厚生労働省は2026年8月7日、「令和8年度人口動態統計特殊報告(日本における人口動態〔昭和30〜令和6(1955〜2024)年〕-外国人を含む人口動態統計-)」を公表しました。
この報告書は、日本において発生した出生・死亡などの人口動態事象を、外国人を含めて初めて体系的に取りまとめたものです。今回の統計から浮かび上がった重要な事実が、企業の人事・労務担当者にとって知っておくべき内容を含んでいます。西宮の社労士がわかりやすく解説します。
今回の統計で何がわかったのか?
出生数:外国人は全体の3.2%を占める
令和6(2024)年における日本の出生総数は70万9,051人。そのうち「日本における外国人」の出生数は2万2,878人で、全体の3.2%を占めました。
10年前(平成26年)と比べると、出生総数は30万9,555人も減少していますが、外国人の構成割合は1.8ポイント増加しました。日本全体の少子化が進む一方で、在日外国人の出生率が高まっていることがわかります。
死亡数:外国人は全体の0.6%
日本における死亡総数は161万4,706人。そのうち外国人の死亡者数は9,328人(0.6%)。10年前より死亡総数は33万4,930人増加しており、外国人の割合も0.1ポイント上昇しています。
最も注目すべき結果:外国人の主要死因別死亡率が日本人より高い
この報告で特に注目されるのは、令和2(2020)年の年齢調整死亡率を日本人と外国人で比較した結果です。
| 死因 | 日本人 | 外国人 |
|---|---|---|
| 悪性新生物(がん) | – | 外国人のほうが高い |
| 心疾患 | – | 外国人のほうが高い |
| 老衰 | – | 外国人のほうが高い |
| 女性の自殺 | ほぼ同数 | ほぼ同数 |
女性の「自殺」ではほぼ同数ですが、それ以外の主要死因では外国人のほうが高い死亡率という結果が示されました。これは、言語の壁・文化的背景・医療アクセスの格差などが影響していると考えられます。
死亡原因の変化トレンド
主要死因別の死亡率の推移も明らかになっています。
- 昭和30〜50年頃:「脳血管疾患」「悪性新生物」「心疾患」の順
- 近年:脳血管疾患の低下・老衰の上昇により「悪性新生物・心疾患・老衰」の順に変化
これは日本人・外国人を含む全体的なトレンドです。働き盛りの世代では悪性新生物(がん)が主要な死因となっており、企業の健康経営への取り組みが重要性を増しています。
外国人労働者の増加と企業の責任
出入国在留管理庁の統計によると、日本で働く外国人労働者数は年々増加しており、2025年時点で200万人を超えるとも言われています。技能実習制度の見直しや特定技能制度の拡充により、今後もこの傾向は続く見込みです。
企業(事業主)にとって、外国人従業員の死亡率が高いというデータは他人事ではありません。以下の点に注意が必要です。
① 健康診断の受診徹底
労働安全衛生法により、事業主は従業員に対して年1回の定期健康診断を実施する義務があります(常時使用する労働者が対象)。外国人従業員も同様に対象となります。
言語の壁から受診を避けるケースもあるため、多言語での案内や通訳サポートを検討することをお勧めします。
② 社会保険・労働保険への加入
外国人労働者も、日本人従業員と同様に社会保険(健康保険・厚生年金)・労働保険(雇用保険・労災保険)への加入が義務づけられています(一部条件あり)。
| 保険の種類 | 適用条件 |
|---|---|
| 健康保険・厚生年金 | 週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上(2026年10月〜全パート対象に拡大) |
| 雇用保険 | 週20時間以上・31日以上雇用見込み |
| 労働者災害補償保険(労災) | 1人でも雇用すれば加入義務(強制適用) |
③ 在留資格の確認
外国人を採用・雇用する際は、在留カードの確認が必須です。不法就労者を雇用すると、事業主も処罰の対象となります(不法就労助長罪:3年以下の懲役または300万円以下の罰金)。
④ 帰国時の年金脱退一時金
外国人労働者が帰国する際には、一定の条件を満たすと厚生年金の「脱退一時金」を受け取れます。従業員への説明や退職手続きに含めることで、信頼関係の構築につながります。
健康経営の観点から
今回の統計が示すように、在日外国人の健康状態には日本人と異なる課題があります。企業として取り組める健康経営施策には以下があります。
- 産業医・保健師との連携強化:外国人従業員の健康相談窓口を整備する
- EAP(従業員支援プログラム)の活用:メンタルヘルス支援を多言語で提供
- 定期健診の受診率向上:未受診者には個別フォローアップを実施
- 労働環境の改善:長時間労働・過重労働の防止に取り組む
まとめ
令和8年度人口動態統計特殊報告のポイントを整理します。
- 日本における外国人出生者数は2万2,878人(全体の3.2%)で増加傾向
- 主要死因別の年齢調整死亡率は、外国人のほうが日本人より高い傾向にある
- 外国人労働者を雇用する企業は、健康診断・社会保険加入・在留資格確認の徹底が必要
- 言語・文化の壁を考慮した健康経営の推進が求められる
外国人労働者の雇用は今後ますます増加する見込みです。社会保険の適用・労務管理・健康管理など、ご不明な点は西宮の社労士事務所「竹田社会保険労務士事務所」にお気軽にご相談ください。

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