「業績悪化で人員削減を余儀なくされた…でも辞めてもらう社員のためにできることをしてあげたい」「リストラをするなら、せめて次の仕事が見つかるよう支援したい」——そんな経営者・人事担当者の方に知っていただきたいのが、早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)です。
この助成金は、事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる従業員に対して、事業主が積極的に再就職支援を行った場合に、その費用の一部を国が補助してくれる制度です。
西宮市の社会保険労務士事務所「たけだリフテック社労士事務所」が、この助成金の仕組みをわかりやすく解説します。
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)とは?
早期再就職支援等助成金の「再就職支援コース」は、事業の縮小・廃止・合理化などにより「再就職援助計画」の対象となった従業員(特定受給資格者になることが予想される方)に対して、事業主が自発的に再就職支援を行った場合に支給される助成金です。
具体的には、次の3つの支援措置が助成の対象になります:
- 再就職支援委託:民間の職業紹介事業者等に再就職支援を委託し、対象労働者が再就職を実現した場合
- 休暇付与支援:対象労働者に、求職活動のための有給休暇(特別休暇)を付与した場合
- 職業訓練実施支援:教育訓練施設等に訓練を委託し、対象労働者に職業訓練を実施した場合
離職せざるを得ない従業員への誠実な対応が、国の助成で費用負担を大幅に軽減できるのが、この制度の大きな特徴です。
どんな企業が対象になる?
以下の要件を満たす雇用保険の適用事業主が対象です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①再就職援助計画の認定 | 管轄のハローワーク(公共職業安定所)所長に「再就職援助計画」の認定を受けること、またはハローワークに「求職活動支援基本計画書」を提出すること |
| ②対象労働者の設定 | 特定受給資格者になることが予想される離職予定者(事業縮小・廃止・合理化等が理由) |
| ③支援措置の実施 | 職業紹介事業者への委託、休暇付与、職業訓練のいずれかを実施すること |
事業縮小・人員整理に直面している企業であれば、業種・規模を問わず広く活用できます。
いくら助成される?
① 再就職支援委託の場合(職業紹介事業者への委託)
職業紹介事業者等に再就職支援を委託し、対象者が再就職を実現した場合に、委託費用の一定割合が助成されます。
| 事業主区分 | 対象者が45歳未満 | 対象者が45歳以上 |
|---|---|---|
| 中小企業 | 委託費用の1/2〜2/3 | 委託費用の2/3〜4/5 |
| 中小企業以外(大企業) | 委託費用の1/4〜1/3 | 委託費用の1/3〜2/5 |
訓練加算(再就職支援委託に加えて訓練も実施した場合):
| 訓練時間 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 15万円 | 10万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
② 休暇付与支援の場合(求職活動のための特別休暇)
対象労働者が求職活動に専念できるよう有給の特別休暇を付与した場合に助成されます。
| 内容 | 助成額 |
|---|---|
| 付与した休暇1日あたり | 約5,000〜8,000円/日(最大180日分) |
| 早期再就職加算(離職日から3か月以内の再就職) | 10万円(1人あたり) |
③ 職業訓練実施支援の場合(訓練委託)
教育訓練施設に訓練を委託して対象労働者にスキルアップの機会を提供した場合:
| 区分 | 助成額 |
|---|---|
| 委託費用 | 委託費用の3/4まで |
| 訓練時間単価 | 480〜960円/時間(訓練内容により異なる) |
申請の流れ
- 離職予定者の確認:事業縮小・廃止等により離職を余儀なくされる従業員を確認します。対象は「特定受給資格者になることが予想される方」です。
- 再就職援助計画の認定申請:離職日の前日までに、管轄のハローワーク(公共職業安定所)に「再就職援助計画」の認定申請を行います。または、ハローワークへの「求職活動支援基本計画書」の提出でも対応可能です。
- 支援措置の実施:認定後、職業紹介事業者への委託・有給休暇の付与・職業訓練の実施など、計画に基づいて再就職支援を行います。
- 支給申請:支援措置が終了した日の翌日から2か月以内に、管轄の都道府県労働局に支給申請書を提出します。
- 支給決定・受取:都道府県労働局の審査後、指定口座に助成金が振り込まれます。
注意点・よくある落とし穴
- 事前の「再就職援助計画」認定が必須:再就職支援を始める前に、必ずハローワークで認定を受けてください。認定前の支援は対象外になります。
- 対象となる「離職予定者」の要件:倒産・解雇など事業主都合で離職する「特定受給資格者」になることが予想される方が対象です。自己都合退職者は基本的に対象外です。
- 委託先の職業紹介事業者の要件:委託先は、有料職業紹介事業の許可または届出を受けた適正な機関である必要があります。
- 申請期限に注意:支援措置終了後2か月以内という期限は厳格に守る必要があります。期限を過ぎると申請できなくなります。
- 書類の準備:委託契約書・実績報告書・休暇管理簿・訓練実施記録など、支援の実績を証明できる書類を整備しておくことが重要です。
まとめ:人員整理の際こそ、従業員への誠実な対応が大切
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)は、やむを得ず人員整理を行う事業主が、離職する従業員のために真摯に行動した場合に、国がその費用を一部肩代わりしてくれる制度です。
リストラを「終わり」ではなく「次へのサポート」と捉え、従業員が速やかに次の職に就けるよう支援することは、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。また、残留している従業員のモチベーション維持や、企業のブランドイメージ向上にも効果があります。
人員整理を検討されている企業様は、ぜひこの助成金の活用をご検討ください。申請手続きや要件の詳細については、西宮市の社会保険労務士事務所「たけだリフテック社労士事務所」にお気軽にご相談ください。




