2027年(令和9年)4月1日、30年以上続いてきた技能実習制度がついに廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。この制度は2024年6月に公布された改正入管法・育成就労法に基づくもので、外国人労働者の受入れ・育成の仕組みを根本から作り直す大改革です。
現在、技能実習生を受け入れている企業も、今後採用を検討している企業も、制度の変更点と準備事項を早めに把握しておかないと、施行直前に慌てることになりかねません。西宮の社労士が、技能実習制度との違い・施行スケジュール・企業がすべき準備をわかりやすく解説します。
1. なぜ技能実習制度が廃止されるのか
技能実習制度は1993年に「開発途上国への技術移転(国際貢献)」を目的として始まった制度です。しかし実際には外国人の安価な労働力確保の手段として使われることが多く、長年にわたって以下の問題点が指摘されてきました。
- 失踪者の多発(年間1万人超)
- 賃金不払いや劣悪な労働条件
- 転籍(職場変更)が原則禁止で労働者の移動の自由がない
- 国際機関・海外メディアからの人権侵害との指摘
こうした問題を解消し、外国人労働者が真に活躍できる環境を整備するため、技能実習制度を廃止して新制度へ移行することになりました。
2. 育成就労制度の概要
育成就労制度の最大の特徴は、制度の目的が「国際貢献」から「人材確保と人材育成」に転換された点です。外国人労働者が日本で原則3年間の育成就労を経て、専門的・技術的な技能を持つ「特定技能1号」の水準に達することを目指す制度設計となっています。
対象産業分野
農業・漁業・建設・造船・介護・ビルクリーニング・外食業・宿泊業・飲食料品製造業・素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業など、17の産業分野が対象となっています。
3. 技能実習制度との主な違い
| 項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 目的 | 国際貢献(技術移転) | 人材確保・人材育成 |
| 在留期間 | 最長5年(1号+2号+3号) | 原則3年 |
| 転籍(職場変更) | 原則不可 | 要件を満たせば可能 |
| 日本語能力要件 | 原則不要 | 入国前にA1相当(N5)が必要 |
| 特定技能1号への移行 | 試験免除制度あり | 試験合格が必須 |
| 受入機関 | 監理団体 | 監理支援機関(新設) |
4. 最大の変更点「転籍(職場変更)の自由化」
技能実習制度では、受入企業を変えること(転籍)は原則として禁止されていました。これが外国人労働者の労働条件悪化や人権問題の温床と批判されてきた最大の問題点です。
育成就労制度では、以下の要件を満たせば転籍が認められます。
転籍が認められる主な要件
- 就労開始から1年以上が経過していること
- 日本語能力A2相当(JLPT N4レベル)を取得していること
- 同一業務分野(同じ職種・産業)内での転籍であること
- 転籍先が育成就労計画の認定を受けていること
ただし、受入企業側に問題がある場合(賃金不払い・ハラスメント等)は1年未満でも転籍が認められます。
5. 施行スケジュールと企業がすべきこと
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年4月15日〜 | 監理支援機関の許可申請受付開始 |
| 2026年9月1日〜 | 育成就労計画の認定申請受付開始 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度の運用開始 |
今すぐすべき3つの準備
① 労務管理・法令遵守状況の点検
育成就労制度では、受入企業に対する監督が技能実習よりも厳格になります。賃金不払いや長時間労働、安全配慮義務違反がないか今一度点検しましょう。問題が発覚した場合は認定が取り消される可能性があります。
② 監理支援機関への移行確認
現在利用している「監理団体」は、新制度の「監理支援機関」として許可を取り直す必要があります。現在利用中の監理団体が新制度へ対応する予定かどうか、早めに確認しておきましょう。
③ 日本語教育環境の整備
育成就労では入国前にN5レベル、就労中にN4レベルの日本語能力の習得が求められます。企業内で日本語学習をサポートする体制(教材提供・学習時間の確保など)を整えることが重要です。
6. 既存の技能実習生はどうなるのか
現在技能実習生を受け入れている企業でよく聞かれる疑問が「既存の実習生はどうなるのか」という点です。
経過措置が設けられています
- 現在在留中の技能実習生は在留期限まで技能実習として就労継続可能です
- 技能実習修了後は、特定技能1号への移行(試験合格要)または帰国となります
- 新規受入れは2027年4月以降、育成就労制度での申請となります
急激な制度変更による混乱は避けられる設計になっていますので、在留中の実習生については順次対応していただければ大丈夫です。
社労士からのまとめ
育成就労制度への移行は、単なる手続き変更ではなく、外国人労働者との向き合い方そのものの変革を企業に求めています。外国人労働者を「安い労働力」として捉えるのではなく、将来の特定技能者(高度人材)として育成する視点が重要になります。
そのためには、正当な賃金の支払いと労働条件の整備・日本語教育・生活サポートの充実・キャリアパスの明確化が求められます。
2027年4月の施行まであと約1年半です。今から計画的に準備を進め、育成就労制度の下でも外国人労働者が活躍できる職場環境を整えていきましょう。ご不明な点は、西宮市のSR竹田社会保険労務士事務所にお気軽にご相談ください。

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