障害のある社員が地域内の住宅に入居して働き続けられるよう、企業が指導員を配置する費用を国が助成する制度をご存じでしょうか。重度障害者等通勤対策助成金「指導員の配置助成金」は、重度障害者等が5人以上入居する住宅に指導員を配置する事業主等に対し、その費用の4分の3(上限月15万円)を最長10年間助成するJEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)の制度です。障害者雇用を推進したい中小企業の経営者・人事担当者の方にとって、ぜひ知っておいていただきたい助成金です。
本記事では、令和8年度版の最新情報をもとに、指導員の配置助成金の概要・支給要件・支給額・申請の流れについて、西宮市の社会保険労務士がわかりやすく解説します。
この助成金の概要
重度障害者等通勤対策助成金「指導員の配置助成金」は、重度障害者等(重度身体障害者・知的障害者・精神障害者など)が5人以上入居している住宅に対し、事業主またはその事業主が加入する事業主団体が専任の指導員を配置する場合に、その費用の一部を助成する制度です。
この助成金は、障害のある社員が住み慣れた地域で安定した生活を送りながら継続就労できるよう、住宅内での生活指導・日常生活支援を行う人員を確保するための経費を国が支援するものです。指導員は当該住宅に専任して配置されることが原則で、原則として同一敷地内に居住する者に限るとされています。
本制度はJEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)が運営し、各都道府県支部の高齢・障害者業務課または高齢・障害者窓口サービス課が窓口となっています。詳細は公式サイトをご確認ください。
支給要件
指導員の配置助成金を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 対象事業主:重度障害者等を雇用している事業主、または重度障害者等を雇用している事業主が加入している事業主団体であること
- 入居人数:支給対象となる重度障害者等が当該住宅に5人以上入居していること
- 指導員の配置要件:指導員が当該住宅に専任して配置されており、原則として同一敷地内に居住していること
- 継続雇用の必要性:指導員を配置しなければ支給対象障害者の雇用の継続を図ることが困難であると認められること
- 支給対象となる障害者の要件:下表のいずれかに該当する障害者であること
支給対象となる重度障害者等の範囲は以下のとおりです。
| 障害種別 | 対象となる障害等級等 |
|---|---|
| 身体障害者(重度) | 障害者手帳1級・2級 |
| 視覚障害者 | 3級の視覚障害 |
| 下肢・体幹障害者 | 3級または4級の下肢障害、3級の体幹機能障害、3級または4級の乳幼児期以前の非進行性脳病変による移動機能障害 |
| 複合障害者 | 5級の下肢障害・体幹機能障害・移動機能障害のうち2つ以上の重複者 |
| 知的障害者 | 知的障害のある方(程度は問わず) |
| 精神障害者 | 精神障害者保健福祉手帳所持者または統合失調症・躁うつ病・てんかんと診断された方 |
なお、上記に該当する方が「労働者」として雇用されていることも要件となります。詳細な要件は公式サイトまたは都道府県支部へご確認ください。
支給額・助成率
令和8年度の支給内容は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成率 | 指導員の人件費の4分の3(75%) |
| 支給上限額 | 1人につき月額15万円 |
| 支給期間 | 指導員を初めて配置した日の属する月の翌月から起算して最長10年間 |
| 支給申請単位 | 6か月ごとの申請(原則) |
たとえば、月額20万円の人件費で指導員を1名配置した場合、20万円×3/4=15万円が上限となるため、月額15万円が助成されます。年間では最大180万円、10年間では最大1,800万円の助成を受けられる計算になります。
支給対象障害者の離職等により支給終了となった場合は、当該6か月間のうち支給対象期間のみが支給対象となります。
申請の流れ
指導員の配置助成金の申請は、JEED各都道府県支部で受け付けています。一般的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 事前相談:管轄のJEED都道府県支部(高齢・障害者業務課または高齢・障害者窓口サービス課)に相談し、支給要件を確認する
- 受給資格認定申請:支給要件確認申立書(様式第540号)・障害者助成金受給資格認定申請書(様式第60号)等の書類を作成し、JEEDへ提出する
- JEED審査・受給資格認定:JEEDが申請内容を審査し、受給資格が認定される
- 指導員の配置開始:認定を受けた後、住宅への指導員の配置を開始する(原則として認定前の実施分は対象外)
- 支給申請:6か月ごとに支給申請書等を提出する
- 支給決定・振込:JEEDの審査後、支給が決定され指定口座に振り込まれる
申請に必要な様式はJEED公式サイトの指導員の配置助成金の様式ページからダウンロードできます。
申請にあたっての注意点
- 受給資格認定申請は、指導員を配置する前に行う必要があります。配置後の遡及申請は原則認められませんのでご注意ください。
- 指導員は当該住宅に専任して配置されている必要があります。他業務と兼任している場合は対象外となる可能性があります。
- 支給対象となる障害者が5人以上入居していることが要件のため、人数が5人を下回った場合は支給終了となる場合があります。
- この助成金は障害者雇用納付金制度に基づく助成金です。事業主が障害者雇用納付金の申告義務がある場合は、適正に申告・納付していることも求められます。
- 支給期間中に支給要件を欠くに至った場合は、その時点で支給が終了します。
まとめ・社労士からのアドバイス
重度障害者等通勤対策助成金「指導員の配置助成金」は、重度障害のある社員が生活する住宅に指導員を配置するための費用を最長10年間・月15万円を上限として3/4助成する、非常に手厚い制度です。障害者雇用を積極的に推進している企業にとって、長期にわたって安定した経済支援が受けられる点が大きなメリットです。
申請手続きや要件の確認は複雑な面もあるため、社会保険労務士(社労士)に事前相談されることをお勧めします。特に以下のポイントにご注意ください。
- 必ず指導員の配置前に受給資格認定申請を済ませること
- 対象となる障害者の等級・人数の要件を事前に確認すること
- 指導員の専任性・居住要件を確認すること
- 6か月ごとの支給申請を忘れずに行うこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金名 | 重度障害者等通勤対策助成金「指導員の配置助成金」 |
| 運営機関 | JEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構) |
| 助成対象 | 重度障害者等が5人以上入居する住宅に指導員を配置する事業主等 |
| 助成率 | 3/4 |
| 上限額 | 月額15万円 |
| 支給期間 | 最長10年間 |
| 申請窓口 | 各都道府県のJEED支部(高齢・障害者業務課) |
重度障害者の雇用継続・通勤支援に取り組む事業主の方は、ぜひこの助成金の活用をご検討ください。詳細はJEED公式サイトまたは各都道府県支部の窓口にお問い合わせください。

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