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【令和13年4月から強制適用!】小規模農林水産業の労災保険が義務化へ――「暫定任意適用事業」廃止と今から始める準備を西宮の社労士が解説


厚生労働省は労働政策審議会労災保険部会を開催し、令和8年7月に公布された労災保険法等改正法に関する政省令改正の方向性を明らかにしました。その中で特に注目すべき点が、小規模な農林水産業の労災保険が令和13年(2031年)4月1日から強制適用(義務化)になるという方針です。

現在、農業・林業・水産業の小規模事業者は「暫定任意適用事業」として労災保険の加入が任意とされています。しかし、この特例措置がついに廃止されることになりました。今回は、この重要な法改正の内容を農林水産業に携わる事業主の方へわかりやすく解説します。

そもそも「暫定任意適用事業」とは?

労災保険は、業務中や通勤中のケガ・病気・死亡に対して給付を行う国の保険制度です。原則として、労働者を1人でも雇用しているすべての事業主は加入が義務付けられています(強制適用)。

しかし、農業・林業・水産業については、事業の季節性や零細性などを考慮し、常時使用する労働者数が5人未満の個人経営の事業については、労災保険・雇用保険の加入を任意とする「暫定任意適用事業」という特例が設けられてきました。

この制度は労働保険制度が創設された昭和40年代から長年続いてきた「暫定的な」措置でしたが、今回の法改正で廃止が決定しました。

いつから、何が変わるのか?

今回の審議会で示された施行日は令和13年(2031年)4月1日です。

この日以降は、現在「暫定任意適用事業」として任意加入だった農林水産業の小規模事業者(常時5人未満の個人経営)も、労働者を1人でも雇用している限り労災保険・雇用保険への加入が法律上の義務となります。

区分令和13年3月31日まで令和13年4月1日以降
小規模農林水産業(常時5人未満・個人経営)任意加入(加入しなくてもよい)強制適用(加入義務あり)
その他の事業(製造業・サービス業など)強制適用強制適用(変更なし)

農林水産業の事業主が今すぐやるべきこと

「令和13年まで5年近くある」と思って放置するのは危険です。以下の準備を早めに進めましょう。

① 現在の加入状況を確認する

まず、自分の事業が労働保険(労災保険・雇用保険)に加入しているかどうかを確認してください。すでに任意加入している場合は、令和13年以降も引き続き加入が必要ですが、特に追加の手続きは不要です。未加入の場合は、義務化前に加入手続きを済ませる必要があります。

② 保険料の概算を把握する

労働保険料は、従業員に支払った賃金総額に保険料率をかけて算出します。農業の場合、労災保険料率は一般的に13/1000(1.3%)程度です。雇用保険料は労使で折半(事業主負担分は約9.5/1000)となります。コスト感を事前に把握しておくことが大切です。

③ 雇用契約書・労働条件通知書を整備する

労働保険に加入すると、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)との関係が生じます。雇用している方との労働条件を書面で明確にしておくことが重要です。いわゆる「口約束」による雇用は、後々トラブルの原因になりかねません。

④ 社会保険(健康保険・厚生年金)の確認もあわせて

なお、今回の義務化は労働保険(労災保険・雇用保険)に関するものです。社会保険(健康保険・厚生年金)については、農業などの個人事業主には適用されない場合もありますが(法人化している場合は別)、法人成りを検討している方は社会保険加入も視野に入れた準備が必要です。

同時に改正される関連事項

今回の労働政策審議会では、農林水産業の強制適用化以外にも以下の重要な改正方針が示されました。

保険給付請求権の消滅時効が延長に

労災保険の給付を請求できる期間(消滅時効)が延長される対象疾病として、以下が挙げられました。

  • 脳血管疾患・心臓疾患(過労死・脳梗塞・心筋梗塞など)
  • 精神疾患(うつ病・適応障害など)
  • 石綿(アスベスト)吸入による疾病(中皮腫・肺がんなど)

これらの疾病は発症までの潜伏期間が長く、業務起因性の立証に時間がかかることが多いため、請求権の時効を延長することで、泣き寝入りするケースを減らす狙いがあります。

特別加入団体の要件が法定化に

一人親方など個人事業主が労災保険に任意加入する際に利用する特別加入団体について、その要件が省令で明確化されることになりました。具体的には、労災保険業務や業務災害防止活動を適切に実施することが要件として省令に明記されます。これにより、特別加入団体の質の確保が図られます。

まとめ:農林水産業の事業主は早めの準備を

今回の法改正のポイントをまとめます。

  • 小規模農林水産業(常時5人未満の個人経営)の労災保険・雇用保険が令和13年4月1日から強制適用になる
  • 施行まで約4年半あるが、早期に加入状況の確認・労働条件の整備を進めるべき
  • 脳血管疾患・精神疾患・石綿疾病の労災給付請求権の消滅時効が延長される
  • 特別加入団体の要件が省令に法定化される

「自分の農業経営は大丈夫だろうか」「手続きの方法がわからない」という農林水産業の事業主の方は、お気軽に当事務所へご相談ください。西宮市・阪神間を中心に、労働保険の加入手続きから社会保険の整備まで、幅広くサポートいたします。


【出典】全国社会保険労務士会連合会 NEWS HEADLINE「小規模農林水産業 令和13年度から強制適用――労働政策審議会部会」(2026年9月25日)


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