厚生労働省は2026年8月7日、令和7年度の「厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要」を公表しました。最大のポイントは、年金積立金が時価ベースで過去最高となる302兆5,893億円に達したことです。これは年金制度の安定性を示す重要な指標であり、従業員から「老後の年金って本当に大丈夫なの?」と聞かれたときに、経営者・人事担当者が正しく説明できるよう、今回は年金積立金の最新データと、その意味を解説します。
- 令和7年度の年金積立金は時価ベースで302兆5,893億円(過去最高)
- 厚生年金保険の積立金は6年連続増加(前年度比+41兆2,005億円)
- 国民年金の積立金も2年ぶりに増加(+1兆3,132億円)
- 従業員の「年金不安」に答えるための制度理解が経営者にも必要
令和7年度 年金積立金の決算概要
厚生労働省が発表した令和7年度の収支決算の主なデータは以下のとおりです。
厚生年金保険の収支(令和7年度)
| 項目 | 令和7年度 | 令和6年度(前年度) |
|---|---|---|
| 歳入 | 53兆3,210億円 | 50兆3,537億円 |
| 歳出 | 51兆5,557億円 | 47兆2,802億円 |
| 歳入歳出差 | 1兆7,653億円 | 3兆0,735億円 |
国民年金の収支(令和7年度)
| 項目 | 令和7年度 | 令和6年度(前年度) |
|---|---|---|
| 歳入 | 4兆3,312億円 | 3兆7,632億円 |
| 歳出 | 4兆2,602億円 | 3兆7,349億円 |
| 歳入歳出差 | 709億円 | 282億円 |
年金積立金の残高
| 種別 | 令和7年度末 | 令和6年度末 |
|---|---|---|
| 年金積立金(簿価ベース) | 130兆2,837億円 | 128兆3,993億円 |
| 年金積立金(時価ベース) | 302兆5,893億円(過去最高) | 260兆0,757億円 |
なぜ積立金が過去最高を更新できたのか?
年金積立金の運用は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が行っています。令和7年度も株式市場を中心に運用益が拡大し、時価評価ベースで前年度から約42兆円もの大幅増加となりました。
GPIFは国内外の株式・債券に分散投資をしており、近年の株価上昇が積立金の時価評価額を押し上げた形です。ただし、時価ベースの積立金は市場環境により変動しますので、「過去最高=年金は永遠に安全」と単純に断言することはできませんが、現状では非常に良好な状態にあります。
「年金は大丈夫?」従業員から聞かれたときの正しい答え方
採用活動や社内説明会の場で、特に若い従業員から「老後に年金はもらえるの?」という質問を受けることがあります。経営者や人事担当者として、以下のポイントを押さえておきましょう。
ポイント①:年金財政は定期的に検証されている
厚生労働省は5年ごとに「財政検証」を実施し、100年先までの年金財政の見通しを公表しています。現行制度では、積立金の活用と保険料収入・税金投入を組み合わせることで、長期的な給付が見込まれています。
ポイント②:マクロ経済スライドで給付水準を調整
少子高齢化が進む中で年金給付水準が下がりすぎないよう、「マクロ経済スライド」という仕組みが設けられています。現役世代が少なくなる分だけ給付を調整し、財政の長期安定を図る制度です。
ポイント③:今の積立金302兆円は「将来の給付の備え」
日本は「賦課方式」(現役世代が払う保険料で現在の年金受給者を支える方式)を基本としつつ、積立金も活用しています。302兆円超の積立金は、将来の給付水準の安定化に活用される財源です。
経営者・人事担当者が今できること
年金制度の理解は、従業員の安心感につながり、採用や定着にも影響します。以下の対応を検討してください。
- 社会保険制度の基礎知識を社内で共有する
入社時のオリエンテーションや定期的な研修で、厚生年金・国民年金の仕組みを説明しましょう。 - 従業員に「ねんきん定期便」の確認を促す
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を確認することで、自分の将来受給見込み額を把握できます。活用を促しましょう。 - 企業型DC(確定拠出年金)の導入も検討
公的年金に加え、会社として企業型確定拠出年金(DC)を導入することで、従業員の老後保障を充実させることができます。人材採用・定着にもプラスです。
まとめ:過去最高の積立金は「年金制度の健全性」の証
令和7年度の年金積立金が時価ベースで302兆5,893億円と過去最高を記録したことは、現状の年金財政が一定の健全性を保っていることを示しています。もちろん少子高齢化という構造的な課題はありますが、GPIFによる積立金の運用成果と、財政検証に基づく制度設計が機能していると言えます。
従業員の「年金不安」に対して正しい情報で答えられる経営者・人事担当者であることは、信頼される会社づくりにつながります。年金や社会保険に関するご相談は、お気軽に西宮市の社会保険労務士事務所・竹田社労士事務所へご相談ください。
出典:全国社会保険労務士会連合会「NEWS HEADLINE」(2026年8月18日)
原資料:厚生労働省年金局「令和7年度厚生年金保険・国民年金の収支決算の概要」(2026年8月7日公表)
竹田社労士事務所は、西宮市を中心に兵庫県・大阪府の中小企業の労務管理・社会保険手続きをサポートしています。社会保険・年金・助成金・就業規則に関するご相談はお気軽にどうぞ。

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