「障害のある従業員が職場での業務遂行に補助が必要で、社内で専任のサポート役を配置したいが、その人件費負担が心配…」
「身体障害・知的障害のある社員を雇用しているが、もっとしっかりサポートできる体制を整えたい」
そのような事業主の方にぜひ活用していただきたいのが、職場介助者の配置助成金です。
この助成金は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する障害者介助等助成金の一つで、障害のある従業員(支援対象障害者)が職場で安心して業務を遂行できるよう、社内に職場介助者を配置した場合の費用(賃金相当額)を一部助成するものです。
今回は、西宮の社会保険労務士が、職場介助者の配置助成金の概要・対象要件・支給額・申請手続きについてわかりやすく解説します。
職場介助者の配置助成金とは?
職場介助者の配置助成金は、身体障害・知的障害・精神障害などのある従業員が職場での業務を円滑に遂行できるよう、同じ会社の従業員を「職場介助者」として配置した場合に、その賃金の一部を助成する制度です。
根拠法は「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」であり、JEEDが受付窓口となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 障害者介助等助成金(職場介助者の配置助成金) |
| 管轄機関 | 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) |
| 目的 | 障害のある従業員の業務遂行を支援するために社内に配置した職場介助者の賃金を助成 |
| 対象障害 | 身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者・高次脳機能障害者など |
| 申請窓口 | 各都道府県のJEED支部(兵庫県はJEED兵庫支部) |
「職場介助者」とはどんな人?
職場介助者(しょくばかいじょしゃ)とは、障害のある従業員(支援対象障害者)が行う業務の一部を、その従業員に代わって、または一緒に補助することで業務遂行をサポートする従業員のことです。
具体的には、次のような業務が介助の内容となります:
- 上肢・下肢に障害のある社員のために、資料の搬送・整理・印刷操作などを補助する
- 視覚障害のある社員のために書類の代読・代筆・パソコン操作を補助する
- 知的障害のある社員に業務手順をわかりやすく説明し、作業の確認・誘導を行う
- 精神障害のある社員が業務上のコミュニケーションで困難を感じる場面を補助する
なお、職場介助者は同じ会社の従業員(社内の人)が担当します。社外の専門家等に業務を依頼する場合は「職場介助者の委嘱助成金」(別制度)が対象となります。
3種類の助成金の仕組み
職場介助者の配置助成金には、支援の段階に応じて次の3種類の措置があります。
① 職場介助者の配置助成金(基本措置)
支援対象障害者が新たに雇用された時点、または業務遂行に介助が必要になった時点から適用される基本的な支援です。一定の要件を満たす限り、認定された期間にわたって繰り返し支給申請が可能です。
| 区分 | 助成率 | 最大支給期間 |
|---|---|---|
| 中小企業事業主 | 対象費用の3/4 | 最大5年間 |
| 中小企業以外の事業主 | 対象費用の2/3 | 最大5年間 |
② 配置の継続措置に係る助成金
基本措置の支給期間が終了した後も、引き続き職場介助者の配置を継続する必要がある場合に適用されます。
| 区分 | 助成率 | 最大支給期間 |
|---|---|---|
| 中小企業事業主 | 対象費用の1/2 | 最大5年間 |
| 中小企業以外の事業主 | 対象費用の1/3 | 最大5年間 |
③ 中高年齢等措置に係る助成金
支援対象障害者が45歳以上になった場合(または最初から45歳以上で雇用された場合)に適用される措置です。加齢に伴い障害の状態が変化し、新たな介助ニーズが生じることへの対応として設けられています。基本措置・継続措置に加えて、中高年齢等措置として一定期間の支援を受けることができます。
| 区分 | 助成率 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 中小企業事業主 | 対象費用の3/4(基本措置相当) | 45歳到達後に適用される追加の支援期間 |
| 中小企業以外の事業主 | 対象費用の2/3(基本措置相当) | 同上 |
支給対象となる事業主の要件
次の要件をすべて満たす事業主が対象となります。
- 障害者雇用促進法に基づき、支援対象障害者を雇用していること
- 支援対象障害者が、その障害の種類・程度により職場での業務遂行に介助が必要な状態にあること
- 同一事業所内の他の従業員を職場介助者として配置していること(職場介助者と支援対象障害者は別人であること)
- 職場介助者が支援対象障害者の業務遂行のために、勤務時間の相当部分を介助業務に充てていること
- 職場介助者が、支援対象障害者の配偶者・三親等内の親族でないこと
- JEEDの都道府県支部から受給資格の認定を受けていること
支援対象となる障害者の要件
以下のいずれかに該当する労働者が支援対象障害者となります。
- 身体障害者:上肢・下肢・体幹機能障害、視覚障害、内部障害など(身体障害者手帳の交付を受けている者)
- 知的障害者:療育手帳の交付を受けている者
- 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者、または統合失調症・うつ病等の診断書がある者
- 発達障害者:発達障害者支援法に定める発達障害のある者
- 高次脳機能障害者:脳損傷等により高次脳機能障害を有する者
また、雇用期間が1年以上(見込みを含む)で、週の所定労働時間が20時間以上であることが必要です。
支給対象となる費用・助成額の計算方法
助成の対象となるのは、職場介助者に支払った賃金のうち、介助業務に充てた時間に相当する部分です。
計算式のイメージ:
- 助成対象費用 = 職場介助者の月額賃金 × 月の総勤務時間に占める介助業務時間の割合
- 支給額 = 助成対象費用 × 助成率(中小企業:3/4、大企業:2/3)
【計算例】
- 職場介助者の月額賃金:25万円
- 介助業務に充てる時間の割合:勤務時間の1/2
- 助成対象費用:25万円 × 1/2 = 12万5,000円
- 中小企業の場合の支給額:12万5,000円 × 3/4 = 約9万4,000円/月
※支給額には月額の上限が設定されています。具体的な上限額は年度ごとに改定されることがあるため、申請前にJEED支部または公式パンフレット(障害者介助等助成金Vol.1/2)でご確認ください。
申請の流れ(手続きの手順)
ステップ1:受給資格認定申請
まず、JEEDの都道府県支部に受給資格認定申請書を提出します。この申請は、職場介助者を配置する前(または配置後、定められた期限内)に行う必要があります。事前の申請なしには原則として助成金を受け取ることができませんので、配置計画が決まった時点で速やかに申請することが重要です。
主な提出書類:
- 受給資格認定申請書(様式第602号)
- 支援要件確認書(様式第540号)
- 支援対象障害者の障害を証明する書類(各種手帳の写し等)
- 事業計画及び支援計画書(補助様式第72号)
- 費用区分表(補助様式第75-2号)
ステップ2:受給資格の認定
JEEDが申請内容を審査し、要件を満たしていると確認された場合に受給資格認定通知書が交付されます。認定通知書に記載された認定期間が、助成金の対象となる期間(支給対象期間)となります。
ステップ3:支給申請(定期的に実施)
各支給対象期間(通常は半年ごと)が終了した後、支給申請書をJEED支部に提出します。
主な提出書類:
- 支給申請書(様式第622号)
- 支援対象障害者の出勤状況等に関する書類(補助様式第73号)
- 職場介助者の出勤・支払計算書(補助様式第75号)
- 介助・支援状況報告書(補助様式第20号)
- 賃金台帳・出勤簿等の証拠書類
ステップ4:支給決定・振込
JEEDが書類内容を審査し、支給額を決定の上、指定口座に振り込まれます。
申請時のポイント・注意事項
- 事前認定が必須:受給資格の認定を受ける前に職場介助者の配置を開始した場合、認定前の期間についてはさかのぼって助成を受けることができません。配置計画が決まり次第、速やかにJEED支部に相談・申請してください。
- 介助記録の作成・保管:職場介助者が実際にどのような介助を行ったか、どの程度の時間を充てたかについて記録(業務日誌等)を毎日作成・保管する必要があります。この記録が支給申請の際の重要な証拠書類となります。
- 配置助成金と委嘱助成金の使い分け:社内の従業員が介助する場合は「配置助成金」、社外の専門家・業者等に介助を委託する場合は「委嘱助成金」が対象です。状況に応じて適切な制度を選択してください。
- 複数の支援対象障害者がいる場合:複数の障害のある従業員にそれぞれ職場介助者を配置する場合、それぞれについて個別に認定申請が必要です。
- 継続措置・中高年齢等措置への移行:基本措置の期間終了後も支援が必要な場合は、継続措置への移行手続きをJEED支部に対して行ってください。自動更新はされません。
「配置助成金」と「委嘱助成金」の違い
職場介助者に関する助成金には「配置助成金」と「委嘱助成金」の2種類があります。どちらを申請すべきかは、介助者が社内の従業員か、社外の専門家かによって決まります。
| 項目 | 配置助成金 | 委嘱助成金 |
|---|---|---|
| 介助者の立場 | 同じ会社の社内従業員 | 社外の専門家・業者(外部委託) |
| 助成対象費用 | 介助業務に充てた時間分の賃金 | 委嘱に要した費用(委嘱料等) |
| メリット | 社内でのノウハウ蓄積、信頼関係構築 | 専門的なスキルを持つ外部人材の活用が可能 |
まとめ:職場介助者の配置助成金で障害者雇用の職場定着を実現しましょう
職場介助者の配置助成金は、障害のある従業員が職場で活躍し続けられるよう、社内でサポート体制を整えた事業主を応援する制度です。
特に身体障害(肢体不自由・視覚障害等)や知的障害のある従業員を雇用している企業では、この助成金を活用することで、職場介助者の人件費負担を大幅に軽減しながら、安定した雇用継続を実現することができます。
基本措置・継続措置・中高年齢等措置という3段階の支援により、長期にわたって助成を受け続けることが可能であり、障害者雇用の長期的な職場定着に非常に効果的な制度です。
申請手続きや要件の詳細については、各都道府県のJEED支部(兵庫県の場合はJEED兵庫支部)またはJEED公式ウェブサイトにてご確認ください。
【無料相談受付中】
西宮市の社会保険労務士事務所・SR竹田では、障害者雇用に関する助成金の申請支援を行っています。職場介助者の配置助成金をはじめ、JEEDの障害者介助等助成金のご活用をご検討の事業主様は、お気軽にお問い合わせください。

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