DX・AI時代を迎え、「社員のデジタルスキルを高めたい」「サブスクリプション型の研修サービスを導入したい」というお声を、西宮をはじめ多くの中小企業の経営者・人事担当者からいただきます。しかし研修費用の負担が重く、なかなか踏み切れないという企業も少なくありません。そのような課題を解決するのが、人材開発支援助成金(人への投資促進コース)です。本記事では、この助成金の概要・助成率・申請の流れを西宮の社会保険労務士がわかりやすく解説します。
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)とは
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)は、厚生労働省が運営する助成金で、デジタル人材・高度人材の育成や労働者の自発的な学び、定額制(サブスクリプション型)のeラーニング研修などを行う事業主に対して、訓練経費や賃金の一部を助成するものです。令和8年度が最終年度となる予定のため、現行の助成率を活用するラストチャンスでもあります。
対象となる事業主の主な要件
- 雇用保険の適用事業主であること
- 職業能力開発推進者を選任・届出していること
- 訓練開始日から遡って6か月前から申請日までの間に、訓練を受けさせる労働者を解雇していないこと
- 過去に不正受給がないこと
- 訓練実施計画届を訓練開始日の1か月前(定額制訓練は2週間前)までに提出すること
助成の対象となる5つの訓練メニュー
① 高度デジタル人材訓練
AI・IoT・ビッグデータ・クラウドなど、デジタル分野の高度な知識・技術を習得させる訓練です。「デジタル推進人材」として社内の中核を担う人材育成を想定しており、100時間以上の訓練が対象となります。中小企業は経費75%・賃金1,000円/時、大企業は経費60%・賃金500円/時が助成されます。
② 成長分野等人材訓練
国内外の大学院への通学など、成長分野に関連する高度な訓練が対象です。経費75%(別枠上限1,000万円)と手厚い助成が特徴で、グローバル・イノベーション人材の育成を後押しします。
③ 情報技術分野認定実習併用職業訓練(IT分野OJT)
IT分野でOJTと座学を組み合わせた訓練を実施する場合に助成されます。中小企業は経費60%(加算で75%)・賃金800円/時(加算で1,000円/時)が支給されます。
④ 自発的職業能力開発訓練
労働者が自ら受講を希望する資格取得・スキルアップ訓練を会社が支援した場合に助成されます。中小・大企業ともに経費45%(加算で60%)、1事業所1年度あたり上限300万円です。「従業員が自発的に学ぶ文化」を社内に根付かせたい企業に最適です。
⑤ 定額制訓練(サブスクリプション型eラーニング)
UdemyやLinkedIn Learningなどのサブスクリプション型研修サービスを導入・活用した場合に助成されます。中小企業は経費60%(賃金要件達成で75%)、大企業は45%(同60%)、受講者1人あたり月2万円が上限です。令和8年度から「すでに契約済みのサービス」も一定条件のもとで対象となる改正が加わりました。
助成率・助成額一覧
| 訓練メニュー | 中小企業(経費) | 大企業(経費) | 賃金助成(中小) | 主な上限 |
|---|---|---|---|---|
| 高度デジタル人材訓練 | 75% | 60% | 1,000円/時 | 年間2,500万円 |
| 成長分野等人材訓練 | 75% | 75% | 1,000円/時 | 別枠1,000万円 |
| IT分野OJT訓練 | 60〜75% | 45〜60% | 800〜1,000円/時 | 年間2,500万円 |
| 自発的職業能力開発訓練 | 45〜60% | 45〜60% | なし | 年間300万円 |
| 定額制訓練(サブスク型) | 60〜75% | 45〜60% | なし | 1人月2万円 |
※ 賃金要件(賃上げ)を達成した場合は上位の助成率が適用されます。1事業所1年度の総上限額は2,500万円(成長分野等人材訓練は別枠1,000万円)です。
申請の流れ
① 職業能力開発推進者の選任
まず自社の「職業能力開発推進者」(人事・教育担当の管理職など)を選任し、都道府県の職業能力開発協会へ届け出ます(未選任の場合は申請不可)。
② 訓練実施計画届の提出
訓練開始日の1か月前まで(定額制訓練は2週間前まで)に、管轄の都道府県労働局またはハローワークへ「訓練実施計画届」と必要書類を提出します。電子申請(雇用関係助成金ポータル)も利用可能です。計画届を提出せずに訓練を開始した場合は受給できませんので注意が必要です。
③ 訓練の実施・記録
承認された計画に基づき訓練を実施します。出席簿・修了証・領収書など証拠書類の保管が必須です。定額制訓練は受講者1人あたり標準学習時間10時間以上の修了が要件となります。
④ 支給申請書の提出
訓練終了後2か月以内に支給申請書と証拠書類一式を提出します。審査を経て支給決定通知が届き、指定口座へ振込となります。
令和8年度が最終年度!今年中に申請を
人への投資促進コースは令和8年度(2026年度)が最終年度となる予定です。令和9年度以降は現行の助成率・メニューでの継続は未定とされており、特に助成率の高いデジタル人材訓練・定額制訓練を活用したい企業は、年度内(令和9年3月末)までに計画届を提出することが実務上の重要なポイントです。来年度まで先延ばしにせず、今年中に動き出すことを強くお勧めします。
西宮の社労士からのアドバイス
人への投資促進コースは、サブスクリプション型のeラーニングサービスを導入している企業にとって特に活用しやすい助成金です。すでにUdemyやその他のオンライン研修を契約済みの企業も、条件を満たせば遡って申請できるケースがあります。また、定額制訓練であれば計画届の提出も比較的シンプルで、中小企業でも無理なく活用できます。
一方で、「訓練計画届の提出前に訓練を開始してしまった」「証拠書類の管理ができていなかった」といった理由で受給できないケースも多く見られます。申請前に社労士へご相談いただくことで、こうしたリスクを回避できます。西宮・阪神間で助成金の申請代行・コンサルティングを承っていますので、お気軽にご連絡ください。
まとめ
- 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)は、デジタル人材育成・定額制eラーニング・自発的訓練などを支援する助成金
- 高度デジタル人材訓練は中小企業で経費75%・賃金1,000円/時と助成率が高い
- 定額制訓練(サブスク型)は中小企業で60〜75%、1人月2万円上限
- 1事業所1年度の総上限は2,500万円
- 令和8年度が最終年度のため、計画届は年度内に提出を
- 申請要件・書類準備に不安がある場合は西宮の社労士へご相談を
▶ 参考:厚生労働省:人材開発支援助成金




