「採用してみないと、どんな人か分からない」「就職のブランクが長い人を採用するのは不安…」——そんな経営者・採用担当者の方に活用していただきたいのが、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)です。
この制度は、就職が困難な求職者をハローワーク等の紹介で試行的に雇用した場合に、最長3か月間・月額最大5万円が支給される助成金です。正規雇用への移行を前提とした「お試し採用」を国が後押しする仕組みで、中小企業を中心に広く活用されています。
この記事では、令和8年度のトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の制度概要・対象要件・助成額・申請手続きの流れを、西宮市の社会保険労務士がわかりやすく解説します。
📋 制度の概要(まとめ)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成金名 | トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) |
| 目的 | 就職困難な求職者の試行雇用を支援し、正規雇用への移行を促進する |
| 助成額 | 月額最大4万円(母子家庭の母・父子家庭の父は月額5万円) |
| 支給期間 | 最長3か月間(1〜3か月の範囲で設定) |
| 最大受給額 | 12万円(母子・父子家庭の場合は15万円) |
| 申請窓口 | 管轄のハローワーク・雇用関係助成金ポータル(電子申請) |
| 管轄 | 厚生労働省・各都道府県労働局・ハローワーク |
1. トライアル雇用とは?制度の目的
トライアル雇用とは、就職困難な求職者を対象として、原則3か月間の試行雇用期間を設けて雇い入れる仕組みです。試行雇用期間終了後に労使双方の合意のもとで無期雇用(正社員等)へ移行することを前提としています。
就職困難な求職者にとっては実際に働きながら能力・適性を示す機会になり、企業側にとっては「採用ミスマッチ」のリスクを減らすことができます。国はこの試行雇用期間中の賃金の一部を助成金として補助することで、就職困難者の雇用拡大を支援しています。
2. 対象となる労働者(求職者)の要件
トライアル雇用の対象となる求職者は、以下のいずれかに該当する必要があります(ハローワーク等の紹介であることも必須です)。
| 対象区分 | 要件の概要 |
|---|---|
| ①短期離職・転職繰り返し | 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上の離職・転職を繰り返している者 |
| ②長期失業者 | 紹介日の前日から1年を超えて失業している者 |
| ③特定受給資格者等の長期失業 | 解雇・倒産等により離職した特定受給資格者等で、紹介日前日から6か月以上失業している者 |
| ④ニート・フリーター | 45歳未満で、学校等を卒業・中退後、安定した就業経験が乏しく、ハローワーク等で職業指導が必要と認められた者 |
| ⑤生活保護受給者 | 生活保護受給中の者(週20時間以上の雇用でも対象) |
| ⑥母子・父子家庭の親 | 母子家庭の母、または父子家庭の父(月額5万円に加算) |
| ⑦就職氷河期世代 | おおむね35歳〜55歳で、一定期間不安定な就労状態にある者 |
労働時間の要件については、原則として週30時間以上の雇用が必要です。ただし、生活保護受給者等の場合は週20時間以上での雇用も対象となります。
3. 助成額・支給期間
助成金の金額は、対象となる労働者の区分に応じて異なります。
| 対象者の区分 | 月額助成額 | 支給期間(最長) | 最大受給額 |
|---|---|---|---|
| 通常の対象労働者 | 4万円 | 3か月 | 12万円 |
| 母子家庭の母・父子家庭の父 | 5万円 | 3か月 | 15万円 |
トライアル雇用期間は1か月以上3か月以内の範囲で設定できます。途中で正式雇用へ移行した場合も、就労した月数に応じて助成金を受け取ることができます。
4. 助成対象となる雇用主(企業側)の要件
助成金を受け取るためには、雇用主側にも以下の要件を満たすことが必要です。
- 雇用保険適用事業主であること
- ハローワーク、民間職業紹介機関、地方自治体の再就職支援機関等の紹介により対象求職者を雇い入れること
- 雇い入れ前の6か月以内に、事業主都合による解雇・退職勧奨を行っていないこと
- 雇い入れ後、無期雇用への移行を前提としたトライアル雇用契約を締結すること
- 対象労働者に対して、通常の賃金(最低賃金以上)を支払うこと
- 過去5年以内に不正受給がないこと
5. 申請手続きの流れ
トライアル雇用助成金の申請は、雇用開始から2か月以内にハローワークへ実施計画書を提出するところから始まります。大まかな流れは以下のとおりです。
| ステップ | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| ①求人申込み | ハローワークに求人を申し込む際に「トライアル雇用希望」と明示する | 採用活動開始時 |
| ②紹介・選考 | ハローワーク等から対象求職者の紹介を受け、選考・内定を出す | 採用決定時 |
| ③トライアル雇用開始 | 対象者とトライアル雇用契約(1〜3か月)を締結し、雇用開始 | 雇用開始日 |
| ④実施計画書の提出 | 「トライアル雇用実施計画書」をハローワークに提出(電子申請も可) | 雇用開始日から2か月以内 |
| ⑤トライアル雇用終了 | 試行雇用期間終了。正式雇用へ移行するかを労使で判断 | 試行期間終了時 |
| ⑥支給申請 | 「トライアル雇用結果報告書兼支給申請書」をハローワークに提出 | 試行期間終了後2か月以内 |
| ⑦審査・支給 | ハローワーク・労働局による審査後、助成金が支給される | 申請後おおむね2〜3か月 |
電子申請は雇用関係助成金ポータルからも手続き可能です。書類の郵送・持参の手間が省けるため、積極的にご活用ください。
6. 注意点・よくある質問
(1)正式雇用への移行は「義務」ではない
トライアル雇用は「無期雇用移行を前提」とする制度ですが、試行雇用の結果として双方の合意のもとで正式雇用しない選択をすることも可能です。ただし、最初から採用する気がない状態でトライアル雇用を利用するなど、制度の趣旨に反する利用は不正受給に該当するリスクがあります。
(2)ハローワーク等の「紹介」が必須
直接応募や求人サイト経由での採用ではトライアル雇用助成金を申請できません。ハローワーク、地方自治体の再就職支援機関、またはトライアル雇用制度に協定を結んだ民間職業紹介機関からの紹介であることが必要です。
(3)実施計画書の提出期限に注意
「トライアル雇用実施計画書」は雇用開始日から2か月以内に提出が必要です。この期限を過ぎると助成金を受け取ることができなくなるため、雇用開始と同時に手続きを進めることをお勧めします。
(4)障害者向けのコースもあります
障害のある方を対象とした「障害者トライアルコース」や「障害者短時間トライアルコース」も別途設けられています。障害者トライアルコースは月額2万5千円・最長3か月間、障害者短時間トライアルコースは月額2万5千円・最長12か月間の助成が受けられます(週10〜20時間未満の短時間勤務でも対象)。詳しくは管轄ハローワークにお問い合わせください。
7. まとめ・当事務所のサポート
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 就職困難な求職者をハローワーク等の紹介で雇い入れることが条件
- 月額最大4万円(母子・父子家庭の親は5万円)が最長3か月間支給
- 雇用開始から2か月以内に実施計画書をハローワークに提出することが必須
- 正式採用のミスマッチリスクを減らしながら、採用コストも助成できる有効な制度
「長期ブランクのある求職者を採用したい」「フリーターや生活保護受給者を雇い入れたい」という事業主様にとって、トライアル雇用助成金は採用活動を後押しする有効な手段です。
当事務所(武田社会保険労務士事務所・西宮市)では、トライアル雇用助成金をはじめとする各種雇用関係助成金の申請サポート・書類作成代行を承っております。ご不明な点やお手続きについては、お気軽にご相談ください。

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