「うちのパート社員に障害があるんですが、正社員にしたら何か助成金がもらえますか?」
こんな質問を、西宮市の事業主からよくいただきます。
答えは「はい、もらえます」です。
厚生労働省のキャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)を活用すれば、障害のある有期契約社員(パート・アルバイト)を正社員に転換したとき、最大90万円の助成金を受け取ることができます。
この記事では、西宮市の社会保険労務士が、制度の概要・支給額・支給要件・申請の流れをわかりやすく解説します。
- キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の概要
- 対象となる障害者の種類
- 3種類の転換措置と具体的な支給額
- 主な支給要件
- 申請の流れと注意点
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)とは?
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)は、障害のある有期雇用労働者を正規雇用に転換することで、その障害者の雇用促進と職場定着を図ることを目的とした助成金です。
事業主が障害のある有期契約社員を、一定の要件のもとで正規雇用(または無期雇用)に転換した場合に、国から助成金が支給されます。
厚生労働省が運営しており、令和8年度も引き続き受付中です。
障害者雇用促進法により、従業員が一定数以上いる企業は障害者を雇用する義務(法定雇用率:2.7%以上)があります。この助成金は、その法定雇用率達成だけでなく、障害者の安定した雇用・職場定着にも役立ちます。
対象となる障害者の種類
この助成金の対象となる障害者は、以下の通りです。支給額が「重度」と「重度以外」で異なるため、確認が必要です。
| 区分 | 対象となる障害者 |
|---|---|
| 重度 | 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者 |
| 重度以外 | 重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者 |
精神障害者は「重度」区分に含まれるため、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方を正規雇用に転換した場合は、より高額の助成金が支給されます。
3種類の転換措置
この助成金では、3種類の転換措置が対象となります。
| 転換の種類 | 内容 |
|---|---|
| ①有期雇用 → 正規雇用 | パート・アルバイト・契約社員(有期)を正社員(無期・フルタイム)に転換する |
| ②有期雇用 → 無期雇用 | 有期契約社員を無期契約社員(多様な正社員を含む)に転換する |
| ③無期雇用 → 正規雇用 | 無期契約社員を正規雇用(フルタイムの正社員)に転換する |
最も支給額が高いのは①有期雇用→正規雇用への転換です。まず無期雇用にした後に正規雇用へ転換する場合でも、②と③の両方の助成金を受け取ることが可能です。
支給額(中小企業の場合)
支給額は対象労働者の障害区分と転換の種類によって異なります。以下の表をご確認ください。
( )内は中小企業以外の額です。中小企業の方は( )外の金額が支給されます。
| 対象労働者 | 転換の種類 | 支給総額 | 第1期(6か月後) | 第2期!12か月後) |
|---|---|---|---|---|
| 重度身体障害者 重度知的障害者 精神障害者 |
有期→正規雇用 | 120万円(90万円) | 60万円 | 60万円 |
| 有期→無期雇用 | 60万円(45万円) | 30万円 | 30万円 | |
| 無期→正規雇用 | 60万円(45万円) | 30万円 | 30万円 | |
| 重度以外の身体・知的障害者 発達障害者 難病患者 高次脳機能障害 |
有期→正規雇用 | 90万円(67.5万円) | 45万円 | 45万円 |
| 有期→無期雇用 | 45万円(33万円) | 22.5万円 | 22.5万円 | |
| 無期→正規雇用 | 45万円(33万円) | 22.5万円 | 22.5万円 |
支給額は「支給対象期における労働に対する賃金の総額」を上限とします。つまり、助成金額が実際に支払った賃金を上回ることはありません。
主な支給要件
この助成金を受給するには、以下の主な要件を満たす必要があります。
1. キャリアアップ計画の事前届出
転換を行う前に、労働局またはハローワークに「キャリアアップ計画」を提出しておく必要があります。転換後に届け出ても受理されません。
2. 対象労働者の雇用期間
転換前に、対象となる障害者を有期雇用労働者として継続して雇用していた期間が3か月以上あること(転換直前に有期雇用として雇用している状態であること)が必要です。
3. 転換後の処遇改善
正規雇用への転換の場合は、転換前の賃金より3%以上増額して正規雇用することが必要です。
4. 雇用関係助成金共通の要件
- 雇用保険の適用事業主であること
- 申請前の一定期間に、事業主都合による解雇・雇い止め等がないこと
- 労働関係法令を遵守していること
- 助成金の不正受給等がないこと
キャリアアップ計画の事前提出が最大のポイントです。「とりあえず正社員にした後で申請できますか?」とよく聞かれますが、転換前の計画提出が必須です。転換を検討している場合は、早めに社労士や労働局へご相談ください。
申請の流れ
申請は主に以下の流れで行います。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP 1 | キャリアアップ計画の作成・提出 転換措置を実施する前に、労働局長に計画を届け出る |
| STEP 2 | 転換措置の実施 有期→正規(または無期)への労働契約の更新・締結 |
| STEP 3 | 第1期の支給申請 転換日から6か月後の習日から2か月以内に申請 |
| STEP 4 | 第2期の支給申請 転換日から12か月後の習日から2か月以内に申請 |
申請窓口は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークです。電子申請にも対応しています。
他の助成金との組み合わせ
この助成金は、他の制度と組み合わせて活用できます。
- 障害者雇用納付金制度の助成金(高齢・障害・求職者雇用支援機構)との併用
- 特定求職者雇用開発助成金と組み合わせた雇用支援
- 人材開発支援助成金を活用した職業訓練との組み合わせ
障害のある方を指用・育成・定着させるための複数の制度を組み合わせることで、企業の負担を大幅に軽減できます。
まとめ:障害者の正社員化で最大90万円
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のポイントをまとめます。
- 障害のある有期契約社員を正社員・無期社員に転換すると助成金が支給される
- 中小企業の場合、重度障害者等(精神障害者含む)の有期→正規転換で最大90万円
- 重度以外の障害者の有期→正規転換で最大80大90万円
- 転換前にキャリアアップ計画の事前届出が必須
- 令和8年度も引き続き受付中
「障害のある従業員を正社員にしたいけど、手続きが複雑そうで…」とお悩みの方は、みぞご相談ください。キャリアアップ計画の作成・提出から申請書類の準備まで、西宮市の社会保険労務士・武田が全面的にサポートします。
助成金の申請は、指用や転換の前に動き出すことが重要です。お気軽にお問い合わせください。
(参考)厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」




