令和8年度(2026年4月)から、両立支援等助成金が大幅に改正されました。出生時両立支援コースは中堅企業にまで対象が広がり、育休中等業務代替支援コースは支給期間・支給額が拡充。さらに、介護休暇の有給化という新区分が新設され、介護と仕事を両立させる職場環境づくりへの支援が充実しました。
「どのコースが変わったの?」「うちの会社は改正後に申請できるようになった?」という経営者・人事担当者の疑問に、西宮市の社会保険労務士事務所がわかりやすく解説します。
本記事では、令和7年度から令和8年度(2026年度)にかけての主な改正点4コースを比較表つきで整理しています。すでに各コースを活用されている方も、これから検討される方もぜひご確認ください。
令和8年度の両立支援等助成金改正|4コースの変更点を一覧で整理
令和8年度の両立支援等助成金は、4つのコースで拡充・変更が行われました。主な改正のポイントを一覧表にまとめます。
| コース名 | 主な改正内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①出生時両立支援コース | 対象企業を「常時雇用300人以下」に拡大 | 中小企業以外の中堅企業にも適用 |
| ②育休中等業務代替支援コース | 代替期間を最大24か月に延長・1年以上代替区分(81万円)を新設 | 長期育休もしっかり支援 |
| ③介護離職防止支援コース | 介護休暇有給化が独立した助成区分として新設(30万円) | 令和8年4月8日以降の規定整備が要件 |
| ④柔軟な働き方選択制度等支援コース | 子の看護等休暇有給化が独立区分に。障害児・医療的ケア児加算(20万円)新設 | 制度利用実績が新たに要件化 |
以下、各コースの改正内容を詳しく解説します。
① 出生時両立支援コース|300人以下の企業に拡大!中堅企業にも申請の門戸が開く
改正のポイント
令和8年度の最大の変更点のひとつが、出生時両立支援コース(いわゆる「子育てパパ支援助成金」)の対象企業の拡大です。
これまでは「中小企業」のみが対象でしたが、令和8年度からは「常時雇用する労働者が300人以下の事業主」であれば申請できるようになりました。中小企業の定義には当てはまらない中堅企業(例:製造業で従業員300人以下だが資本金が3億円超など)も対象となり、活用できる企業の幅が大きく広がっています。
支給額(改正後)
| 対象(男性従業員の育休取得) | 支給額 |
|---|---|
| 1人目の育休取得者 | 20万円 |
| 2人目・3人目の育休取得者 | 各10万円 |
追加変更:事実婚状態の労働者も対象に
令和8年度からは、男性育休取得率の算定にあたり、事実婚状態にある男性労働者の育児休業も対象となりました。多様な家族形態に対応した改正です。
この改正で「申請できるようになった」ケース
- 従業員数が例えば200人規模の製造業で、中小企業の資本金要件を満たさない会社
- 従業員300人以下の中堅サービス業(資本金・出資金が5,000万円超の会社など)
令和8年4月以降に男性従業員が連続5日以上の育児休業を取得した場合が対象です。自社が今回の拡大で申請対象に入るか否か、ぜひ確認してみてください。
② 育休中等業務代替支援コース|期間24か月に延長・1年以上代替で81万円の新区分
改正のポイント
育休中等業務代替支援コースは、育児休業中や育児のための短時間勤務中に、業務を代替する従業員に手当を支給した場合や新規雇用で代替した場合に助成が受けられるコースです。令和8年度は2つの大きな拡充が行われました。
拡充①:代替期間の上限を「最大24か月」に延長
これまで業務代替手当の助成対象期間は最大12か月でしたが、令和8年度からは最大24か月に延長されました。育児休業が長期化しても、継続して助成を受けることができます。
拡充②:「1年以上」の代替実績に81万円の新区分を新設
令和8年度からの新たな区分として、1年以上にわたって業務を代替した実績がある場合、事業主に追加で81万円が支給されます(プラチナくるみん認定事業主の場合はさらに増額)。
長期育休を職場全体でカバーした会社が、より手厚く評価される仕組みです。
また、企業規模要件が撤廃
令和8年度から企業の規模要件がなくなり、大企業でも申請できるようになっています(出生時両立支援コースと同様の改正方向)。
活用のポイント
- 業務代替手当は「周囲の社員への手当」と「新規雇用による代替」のどちらも対象
- 長期育休の見込みがある場合は、社内の代替体制と記録管理を早めに整備しましょう
- 1年以上の代替見込みがある場合は、81万円の追加支給を視野に計画的に申請を
③ 介護離職防止支援コース|令和8年度新設!介護休暇を有給化すると30万円
改正のポイント
令和8年度で特に注目度が高いのが、「介護休暇の有給化」への助成が独立した新区分として新設されたことです。
従来の介護離職防止支援コースは、介護休業の取得・職場復帰支援が主な内容でしたが、令和8年度からは「介護休暇を有給として取り扱う就業規則を整備した事業主」に対して、30万円が支給される新たな助成が設けられました。
介護休暇有給化支援の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額(基本) | 30万円(1回限り) |
| 有期雇用労働者加算 | +10万円 |
| 規定整備の要件 | 令和8年4月8日以降に「介護休暇を有給とする規定」を新たに整備すること |
| 利用実績の要件 | 対象労働者が介護休暇を10時間以上利用すること |
介護休暇とは?(育児・介護休業法上の制度)
介護休暇は、要介護状態の家族の介護等のために年5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで取得できる休暇です。法律上は無給でもよいとされていますが、今回の改正では「有給にする」取り組みを助成金でサポートするものです。
令和8年度で削除されたメニュー
一方、令和8年度から介護離職防止支援コースの対象から「所定外労働の制限制度」と「深夜業の制限制度」が外れました。これらは育児・介護休業法で企業に義務付けられている制度であるため、任意での導入助成の対象から除外されることになりました。
実務上のチェックポイント
- 現行の就業規則で介護休暇が「無給」となっている場合、今が有給化を検討するチャンスです
- 規定整備は令和8年4月8日以降に行う必要があります(遡及はできません)
- 規定整備後に実際に10時間以上の利用実績が必要なため、制度の周知・活用促進も重要です
④ 柔軟な働き方選択制度等支援コース|子の看護等休暇有給化が独立区分へ
改正のポイント
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、フレックスタイム制・テレワーク・育児短時間勤務など柔軟な働き方の制度を2つ以上導入した事業主を支援するコースです。令和8年度は整理と拡充の両面で改正が行われました。
①「子の看護等休暇制度有給化支援」が独立区分に
これまで対象メニューに含まれていた「法を上回る子の看護等休暇制度」が、令和8年度からは独立した区分(「子の看護等休暇制度有給化支援」)として整理されました。
また、子の看護等休暇の有給化については、対象労働者が実際に制度を利用したことが新たに支給要件として追加されました。就業規則の整備だけでなく、実際の利用実績の記録も必要です。
②「障害児・医療的ケア児」対応で20万円加算を新設
令和8年度から、子が障害児または医療的ケア児である場合に対応した制度を導入した事業主には、20万円の加算が設けられました。医療的ケアが必要な子を持つ労働者も安心して働き続けられる職場環境づくりへの支援が強化されています。
まとめ|令和8年度改正は「対象拡大+新設支援」がキーワード
令和8年度の両立支援等助成金の改正を振り返ると、大きく3つの方向性が見えます。
- ✅ 対象企業の拡大:出生時両立支援コースが従業員300人以下の企業全般に適用。これまで「中小企業ではないから申請できない」と諦めていた会社も対象になりました
- ✅ 支援内容の拡充:育休中等業務代替支援コースが期間・金額ともにパワーアップ。長期育休への対応を評価する「1年以上区分(81万円)」の新設は特に注目です
- ✅ 新区分の新設:介護休暇の有給化(30万円)や子の看護等休暇有給化支援の独立化など、従来カバーされていなかった領域への支援が厚くなりました
これらの助成金は申請期限や要件が細かく定められており、就業規則の整備タイミングを逃すと受給できないケースもあります。特に介護休暇有給化支援(令和8年4月8日以降の規定整備が要件)は、「知らなかった」では取り返しがつきません。
当事務所(西宮市の社会保険労務士事務所)では、両立支援等助成金の申請サポート・就業規則の整備をワンストップで対応しています。「自社が対象か確認したい」「就業規則の見直しと一緒に申請を進めたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は令和8年(2026年)8月時点の情報をもとに作成しています。助成金の要件・支給額は変更される場合がありますので、最新情報は厚生労働省のホームページまたは所轄労働局にてご確認ください。




