「男性にも育休を取ってほしいけれど、業務が回るか心配……」——そんな悩みを抱える事業主の方に、ぜひ知っていただきたい助成金があります。
厚生労働省の両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性労働者が育児休業(産後パパ育休)を取得しやすい職場環境を整備した企業に対して、最大77万円(プラチナくるみん認定で最大127万円)が支給される助成金です。
2022年10月に「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が創設されたことを受け、男性育休の取得促進が国の重点政策となっています。この記事では、制度の概要から申請方法まで、社労士がわかりやすく解説します。
出生時両立支援コースとは?
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、以下の2段階で構成されています。
- 第1種:男性労働者が子の出生後8週以内に育児休業を取得した場合に支給(中小企業事業主のみ)
- 第2種:一定期間内に男性の育休取得率が向上した場合に追加支給(常時雇用300人以下の企業)
「産後パパ育休」とは、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)の育児休業を分割して取得できる制度です。2022年10月から施行された比較的新しい制度で、通常の育児休業と別に取得できることが特徴です。
支給額はいくら?
| 区分 | 支給額 |
|---|---|
| 第1種:男性育休取得(1人目) | 20万円(雇用環境整備4つ以上で30万円) |
| 第1種:2〜3人目 | 各10万円 |
| 第2種:育休取得率の上昇等 | 60万円(プラチナくるみん認定で+15万円) |
| 情報公表加算 | +2万円 |
条件をすべて満たした場合、最大77万円(プラチナくるみん認定があれば最大127万円)が支給されます。
誰が対象?(支給要件)
第1種の要件(中小企業事業主)
第1種を受給するには、事前に以下の準備が必要です。
- 育児休業制度を就業規則に具体的に規定(「育児・介護休業法に準拠する」だけでは不十分)
- 一般事業主行動計画を策定・届出・公表
- 業務代替者の業務整理・見直しに関する規定を策定
- 雇用環境整備措置を複数実施
雇用環境整備措置(5項目から複数選択):
- 育児休業取得事例の収集・提供
- 育児休業制度や育休取得促進に関する研修の実施
- 育児休業に関する相談体制の整備
- 育児休業取得を促進するための社内制度の構築
- 育児休業取得に関する方針の周知
対象となる男性労働者の条件:
- 子の出生後8週間以内に育児休業を開始
- 連続して14日以上(中小企業は5日以上)取得
- 育休終了後に職場復帰し、6ヶ月以上継続雇用されること
第2種の要件
第1種を受給した後、以下の条件を満たすと第2種が受給できます。
- 第1種受給後の3年間のうちに、男性育休取得率が30ポイント以上向上かつ50%以上を達成
- またはくるみん認定・プラチナくるみん認定を取得
申請の流れ
- 事前準備:就業規則の整備・行動計画の策定届出・雇用環境整備措置の実施(育休開始日の前日までに完了必須)
- 育児休業の取得:対象男性労働者が要件を満たす育休を取得
- 職場復帰・継続雇用:育休終了後に職場復帰し6ヶ月以上勤務
- 支給申請:都道府県労働局に申請書類一式を提出(育休終了日の翌日から2ヶ月以内)
- 審査・支給:審査を経て助成金が振り込まれる
⚠️ 注意点:申請期限は到達日基準で厳格に運用されます。また、第2種を申請した後は第1種の申請ができなくなるため、申請の順序も重要です。
中小企業がこの助成金を活用するポイント
男性育休取得率の向上は、採用力の強化と従業員の定着率向上に直結します。特に若い世代を採用したい中小企業にとって、育休が取りやすい職場環境はアピールポイントになります。
活用する際のチェックリスト:
- ✅ 就業規則に育児休業制度を具体的に規定する(「法律に準拠」だけでは不可)
- ✅ 雇用環境整備措置を育休開始前日までに実施する
- ✅ 業務代替体制の規定を文書化しておく
- ✅ 申請期限を管理する(育休終了翌日から2ヶ月以内)
- ✅ 第1種→第2種の申請順序を守る
まとめ
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性育休の取得環境を整備した中小企業を国が金銭的にサポートする制度です。最大77万円(条件によっては127万円)の助成を受けながら、職場環境の改善も実現できます。
ただし、申請には事前準備が必須で、就業規則の整備・行動計画の届出・雇用環境整備措置の実施を育休取得前に完了しておく必要があります。「男性が育休を取る予定がある」とわかった時点で、早めに準備を始めることをお勧めします。
西宮市や阪神間で男性育休の取得促進や助成金活用についてのご相談は、たけだ社会保険労務士事務所にお気軽にお問い合わせください。

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