「法定雇用率を上回って障害者を雇用しているのに、何か支援はないの?」「障害者雇用に積極的に取り組んでいる会社が損をする制度は不公平では?」——こんな疑問をお持ちの経営者・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
実は、法定雇用率を超えて障害者を雇用する事業主には、「調整金」または「報奨金」が支給されます。これは障害者雇用に熱心に取り組む企業への経済的な還元制度です。しかし、この制度を知らずに申請しないでいる企業も少なくありません。
この記事では、障害者雇用調整金・報奨金の仕組み・金額・申請方法を西宮の社労士がわかりやすく解説します。
障害者雇用納付金制度とは?仕組みの全体像
調整金・報奨金を理解するには、まず障害者雇用納付金制度の全体像を押さえる必要があります。
この制度は「障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任である」という社会連帯責任の考え方に基づいています。法定雇用率を達成している企業とそうでない企業の間の経済的負担を調整することで、障害者雇用を社会全体で促進する仕組みです。
| 区分 | 対象企業 | 内容 |
|---|---|---|
| 納付金 | 常用雇用労働者100人超で 法定雇用率未達成の企業 |
不足1人につき月額50,000円を納付 |
| 調整金 | 常用雇用労働者100人超で 法定雇用率超過達成の企業 |
超過1人につき月額29,000円を支給 |
| 報奨金 | 常用雇用労働者100人以下で 一定数を超えて障害者を雇用する企業 |
超過1人につき月額21,000円を支給 |
なお、令和8年7月以降の法定雇用率は2.7%(令和8年度~)に引き上げられています。
調整金とは?
調整金の対象企業
調整金は、以下の条件を満たす事業主に支給されます。
- 常時雇用労働者が100人を超える事業主
- 前年4月〜当年3月の各月において、法定雇用率を超えて障害者を雇用している
調整金の支給額
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 基本額(年間120人月以下の部分) | 1人月につき 29,000円 |
| 超過分(年間120人月を超える部分) | 1人月につき 23,000円 |
調整金の計算方法(例)
従業員200人(常用雇用)の企業が、12ヶ月間毎月3人の障害者を法定雇用率超過で雇用していた場合:
- 超過人月数 = 3人 × 12ヶ月 = 36人月
- 支給額 = 36人月 × 29,000円 = 1,044,000円
年間100万円以上の支給になるケースも珍しくありません。
報奨金とは?
報奨金の対象企業
報奨金は、常用雇用労働者が100人以下の小規模事業主向けの制度です。以下の条件を満たした場合に支給されます。
- 常時雇用労働者が100人以下
- 各月の雇用障害者数の年度合計が、「労働者数の4%の年度合計」または「72人」のいずれか多い数を超えること
報奨金の支給額
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 基本額(年間420人月以下の部分) | 1人月につき 21,000円 |
| 超過分(年間420人月を超える部分) | 1人月につき 16,000円 |
報奨金の申請期限
報奨金の申請期限は4月1日〜7月31日(年1回)です。100人超企業の調整金は4月1日〜5月15日が申告期限です。期限を過ぎると申請できなくなるため注意が必要です。
在宅就業障害者特例調整金・特例報奨金とは?
障害者を直接雇用していなくても、在宅就業障害者(自宅等で就業する障害者)に業務を発注した場合、「在宅就業障害者特例調整金」または「在宅就業障害者特例報奨金」が支給(または納付金から減額)されます。
| 種類 | 対象 | 計算式 |
|---|---|---|
| 在宅就業障害者特例調整金 | 納付金申告または調整金申請事業主で、前年度に在宅就業障害者へ仕事を発注した者 | 21,000円 × (支払総額 ÷ 350,000円) |
| 在宅就業障害者特例報奨金 | 報奨金申請事業主で、前年度に在宅就業障害者へ仕事を発注した者 | 17,000円 × (支払総額 ÷ 350,000円) |
例えば、在宅就業障害者に年間70万円の業務を発注した場合:
特例調整金 = 21,000円 × (700,000円 ÷ 350,000円)= 42,000円
申告・申請の流れ
調整金・報奨金の申請はJEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)が窓口となります。基本的に電子申告申請システムを使ってオンラインで手続きします。
申請スケジュール(令和9年度申告の場合)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和9年4月1日〜5月15日 | 常用雇用労働者100人超の企業:納付金申告・調整金申請 |
| 令和9年4月1日〜7月31日 | 常用雇用労働者100人以下の企業:報奨金申請 |
申請に必要な主な書類
- 障害者雇用状況報告(毎年6月1日時点の状況を6月中に提出するもの)の記録
- 障害者の雇用・賃金実績に関する書類
- 在宅就業特例の場合は発注額の証明書類
詳細な書類はJEED各都道府県支部の「高齢・障害者業務課」または電子申告申請システムのガイドで確認してください。
よくある疑問Q&A
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 重度障害者を雇用した場合は? | 身体・知的の重度障害者は雇用人数を2倍でカウント(ダブルカウント)します。短時間労働者は0.5人カウントです。 |
| 精神障害者保健福祉手帳所持者も対象? | はい、精神障害者(保健福祉手帳所持)も雇用率カウント・調整金・報奨金の対象になります。 |
| 申告を忘れた場合は? | 期限を過ぎると原則として申請できません。手帳等の記録は毎年管理しておきましょう。 |
| グループ会社全体で申告できる? | 特例子会社制度を活用している企業グループは、グループ全体で算定することもできます。 |
まとめ:障害者雇用に熱心な企業こそ申請を忘れずに!
障害者雇用調整金・報奨金は、法定雇用率を超えて積極的に障害者を雇用している企業に対して、その負担を社会全体で補填する重要な制度です。
- 常用労働者100人超の企業 → 調整金(超過1人月あたり29,000円)
- 常用労働者100人以下の企業 → 報奨金(超過1人月あたり21,000円)
- 在宅就業障害者への発注実績がある場合 → 特例調整金・特例報奨金
申請期限は毎年4〜5月(または7月末)に限られているため、日頃から障害者雇用状況の記録を整理しておくことが重要です。
「自社が申請対象かどうかわからない」「手続きが複雑で不安」という方は、ぜひ西宮市の社会保険労務士事務所・SR武田事務所にご相談ください。障害者雇用の実務から申告サポートまで、丁寧に対応いたします。

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