2026年10月から社会保険の適用拡大が進む中、短時間労働者を社会保険に加入させながら従業員の手取りを守る取り組みを支援する助成金があります。それがキャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)です。
この記事では、支給要件・支給額・申請手続きなど、社労士の立場からわかりやすく解説します。
この助成金とは?
キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)は、短時間労働者(パートやアルバイト等)を新たに社会保険に加入させるとともに、収入の増加につながる取り組みを行う事業主に対して助成する制度です。
社会保険に加入すると労働者側には保険料の自己負担が発生し、手取り収入が減少します。事業主が「社会保険適用促進手当」を支給したり、労働時間を延長して賃金を増やすことで、労働者の実質的な手取りを確保することが狙いです。
対象となる事業主・労働者
対象事業主
以下の要件を満たす事業主が対象です。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 短時間労働者を新たに健康保険・厚生年金保険に加入させること
- 「社会保険適用促進手当の支給」または「労働時間の延長」に取り組むこと
対象となる労働者
- 所定労働時間が週20時間以上30時間未満の短時間労働者
- 新たに社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入した労働者
- 雇用保険の被保険者であること
支給額(2026年度)
本コースには「手当等支給メニュー」と「労働時間延長メニュー」の2種類があります。
①手当等支給メニュー
「社会保険適用促進手当」等を支給して収入を増加させる場合に支給されます。
| メニュー | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 最大合計 |
|---|---|---|---|---|
| 手当等支給メニュー | 15万円/人 | 15万円/人 | 15万円/人 | 45万円/人 |
※2年目に3年目の取り組みを前倒しして実施した場合は、追加で30万円が加算されます。
②労働時間延長メニュー
所定労働時間を週30時間以上に延長して社会保険に加入させる場合に支給されます。
| 区分 | 支給額(1人あたり) |
|---|---|
| 中小企業 | 30万円 |
| 大企業 | 22.5万円 |
③両メニューの併用も可能
①手当等支給メニューと②労働時間延長メニューを組み合わせた「併用メニュー」もあり、最大限の助成を受けることができます。
支給額の計算例
例1(手当等支給メニュー):パート5人を社会保険に加入させ、3年間手当を支給した場合
→ 15万円 × 5人 × 3年 = 225万円
例2(労働時間延長メニュー、中小企業):パート3人の労働時間を週30時間以上に延長した場合
→ 30万円 × 3人 = 90万円
申請方法・手続きの流れ
- 計画届の提出(取り組み開始前)
電子申請(GビズIDが必要)またはハローワーク・都道府県労働局に提出 - 対象労働者を社会保険に加入させる
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を提出 - 社会保険適用促進手当の支給または労働時間の延長を実施
- 支給申請(支給申請期間内に実施)
申請書類と添付書類を都道府県労働局またはハローワークへ提出
注意点・令和8年3月末の期限について
本コースは、令和8年(2026年)3月末までに取り組みを開始した事業主が対象です。それ以降は新設される「短時間労働者労働時間延長支援コース」の活用が推奨されます。
2026年10月から社会保険の適用拡大により、従業員51人以上の企業でも週20時間以上の短時間労働者が加入対象となります。この機会に社会保険の整備と助成金の活用を合わせて検討しておきましょう。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金名 | キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース) |
| 対象 | 短時間労働者を新たに社会保険に加入させる事業主 |
| 支給額(手当支給) | 最大45万円/人(3年間) |
| 支給額(労働時間延長) | 中小企業:30万円/人 |
| 申請期限 | 令和8年3月末まで |
| 申請窓口 | 都道府県労働局・ハローワーク(電子申請可) |
2026年10月の社会保険適用拡大(51人以上企業が対象)に向けて、今すぐ制度整備と助成金活用の準備を始めましょう。
申請手続きや社内制度の整備については、お気軽に当事務所にご相談ください。
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