構築補助金またはものづくり補助金の対象枠に応募し、交付決定を受けます。このとき、事業計画に「人材確保に関する事項」を必ず記載しておく必要があります。 - 【STEP2】要件を満たす専門人材を無期雇用で採用する
補助事業実施期間内に、対象となる職務・賃金水準を満たす労働者を期間の定めのない契約で雇い入れます。 - 【STEP3】雇入れから6か月後に第1期の支給申請を行う
雇入れ後6か月が経過したら、都道府県労働局またはハローワークへ第1期分の支給申請書を提出します。電子申請は「雇用関係助成金ポータル」からも可能です。 - 【STEP4】さらに6か月後に第2期の支給申請を行う
雇入れから12か月が経過した時点で第2期の申請を行います。両期の申請が完了することで、1人あたりの全支給額が受け取れます。
申請窓口:都道府県労働局・ハローワーク、または「雇用関係助成金ポータル」(電子申請)
他の産業雇用安定助成金コースとの違い
| コース名 | 主な対象 | 支給額(中小) |
|---|---|---|
| 産業連携人材確保等支援コース(本コース) | 事業再構築補助金・ものづくり補助金採択企業が専門人材を新規採用 | 250万円/人 |
| スキルアップ支援コース | 在籍型出向でスキルアップし、復帰後に賃金5%以上向上 | 出向賃金の2/3 (上限1,000万円/年度) |
| 災害特例人材確保支援コース | 自然災害等で被害を受けた事業主が人材を確保 | 250万円/人 |
よくある質問
Q. 事業再構築補助金は何回目の採択でも対象になりますか?
A. いいえ。対象は第12回・第13回公募の「成長分野進出枠」の採択に限られます。それ以外の回や枠では対象外になります。ものづくり補助金は第17回以降の「製品・サービス高付加価値化枠」が対象です。
Q. 年収350万円の根拠はどこで確認するのですか?
A. 労働契約書や賃金規程で確認します。基本給・各種手当(時間外手当を除く)の合計が年350万円以上であることを書面で証明できることが必要です。
Q. 採用後に売上が回復しても申請できますか?
A. 雇入れ時点で前年同期比10%以上の業績低下があれば、その後に回復しても申請は可能です。ただし、要件の判定時期については最新のパンフレットや労働局への確認をお勧めします。
Q. 同じ人材に対して他の雇用関係助成金と併用できますか?
A. 一部の助成金との併用は制限される場合があります。特定求職者雇用開発助成金など、雇入れに関する他の助成金との併給制限がないか、申請前に労働局へ確認してください。
まとめ:補助金採択企業の人材確保に最適な助成金
産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)のポイントを整理しておきましょう。
- ✅ 事業再構築補助金・ものづくり補助金採択企業が対象
- ✅ 専門的人材(年収350万円以上・無期雇用)を採用すると1人最大250万円(中小企業)
- ✅ 最大5人まで対象 → 最大1,250万円の助成
- ✅ 6か月×2期に分けて支給されるため、採用コストの長期負担を軽減
- ✅ 電子申請(雇用関係助成金ポータル)対応
ただし、対象となる補助金の枠や採択回次が限定されているため、自社が対象かどうかの確認が重要です。また、申請書類の準備や要件の確認には専門的な知識が必要です。
「自社が対象になるか判断できない」「手続きを代行してほしい」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
たけだリフテック社労士事務所にお任せください
西宮市のたけだリフテック社労士事務所では、産業雇用安定助成金をはじめとする各種雇用関係助成金の申請サポートを行っています。要件の確認から申請書類の作成・提出まで、ワンストップで対応いたします。
初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。




