6月に入り、夏季休暇の計画を立て始める時期になりました。「従業員に有給休暇をしっかり取得させたいが、繁忙期とのバランスが難しい」とお悩みの経営者・総務担当者は多いのではないでしょうか。そこで今回は、年次有給休暇の「計画的付与制度」について、制度の概要から導入のメリット、就業規則への記載ポイントまでわかりやすく解説します。
年次有給休暇の計画的付与制度とは?
「計画的付与制度」とは、労使協定を締結することで、年次有給休暇のうち5日を超える部分について、会社が取得日をあらかじめ指定できる制度です(労働基準法第39条第6項)。
たとえば、従業員が10日の有給休暇を持っている場合、5日は従業員が自由に取得でき、残りの5日を会社が計画的に指定することができます。
2019年4月からは「年5日の有給休暇取得」が義務化されましたが、計画的付与を活用することでその義務を履行しやすくなります。
計画的付与の3つの方式
① 一斉付与方式
夏季・年末年始などに、全従業員一斉に有給休暇を取得させる方法です。製造業や小売業など、操業停止時にまとめて休暇を与えるケースに適しています。
② 交替付与方式
グループや部署ごとに交替で有給休暇を取得させる方法です。業務を止められないサービス業や医療・介護施設などで活用されています。
③ 個人別付与方式
従業員ごとに個別に計画を立てて取得させる方法です。各自の希望を尊重しつつ、計画的な取得を促したい場合に適しています。
導入のメリット
- 年5日取得義務の履行がしやすくなる:会社側が取得日を指定できるため、管理が容易になります。
- 業務計画が立てやすくなる:休暇の時期が事前にわかるため、人員配置や業務の段取りがスムーズになります。
- 従業員が取得しやすい環境づくり:「周囲に気を使って取れない」という空気をなくし、休暇取得が当たり前の職場文化を醸成できます。
- 労働基準監督署の指導リスク低減:年5日義務を会社主導で確実に履行できるため、是正指導を受けるリスクが下がります。
就業規則整備の3つのポイント
1. 労使協定の締結が必須
計画的付与制度を導入するには、事業場の過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)との書面による労使協定が必要です。協定には「対象者の範囲」「付与日数」「取得時季の指定方法」などを定めます。
2. 就業規則への明記
就業規則(または別規程)に計画的付与に関する条文を設けることが必要です。「会社は、労使協定に基づき、年次有給休暇の計画的付与を実施することができる」といった記載が基本となります。
3. 有給休暇が不足する従業員への対応
計画的付与日に有給休暇の残日数が不足する従業員がいる場合、特別休暇(有給)を与えるか、前倒し付与(繰上げ付与)をするかを就業規則に定めておく必要があります。
まとめ
年次有給休暇の計画的付与制度は、従業員の休暇取得を促進しながら、会社の業務計画もスムーズに進められる有効な仕組みです。夏季休暇の前に制度を整備しておくと、今夏からすぐに活用できます。
「就業規則への記載方法がわからない」「労使協定の作り方を教えてほしい」という場合は、ぜひ当事務所にご相談ください。
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