「育児中の社員が働きやすい制度を整えたいけど、費用の負担が心配……」そんな悩みを持つ中小企業の事業主の方に、ぜひ知っておいていただきたい助成金があります。
それが「両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)」です。
この記事では、西宮市の社会保険労務士が、この助成金の対象となる制度・支給額・申請要件・申請の流れをわかりやすく解説します。
両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)とは?
育児中の従業員が、自分のライフスタイルに合った働き方を選べるよう、フレックスタイム・テレワーク・短時間勤務などの制度を2つ以上導入した中小企業に対して助成金を支給する制度です。
2025年(令和7年)4月に新設されたコースで、従業員が実際に制度を利用した実績があれば1人あたり最大25万円が支給されます。年度内に最大5名分(延べ)まで申請できるため、最大125万円+加算を受け取れる可能性があります。
支給額はいくら?
| 導入した制度の数 | 支給額(利用者1人あたり) |
|---|---|
| 2つ | 20万円 |
| 3つ以上 | 25万円 |
上限:年度内につき延べ5名まで
また、自社の育休取得状況を「両立支援のひろば」で公表した場合は、2万円の加算(1回限り)を受け取ることができます。
対象となる5つの制度
以下の5種類の制度のうち、2つ以上を導入することが支給の前提条件です。就業規則または労働協約に規定しておく必要があります。
① フレックスタイム制度・時差出勤制度
従業員の申し出により、始業・終業時刻を柔軟に調整できる制度です。所定労働時間は変更せず、出退勤の時間帯だけを変えることができます。子の送り迎えや通院対応に活用できます。
② 育児のためのテレワーク
週または月の半分以上、在宅勤務が可能な制度です。時間単位でのテレワークも認められます。育児中の従業員が自宅で仕事をしながら子育てできる環境を整えることができます。
③ 短時間勤務制度
1日の所定労働時間を平均1時間以上短縮する制度です。育児期間中に通常より短い時間で勤務でき、育児と仕事の両立を支援します。
④ 保育サービスの手配・費用補助
ベビーシッターなどの保育サービスの手配および費用補助を行う制度です。補助額の要件は次のいずれかを満たす必要があります。
- 従業員負担の5割以上かつ3万円以上を会社が補助する
- 10万円以上を補助する
⑤ 休暇制度(看護・養育に使える有給休暇)
子の養育のために使える有給休暇を年10日以上付与する制度、または法定を上回る看護休暇制度を整備する制度です。時間単位での取得も認められます。
対象事業主の要件
以下の要件をすべて満たす中小企業事業主が対象です(大企業は対象外)。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 上記5つの制度のうち2つ以上を就業規則・労働協約に規定していること
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・届出していること
- 育児中の従業員との面談を実施し、「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」を作成すること
- 対象者が制度利用開始から6カ月以内に一定の利用基準を満たすこと
- 制度利用期間中および支給申請日時点で、対象者が雇用保険の被保険者であること
申請の流れ
- 制度を整備する:5つの制度のうち2つ以上を就業規則または労働協約に規定する。一般事業主行動計画も策定・届出を済ませておく。
- 対象者に制度を周知・面談を実施:育児中の従業員に制度内容を周知し、上司等と面談を行う。面談結果を「面談シート」に記録する。
- 「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」を作成:対象者ごとに個別の支援プランを作成し、利用する制度を1つ選んでもらう。
- 従業員が6カ月間、制度を利用:利用開始から6カ月間、選択した制度を利用する。この間も雇用保険被保険者の資格を維持する必要がある。
- 6カ月経過後2カ月以内に支給申請:制度利用期間の翌日から2カ月以内に、管轄の都道府県労働局へ支給申請書を提出する。
他の育児関連助成金との違い
従来の「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)」は育休取得・復帰支援に特化していましたが、この柔軟な働き方選択制度等支援コースは育休後も含めた日常の働き方全体を支援します。育休から復職した従業員が長く働き続けられる環境づくりへの補助として、セットで活用するのがおすすめです。
まとめ
両立支援等助成金(柔軟な働き方選択制度等支援コース)のポイントをまとめます。
- ✅ 中小企業のみが対象
- ✅ フレックス・テレワーク・短時間勤務・保育費補助・休暇制度のうち2つ以上を導入することが条件
- ✅ 従業員1人あたり最大25万円、年度内最大5名まで申請可能
- ✅ 情報公表で2万円加算あり(1回限り)
- ✅ 従業員が6カ月間制度を利用した後、2カ月以内に都道府県労働局へ申請
制度の導入や就業規則の整備、申請書類の作成は専門知識が必要です。西宮市の社会保険労務士事務所・SR武田事務所では、両立支援等助成金の申請サポートを行っています。お気軽にご相談ください。




