「DXや脱炭素といった成長分野に人材を採用したいが、採用コストが負担になっている」——そうお悩みの事業主の方に、ぜひ知っていただきたい助成金があります。
それが特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)です。
この記事では、助成金の仕組み・対象者・支給額・申請方法まで、社労士がわかりやすく解説します。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)とは?
本コースは、高年齢者・障害者・母子家庭の母など就職困難者をハローワーク経由で雇用し、情報通信・データサイエンス・脱炭素などの成長分野で活躍させながら育成する場合に、高額な助成金が支給される制度です。
厚生労働省が定める「特定求職者雇用開発助成金」の一コースとして位置づけられており、一般の特定就職困難者コース(最大240万円)よりもさらに高い助成が受けられるのが特徴です。
本コースにはメニュー(1):成長分野とメニュー(2):人材育成の2種類があります。事業内容や雇用形態に合わせて選択できます。
メニュー(1):成長分野での就労
高年齢者や障害者などの就職困難者を雇用し、以下のような成長分野の業務に従事させながら育成する場合に対象となります。
- 情報処理・通信技術(IT・DX関連)
- データサイエンス・AI活用
- 脱炭素・グリーンエネルギー関連業務
単に成長分野に関わる企業への採用だけでなく、雇用管理改善または職業能力開発に取り組むことが要件となっています。
メニュー(2):未経験者への訓練実施
未経験の就職困難者を雇用したうえで、人材開発支援助成金による訓練を実施し、訓練終了後3年以内に賃金を5%以上引き上げた場合に支給されます。
「育てながら戦力にする」というアプローチが評価される制度です。
対象となる事業主の条件
以下の要件をすべて満たす事業主が対象です。
- 対象労働者をハローワーク(公共職業安定所)の紹介により雇用すること
- 雇用保険の適用事業主であること
- 支給申請時点で、雇用した労働者が在籍していること
- 賃金台帳を整備・提出できること
- 各コースの支給要件(メニューごとの要件)を満たすこと
対象となる労働者(就職困難者)の条件
本コースでは、以下のいずれかに該当する「就職困難者」を雇用することが条件です。
| 対象カテゴリ | 主な対象者 |
|---|---|
| 高年齢者 | 雇い入れ時点で60歳以上の方 |
| 障害者 | 身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者 |
| 重度障害者等 | 重度身体障害者・重度知的障害者・45歳以上の身体・知的障害者など |
| 母子家庭の母等 | 配偶者のいないひとり親家庭の母(または父) |
| 生活保護受給者 | 生活保護を受給している方 |
| その他就職困難層 | 社会福祉施設退所者、更生保護事業施設退所者など |
支給額(1人あたり)の一覧
助成額は対象労働者の区分と雇用形態(短時間労働者かどうか)によって異なります。
| 対象労働者の区分 | 短時間労働者以外 | 短時間労働者 |
|---|---|---|
| 高年齢者等(60歳以上など) | 90万円(大企業75万円) | 60万円(大企業45万円) |
| 障害者等(身体・知的・精神・発達) | 180万円(大企業75万円) | 120万円(大企業45万円) |
| 重度障害者等・45歳以上の障害者等 | 360万円(大企業150万円) | 対象外 |
助成金は一括支給ではなく、助成対象期間(1〜3年)を分けて複数回に分割して支給されます。第1期は採用から一定期間後、第2期以降は期ごとに申請が必要です。
申請の流れ
本助成金を受給するには、以下のステップで手続きを進めます。
- ハローワークに求人を出す:就職困難者の採用はハローワーク経由の紹介が必須です。
- ハローワークの紹介状を受けて採用:紹介状なしの採用は助成対象外となります。
- 雇用開始後、6か月ごとに支給申請:様式第3号(第1期)、様式第4号(第2期以降)を労働局またはハローワークへ提出します。
- 賃金台帳・出勤簿などを整備:申請の際に提出が必要です。
- 電子申請も可能:オンラインでの提出にも対応しています。
注意点:令和7年度限りで廃止予定
- 本コースは令和7年度(2025年度)限りで廃止となる予定です。令和8年4月以降の申請分からは賃金台帳の提出が必須となる等、運用が変わります。
- 現在受給中・申請中の方は、担当のハローワークに最新情報を確認してください。
- 今後の採用には、通常の特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の活用をご検討ください。
まとめ:DX・脱炭素人材の採用に最大360万円
特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)は、就職困難者を成長分野で採用・育成する企業に対して、最大360万円もの高額助成を提供する制度です。
特に中小企業の場合は大企業より高い助成率が設定されており、人材採用コストの大幅な削減につながります。ただし、令和7年度で廃止予定のため、申請を検討されている場合は早めにハローワークへ相談することをおすすめします。
助成金の申請は、要件の確認から書類作成まで複雑な手続きが伴います。西宮市の社労士事務所、武田社会保険労務士事務所では、助成金申請のサポートを承っております。お気軽にご相談ください。

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