「60歳を超えた従業員が増えてきたが、体力的な衰えによる転倒や熱中症が心配……」「高齢の社員に安全に長く働いてもらいたいが、設備改善にかかるお金がない……」——そんな中小企業の事業主の方にぜひ知っていただきたいのが、エイジフレンドリー補助金です。
この補助金は、60歳以上の高年齢労働者が安全に働き続けられるよう、中小企業が行う労働災害防止対策に要した費用の一部を補助する制度です。最大で費用の4/5(上限100万円)が補助されます。令和8年度(2026年度)は、令和8年5月20日〜10月31日が申請受付期間です。
- 対象事業者:60歳以上の労働者が常時1名以上いる中小企業(コラボヘルスコースは年齢要件なし)
- 最大補助額:上限100万円(専門家総合対策コース・熱中症対策コース)
- 補助率:コースにより費用の1/2〜4/5
- 申請期限:令和8年10月31日(予算終了次第受付終了)
- 申請先:一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会 エイジフレンドリー補助金事務センター
エイジフレンドリー補助金とは?
エイジフレンドリー補助金は、厚生労働省が中小企業の高年齢労働者(おおむね60歳以上)の労働災害防止を支援するための補助金です。日本では少子高齢化が進み、60歳以上の労働者が増え続けています。一方で、高齢になるほど転倒・腰痛・熱中症といった労働災害のリスクが高まるため、職場の安全衛生対策は急務です。
この補助金は令和2年度(2020年度)にスタートし、毎年度多くの中小企業が活用しています。令和8年度(2026年度)も3つのコースで申請を受け付けており、予算(約9.5億円)に達した時点で受付終了となります。早めに申請することが重要です。
対象事業者の要件
エイジフレンドリー補助金を受けるには、以下の要件を全て満たす必要があります。
- 中小企業事業主であること(業種ごとの基準は下表参照)
- 労働保険(労災保険)の適用事業主であること
- 60歳以上の高年齢労働者が役員を除いて常時1名以上就労していること(コラボヘルスコースは年齢要件なし)
| 業種 | 常時使用する労働者数 | または 資本金・出資金 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業等 | 300人以下 | 3億円以下 |
| 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
| サービス業(医療・福祉含む) | 100人以下 | 5,000万円以下 |
| 小売業(飲食店含む) | 50人以下 | 5,000万円以下 |
従業員数と資本金はいずれか一方を満たせば対象となります。
3つのコースの内容と補助額
令和8年度は、以下の3つのコースが設けられています。それぞれ対象となる取り組みや補助率が異なります。1事業者につき年度1回・1コースのみ申請可能です。
① 専門家総合対策コース(上限100万円)
安全衛生の専門家(安全衛生コンサルタント等)がリスクアセスメントを行い、その結果に基づいた職場環境改善または運動指導を支援するコースです。第1段階(リスクアセスメント)→ 第2段階(環境改善 または 運動指導)の2段階構成になっています。
| 段階 | 内容 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 専門家によるリスクアセスメントの実施 | 4/5 | 100万円 |
| 第2段階B | 職場環境改善(手すり設置・防滑床材・アシストスーツ等) | 1/2 | 100万円 |
| 第2段階C | 運動指導(理学療法士等による身体機能チェック・運動指導) | 1/2 | 100万円 |
⚠️ 第1段階(リスクアセスメント実施申請)の申請期限は令和8年8月31日です。予算に余裕があるうちに早めに申請することをおすすめします。
② 熱中症対策コース(上限100万円)
暑熱な環境での作業が多い職場で、高年齢労働者の熱中症を防ぐための機器・設備を導入するコースです。補助率は費用の1/2、上限100万円です。
補助対象となる機器の例:
- 空調服(体温を下げる機能付き作業服)
- 移動式スポットクーラー(5年以上の使用期間が見込まれるもの)
- アイススラリー冷凍ストッカー(最大400Lまで)
- ウエアラブルデバイス(深部体温推定機能搭載のもの)
製造業・建設業・農業など、屋外や高温環境で働く職場に特に有効なコースです。夏本番前の申請をおすすめします。
③ コラボヘルスコース(上限30万円)
産業医・保健師などの専門家と連携して、従業員の健康管理・健康教育を行うコースです。補助率は費用の3/4、上限30万円です。このコースは60歳以上の労働者がいなくても申請可能(年齢要件なし)です。
補助対象となる経費の例:
- 産業医・保健師等によるメンタルヘルス研修
- 禁煙指導プログラム
- 健康管理システムの導入(初期費用のみ対象)
コース別まとめ
| コース | 主な内容 | 補助率 | 上限額 | 60歳以上要件 |
|---|---|---|---|---|
| 専門家総合対策(第1段階) | 専門家によるリスクアセスメント | 4/5 | 100万円 | あり |
| 専門家総合対策(第2段階B) | 職場環境改善(設備導入等) | 1/2 | 100万円 | あり |
| 専門家総合対策(第2段階C) | 運動指導(体力チェック・運動指導) | 1/2 | 100万円 | あり |
| 熱中症対策 | 熱中症予防機器の導入 | 1/2 | 100万円 | あり |
| コラボヘルス | 専門家による健康教育・健康管理 | 3/4 | 30万円 | なし |
申請の流れ
- 申請書類の準備・提出:申請書類を作成し、郵送またはJグランツ(電子申請)で事務センターへ提出
- 審査(1〜2か月程度):エイジフレンドリー補助金事務センターが申請内容を審査
- 交付決定通知の受領:交付決定後に発注・購入・工事が可能になる
- 取り組みの実施:交付決定通知を受けてから、実際に設備購入・工事等を実施
- 支払請求書類の提出:取り組み完了後、令和9年1月31日までに請求書類を提出
- 補助金の振り込み:審査後、指定口座に振り込まれる
交付決定通知を受ける前に発注・購入・工事着工した経費は補助対象外となります。必ず交付決定後に発注してください。また、取り組み完了前の業者への前払いも対象外です。
申請時のよくある失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 予算切れで申請できなかった | 早期申請(5月〜7月)を心がける。毎月末締め切りで早い月ほど有利 |
| 交付決定前に設備を購入してしまった | 必ず交付決定通知の受取後に発注・購入する |
| 複数コースを同時に申請した | 年度1回・1コースのみ。最も活用できるコースを選ぶ |
| 第1段階の申請期限を過ぎた | 専門家総合対策コースの第1段階は8月31日が期限。6〜7月中に申請を |
申請先・問い合わせ先
エイジフレンドリー補助金の申請・問い合わせ先は、厚生労働省や労働局ではなく、以下の専用窓口です。
📋 一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会
エイジフレンドリー補助金事務センター
電話:03-6381-7507
受付時間:平日10:00〜12:00 / 13:00〜15:00
まとめ:高齢従業員の安全を守りながら補助金を活用しよう
日本の高齢化が進む中、60歳以上の従業員の安全・健康を守ることは、企業にとって重要な経営課題です。転倒・熱中症・腰痛といった高齢者特有のリスクに対して、エイジフレンドリー補助金を活用することで、費用の負担を大幅に軽減しながら職場環境を改善することができます。
令和8年度の申請受付は令和8年10月31日まで(予算終了次第終了)です。特に、専門家総合対策コースの第1段階(リスクアセスメント)は8月31日が申請期限です。60歳以上の従業員がいる中小企業の事業主の方は、ぜひ早めにご検討ください。
申請手続きや書類の準備でお困りの方は、西宮市の社会保険労務士事務所・SR竹田にお気軽にご相談ください。安全衛生対策や助成金・補助金の活用について、専門家がサポートいたします。

コメントを残す