「障害者を採用したいけど、何から始めればいいかわからない」「せっかく採用しても職場になじめずに辞めてしまう…」
そんなお悩みを持つ中小企業の経営者・人事担当者の方に、ぜひ知っていただきたい新しい制度があります。
それが障害者雇用相談援助助成金です。2024年(令和6年)4月にスタートした比較的新しい制度で、専門家(認定事業者)によるサポートを通じて、障害者の採用・定着をバックアップする仕組みが整っています。
この記事では、制度の仕組みから支給額、申請の流れまで、社労士がわかりやすく解説します。
障害者雇用相談援助助成金とは?
障害者雇用相談援助助成金とは、障害者の雇用・定着に必要な知識やノウハウが不足している事業主(利用事業主)に対し、都道府県労働局長から認定を受けた専門機関(認定事業者)が相談援助サービスを提供した場合に、その認定事業者に支給される助成金です。
厚生労働省が制度設計し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が支給業務を担当しています。
障害者雇用率の段階的引き上げ(2024年4月に2.5%→2025年7月に2.7%)に合わせ、企業の障害者雇用を専門家の力で後押しするために創設されました。
制度の仕組み:三者連携でサポート
本制度は「利用事業主」「認定事業者」「ハローワーク(労働局)」の三者が連携して機能します。
- 利用事業主:障害者を採用したい、または雇用を継続したい企業・事業主
- 認定事業者:都道府県労働局長から認定を受けた専門の相談援助機関(社労士事務所、障害者就労支援機関など)
- ハローワーク・労働局:雇用指導を担い、認定事業者と一体となって支援を行う
認定事業者がハローワークの雇用指導と連携しながら相談援助を実施し、障害者の採用または雇用継続が実現した場合に、JEEDから認定事業者へ助成金が支給されます。
利用事業主(相談を受ける企業)の要件
認定事業者のサービスを利用するためには、以下の要件が必要です。
- 雇用保険の適用事業主であること
- ハローワーク(公共職業安定所)に求人申込をしていること
- 認定事業者から障害者の雇入れまたは雇用継続のための相談援助を受けること
- 障害者の採用または雇用継続が実現すること
認定事業者(支援を提供する側)の要件
認定事業者として都道府県労働局長の認定を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
| 要件の種類 | 内容 |
|---|---|
| 法人要件 | 障害者雇用管理に関する相談業務または実務経験を有すること |
| 事業実施責任者 | 5年以上の業務・実務経験+2年以上の総括的指導監督経験を有すること |
| 事業実施者 | 3年以上の障害者雇用管理に関する業務・実務経験を有すること |
| 障害者雇用状況 | 法定雇用障害者数以上の障害者を雇用していること |
| 欠格事由 | 不正受給歴がない等、欠格事由に該当しないこと |
社会保険労務士事務所や障害者就労支援機関などが認定事業者となることができ、認定申請は主たる事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に対して行います。
支給額の詳細
認定事業者に支給される助成額は以下のとおりです。
| 支援先の区分 | 基本額 | 加算額(1人あたり・最大4人) |
|---|---|---|
| 中小企業事業主または除外率設定業種への支援 | 80万円 | 10万円/人(最大40万円) |
| 上記以外(大企業等)への支援 | 60万円 | 7.5万円/人(最大30万円) |
中小企業への支援:基本額80万円+加算10万円×4人=最大120万円
大企業等への支援:基本額60万円+加算7.5万円×4人=最大90万円
加算額は、相談援助によって採用・継続雇用された障害者が6ヶ月以上雇用継続された場合に上乗せ支給されます。
対象となる障害者
相談援助によって雇用・継続雇用される対象障害者として認められるのは、以下の方々です。
- 身体障害者(身体障害者手帳所持者)
- 知的障害者(療育手帳所持者)
- 精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)
- 発達障害者(自閉症スペクトラム障害・ADHD等)
申請の流れ
本助成金は「認定事業者」がJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)都道府県支部に対して申請します。
- 認定申請:都道府県労働局へ「障害者雇用相談援助事業者」としての認定を申請する
- 利用事業主との連携:ハローワークと連携しながら、相談援助サービスの提供を開始する
- 支援の実施:採用支援・職場環境整備・職場定着支援などを継続的に行う
- 支給申請(基本額):対象障害者の雇入れまたは継続雇用が確認されたタイミングでJEED支部へ支給申請
- 支給申請(加算額):6ヶ月継続雇用が確認された後、1人ずつ加算分を申請
申請様式はJEED公式サイトからダウンロードできます。
利用事業主(障害者を採用したい企業)にとってのメリット
本助成金は認定事業者に支給されるものですが、その恩恵は利用事業主(障害者を採用したい企業)にも及びます。
- 無料または低コストで専門家の支援を受けられる:認定事業者は助成金で収益が補填されるため、低廉な費用でサービスを提供できます
- 採用から定着まで一貫サポート:求人票の書き方、面接対応、職場環境整備、定着管理まで専門家が継続的に支援
- ハローワーク連携でマッチング精度が向上:認定事業者とハローワークが連携するため、採用後のミスマッチが減少します
障害者雇用率の引き上げと今後の注目度
障害者雇用率は段階的に引き上げられており、これまで雇用義務のなかった規模の企業でも新たに対象となるケースが増えています。
| 時期 | 法定雇用率 | 雇用義務が生じる目安 |
|---|---|---|
| 2024年4月〜 | 2.5% | 従業員40人以上の企業 |
| 2025年7月〜 | 2.7% | 従業員約37.5人以上の企業 |
法定雇用率を下回ると障害者雇用納付金(不足1人あたり月5万円)の納付義務が生じます。早めに専門家に相談して体制を整えることが重要です。
障害者雇用相談援助助成金に関する詳細要件や申請手続きは変更される場合があります。最新情報は厚生労働省の公式ページまたはJEED都道府県支部にご確認ください。
まとめ
障害者雇用相談援助助成金は、2024年に創設された新しい制度で、認定を受けた専門機関(社労士事務所など)が障害者雇用支援サービスを提供し、その成果(雇用実現・定着)に応じて助成金が支給される仕組みです。
- 基本額:中小企業向けサービスで80万円(大企業等は60万円)
- 加算額:雇用継続6ヶ月以上で1人10万円(最大4人・最大40万円)
- 最大受給額:120万円(中小企業支援の場合)
障害者雇用率の引き上げが続く中、専門家のサポートを活用しながら採用・定着を実現し、その支援コストを助成金でカバーできる本制度は、今後ますます注目が集まると予想されます。
「障害者雇用をどう進めればよいかわからない」「認定事業者として活動することを検討している」といった方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

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