障害者トライアル雇用助成金とは?採用前の「試し雇用」で企業も求職者も安心
「障害のある方を採用してみたいが、うまく業務をこなせるか不安…」「本採用前にお互いの適性を確認したい」という事業主の方は多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するのが、障害者トライアル雇用助成金です。この助成金は、障害のある求職者を一定期間「試用採用(トライアル雇用)」し、その間の賃金の一部を国が助成する制度です。
企業・求職者双方にとって「相互理解を深め、本採用につなげる」ためのマッチング支援制度として、厚生労働省が運営しています。
2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられ、障害者雇用への対応が急務となっています。この助成金を活用することで、採用リスクを低減しながら雇用率改善を目指すことが可能です。
2つのコースの概要
障害者トライアル雇用助成金には、「障害者トライアルコース」と「障害者短時間トライアルコース」の2種類があります。
①障害者トライアルコース(一般型)
就労経験が少ない、または就職後すぐ離職・転職を繰り返してきた障害者を試用採用する事業主を支援するコースです。障害があることで就職活動がうまくいかない方々に、実際の職場での就労機会を提供し、本採用につなげることを目的としています。
②障害者短時間トライアルコース(精神・発達障害者向け)
精神障害者または発達障害者に特化したコースです。週20時間以上の通常勤務が難しい方を、段階的に労働時間を延ばしながら職場に慣れていく仕組みです。最長12ヶ月の試用期間を設け、職場定着をじっくり支援できる点が大きな特徴です。
対象となる労働者の要件
障害者トライアルコース(対象障害者)
ハローワーク等を通じて紹介された障害者で、以下のいずれかに該当する方:
- 就労経験のない職業への就職を希望している
- 過去2年以内に、離職・転職を2回以上繰り返している
- 離職期間が6ヶ月を超えている
- 重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者
障害者短時間トライアルコース(対象障害者)
- 精神障害者または発達障害者に限定
- 週の所定労働時間が10時間以上20時間未満でトライアル雇用を開始する方
支給額の比較
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| 対象者の障害区分 | 支給期間 | 月額支給額 |
|---|---|---|
| 精神障害者 | 最初の3ヶ月 | 月額最大8万円 |
| 精神障害者(延長) | その後の3ヶ月 | 月額最大4万円 |
| その他の障害者(身体・知的等) | 最長3ヶ月 | 月額最大4万円 |
精神障害者は最大で合計36万円(3ヶ月×8万円+3ヶ月×4万円)が支給されます。
障害者短時間トライアルコースの支給額
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月額支給額 | 最大4万円 |
| 支給期間 | 最長12ヶ月 |
| 最大受給額 | 合計最大48万円 |
| 対象者 | 精神障害者・発達障害者のみ |
短時間トライアルコースでは、週10〜20時間未満の勤務から始め、終了時には週20時間以上への移行を目指します。
申請の流れ
STEP1:ハローワークで求人申込み
「障害者トライアル雇用」として求人をハローワークに申込みます。通常の求人申込みとは別に、トライアル雇用専用の手続きが必要です。
STEP2:ハローワークによる求職者の紹介
ハローワーク(または特定の民間就職支援機関)から、トライアル雇用対象となる障害者が紹介されます。
STEP3:トライアル雇用契約の締結
事業主と対象者の間で「有期雇用契約(トライアル期間)」を結びます。契約書には試用期間・賃金・労働時間等を明記します。
STEP4:支給申請
トライアル雇用期間が終了したら、翌月の末日までに管轄の労働局またはハローワークに支給申請書を提出します。電子申請も可能です(GビズID利用)。
STEP5:本採用の検討
トライアル終了後に、本採用(常用雇用)へ移行するかどうかを双方で協議します。法的義務はありませんが、実績上、多くのケースで本採用に繋がっています。
この助成金を活用するメリット
メリット①:採用リスクの大幅低減
障害のある方の採用において「どんな業務なら任せられるか」「職場の雰囲気に合うか」を実際に勤務してもらいながら確認できます。いわば「お試し期間」を国の助成金でカバーできるため、採用側の経済的リスクが大幅に軽減されます。
メリット②:法定雇用率の改善に直結
2026年7月から法定雇用率が2.7%に引き上げられました。トライアル雇用中でも障害者として雇用率のカウントに算入でき、雇用率改善の即効策となります。
メリット③:精神・発達障害者の採用ハードルを下げる
短時間トライアルコースでは、週10時間から段階的に勤務時間を増やしていけるため、「フルタイムでは難しいが、短時間なら力を発揮できる人材」を採用するチャンスが広がります。
メリット④:職場定着率の向上
トライアル期間を通じて職場環境を整え、双方の理解を深めてから本採用に移行するため、離職リスクが低い安定した雇用が実現しやすくなります。
注意点:対象にならないケース
- ハローワーク等を通さずに採用した場合(縁故採用等はNG)
- 事業主の親族(3親等以内)を雇用する場合
- すでに常用雇用していた者を再雇用する場合
- 過去にトライアル雇用を行い、本採用せずに解雇等した場合
- 申請書類の提出が期限を過ぎた場合
ハローワークを通じた紹介が必須要件のため、必ず事前にハローワークへ求人申込みを行ってください。
まとめ:障害者雇用の第一歩として最適な助成金
障害者トライアル雇用助成金は、「障害者雇用を始めたいが、初めてで不安」という事業主にとって非常に活用しやすい制度です。特に以下のような企業・事業所にとっては、今すぐ取り組む価値があります:
- 2026年7月の法定雇用率引上げ(2.7%)への対応が必要な企業
- 障害者雇用の経験がなく、まず「試してみたい」と思っている事業主
- 精神・発達障害のある方を採用検討中だが、どう対応すれば良いか悩んでいる企業
制度の詳細やご自身の状況に合ったコースの選択、申請手続きについては、西宮市の社会保険労務士・武田雅子事務所にお気軽にご相談ください。
社会保険労務士事務所SR武田雅子
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※本記事の情報は令和8年8月時点のものです。制度の内容は変更になる場合がありますので、最新情報は厚生労働省・ハローワークにてご確認ください。

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