従業員に長期の教育訓練休暇を取得させたいけれど、「その間、誰が仕事をカバーするのか」という問題で踏み切れないという経営者様は多いのではないでしょうか。
厚生労働省は令和8年4月8日、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)に「新規採用助成」と「職務代行助成」を新設しました。長期教育訓練休暇中の代替要員確保にかかるコストを国が助成する制度です。
ただし、この助成金は令和8年度(2026年度)が最終年度です。令和9年4月以降の継続は現時点で未確定であり、早期の活用が強く求められます。
人への投資促進コース「新規採用助成・職務代行助成」とは
「人への投資促進コース」は、デジタル人材の育成・高度人材への投資・定額制eラーニングなどを対象とする人材開発支援助成金のコースです。令和8年4月の改正で、長期教育訓練休暇の取得促進を目的として以下の2つの助成メニューが追加されました。
- 新規採用助成:休暇取得者の業務を代替するために新たな労働者を雇い入れ、または派遣労働者を活用した場合に助成
- 職務代行助成:既存の従業員に業務を代替させ、職務代行手当を支払った場合に助成
これらの助成は、「賃金助成」や「経費助成」に上乗せして受け取ることができます。
対象となる事業主
新規採用助成・職務代行助成は、中小企業のみが対象です。以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 雇用する被保険者(従業員)に対し、有給の長期教育訓練休暇を取得させた事業主
- 被保険者の業務を処理するために、新たに労働者を雇い入れ、または新たに労働者派遣の役務の提供を受けた上で、当該被保険者に長期教育訓練休暇を取得させた事業主(新規採用助成の場合)
- または、既存の従業員に業務を代替させ、職務代行手当を支払った事業主(職務代行助成の場合)
助成額
新規採用助成(代替要員を新規雇用または派遣受入した場合)
休暇の取得日数に応じた定額助成です。
| 長期教育訓練休暇の取得日数 | 助成額 |
|---|---|
| 30日以上90日未満 | 27万円 |
| 90日以上180日未満 | 45万円 |
| 180日以上 | 67.5万円 |
職務代行助成(既存社員に業務を代替させた場合)
職務代行手当の75%(月の上限16万円)が助成されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成率 | 職務代行手当の75% |
| 月の上限額 | 16万円/月 |
| 対象 | 中小企業のみ |
長期教育訓練休暇制度とは
「長期教育訓練休暇制度」とは、従業員が職業能力開発のために連続して7日以上(年間累計20日以上)取得できる有給の休暇制度です。「人への投資促進コース」では、この制度を新たに導入した事業主に「制度導入助成」が、制度を活用して実際に休暇を取得させた事業主に「賃金助成」が支給されます。
今回新設された「新規採用助成」と「職務代行助成」は、これらの助成に加えて受け取れる追加助成です。
1事業所あたりの支給上限
| 区分 | 1事業所・1年度の限度額 |
|---|---|
| 人への投資促進コース(成長分野等人材訓練除く) | 2,500万円(うち自発的職業能力開発訓練は300万円) |
| 成長分野等人材訓練 | 1,000万円 |
申請の流れ
人材開発支援助成金の申請は、原則として訓練開始前に「訓練計画届」を提出する必要があります。事後申請は認められていませんので、ご注意ください。
- STEP1:長期教育訓練休暇規程を就業規則等に整備する
- STEP2:代替要員の確保方法を決定する(新規採用 or 派遣受入 or 既存社員による職務代行)
- STEP3:訓練開始日の1か月前までに管轄の都道府県労働局へ「訓練計画届」を提出
- STEP4:長期教育訓練休暇を取得させる
- STEP5:訓練終了後2か月以内に支給申請書を提出
注意事項・よくある落とし穴
- 中小企業のみが対象:新規採用助成・職務代行助成は中小企業限定です。大企業は対象外となります。
- 令和8年度が最終年度:「人への投資促進コース」は時限措置であり、令和8年度(2026年度)が最終年度です。申請は2027年1月31日までに行う必要があります。
- 事前の計画届が必須:訓練開始後に申請しても受け付けられません。必ず訓練開始1か月前までに計画届を提出してください。
- 「有給」の休暇であること:通常の無給の休職では対象となりません。就業規則等に有給の長期教育訓練休暇として規定する必要があります。
- 助成対象となる訓練の制約:職業訓練に関係のない趣味・娯楽目的の訓練は対象外です。
社労士からのアドバイス:令和8年度中に活用を
「人への投資促進コース」は、スキルアップしたい従業員を抱える中小企業にとって非常に有利な制度です。これまでは「教育訓練休暇を付与したいが、人手が足りなくなる」という課題がありましたが、今回の新規採用助成・職務代行助成によって、その懸念が助成金でカバーできるようになりました。
ただし、令和8年度(2026年度)が最終年度であるため、活用できる期間は今年度末(2027年1月31日)までです。研修計画の策定から計画届の提出まで、通常1~2か月かかることを考えると、今すぐ着手することをお勧めします。
西宮市・芦屋市・宝塚市など兵庫県内の中小企業様で、従業員の育成に取り組んでおられる場合は、ぜひ一度ご相談ください。申請書類の作成から手続きのサポートまで、社会保険労務士が丁寧にご支援します。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金名 | 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)新規採用助成・職務代行助成 |
| 対象 | 中小企業(長期教育訓練休暇取得者の代替要員を確保した事業主) |
| 新規採用助成額 | 休暇日数に応じ27万〜67.5万円(定額) |
| 職務代行助成額 | 職務代行手当の75%(月上限16万円) |
| 申請窓口 | 管轄の都道府県労働局 |
| 有効期間 | 令和8年度(2026年度)が最終年度 |
本助成金の詳細は、厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)」のページをご確認ください。




