この記事では、人材開発支援助成金の「建設労働者認定訓練コース」について、制度の概要・対象事業主・3種類の助成内容(経費助成・賃金助成・賃金向上助成)・申請要件・申請手続きをわかりやすく解説します。建設業を営む中小企業が自社の労働者に認定職業訓練を受けさせる際のコストを国が助成するこの制度は、建設技能者の育成と定着に活用できる見逃せない助成金です。
建設労働者認定訓練コースとは
人材開発支援助成金「建設労働者認定訓練コース」は、中小建設事業主または中小建設事業主の団体が、雇用する建設労働者に都道府県知事が認定した職業訓練(認定職業訓練)を受けさせた場合に、訓練にかかった経費や訓練中の賃金の一部を助成する制度です。
建設業では、溶接・配管・木造建築・造園など、専門性の高い技能を持つ人材の育成が重要な課題となっています。認定職業訓練は国が品質を保証した訓練プログラムであり、国と都道府県が連携して訓練コストを支援する仕組みになっています。このコースはその上乗せ助成として、事業主の人材育成投資を強力にバックアップします。
3種類の助成内容
建設労働者認定訓練コースには、①経費助成、②賃金助成、③賃金向上助成・資格等手当助成の3種類があります。それぞれの仕組みと金額は以下のとおりです。
| 助成区分 | 助成内容 | 金額 |
|---|---|---|
| ①経費助成 | 認定訓練の実施にかかった経費(都道府県補助対象経費)の一部を助成 | 都道府県補助対象経費の1/6 |
| ②賃金助成 | 認定訓練を受講した建設労働者に支払った賃金の一部を助成 | 1人1日3,800円×受講日数 |
| ③賃金向上助成・資格等手当助成 | 訓練後に賃金を増額した場合の上乗せ助成 | 1人1日1,000円×受講日数(上乗せ) |
賃金助成と賃金向上助成・資格等手当助成の合計の上限は、1事業所・1年度あたり1,000万円です。
①経費助成の詳細
経費助成は、都道府県の認定訓練補助事業において補助対象となった経費(訓練施設の使用料、指導員の人件費など)の6分の1が助成されます。
ただし、経費助成を受けるには都道府県から認定訓練補助金を受けていることが前提条件です。まず都道府県の補助制度に申請して認定訓練補助金を受け取り、その後に国への助成金申請が可能になります。
②賃金助成の詳細
賃金助成は、建設労働者が認定訓練を受講した日数に応じて、1人1日3,800円が支給されます。訓練中も通常通り賃金を支払いながら人材育成ができるため、事業主の負担軽減に直結します。
賃金助成を受けるには、事前に人材育成支援コースの計画届を提出して支給決定を受けていることが必要です。訓練開始の原則6ヵ月前から1ヵ月前までに計画届を提出してください。
③賃金向上助成・資格等手当助成の詳細
訓練終了後に従業員の賃金を一定水準引き上げた場合、さらに1人1日1,000円が上乗せされます。要件は次の2パターンです。
- 賃金向上助成:訓練終了後に賃金を5%以上増額した場合
- 資格等手当助成:訓練で取得した資格に基づく手当を支給することで賃金を3%以上増額した場合
対象事業主の要件
このコースを利用できるのは、以下の要件をすべて満たす中小建設事業主または中小建設事業主の団体(訓練実施組合等)です。
- 資本金3億円以下または常時雇用する労働者数300人以下の建設事業主であること
- 建設労働者を雇用し、雇用保険適用事業主であること
- 建設業の許可を取得しているか、建設事業として雇用保険料率(建設関係の高い料率)の適用を受けていること
- 雇用管理責任者を選任していること
- 過去に不正受給がないこと
なお、一人親方や同居の親族のみで事業を行っている場合は対象外となります。
対象となる訓練科目
助成の対象となる訓練は、都道府県知事の認定を受けた「認定職業訓練」または「指導員訓練」のうち、建設関係の訓練科目に限られます。主な対象訓練科の例は以下のとおりです。
| 分類 | 対象科目の例 |
|---|---|
| 建築関係 | 木造建築科、建築施工科、型枠施工科 |
| 電気・配管関係 | 配管科、電気工事科 |
| 土木・造園関係 | 造園科、土木施工科 |
| 仕上げ関係 | 左官科、タイル張り科、塗装科 |
ただし、労働安全衛生法に基づく特別教育・技能講習のみを行う訓練は対象外となります。
申請手続きの流れ
申請は助成区分によって手続きの流れが異なります。
経費助成の申請フロー
- 都道府県の認定訓練補助申請:まず都道府県知事に認定申請を行い、訓練の実施認定を受ける
- 認定訓練の実施:承認を受けた訓練プログラムを実施する
- 都道府県の補助金精算確定:都道府県から精算確定通知を受け取る
- 支給申請:精算確定通知日の翌日から2ヵ月以内に都道府県労働局へ申請する
賃金助成の申請フロー
- 訓練実施計画届の提出:訓練開始日の原則1ヵ月前までに都道府県労働局へ計画届を提出(人材育成支援コースとして)
- 計画の承認・認定訓練の実施:計画が認められたら訓練を実施する
- 支給申請:訓練期間終了後2ヵ月以内に申請する
賃金向上助成・資格等手当助成の申請フロー
- 訓練終了後、賃金増額の要件(5%以上増額または資格手当で3%以上増額)を満たす
- 要件達成日から5ヵ月以内に申請する
失敗しないための注意点
- 経費助成は都道府県補助金が前提:都道府県から認定訓練補助金を受けていない場合、経費助成は利用できません。まず都道府県窓口に相談しましょう。
- 賃金助成は事前計画届が必須:訓練開始前に計画届を提出していないと、賃金助成は受けられません。スケジュール管理が重要です。
- 申請期限は区分ごとに異なる:3つの助成区分それぞれで申請期限が異なります。期限を過ぎると受け付けてもらえないため、訓練スケジュールと一緒に申請期限もカレンダーに記録しておきましょう。
- 訓練科目が建設関連であること:労働安全衛生法の特別教育などは対象外のため、事前に訓練科目が認定対象かどうかを確認してください。
まとめ
人材開発支援助成金「建設労働者認定訓練コース」は、中小建設業者が認定職業訓練を通じて技能者を育成する際のコストを、経費・賃金・賃金向上の3面から支援する制度です。特に都道府県の認定訓練補助金と組み合わせることで、訓練コストの大幅な削減が可能になります。
申請には事前準備(計画届の提出)が必要なものもあり、手続きが複雑です。建設業を営む事業主の皆さまで「技術者を育てたいが費用が心配」とお考えの方は、ぜひ早めに社労士・都道府県労働局・ハローワークへご相談ください。
西宮市の武田社会保険労務士事務所では、建設業を含む各業種の事業主様からの助成金活用に関するご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

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