助成金とITに強い社労士!

テックの力で業績・働き方をリフトします。兵庫(西宮市)を中心に、大阪・京都など関西エリアの社労士をお探しなら、まずはお気軽にお電話ください!


副業・兼業を認めるとどうなる?労働時間の通算ルールと36協定の落とし穴を社労士が解説


政府の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定以降、副業・兼業を認める企業が増えています。しかし「副業を認めたら終わり」と思っていたら大きな落とし穴があります。労働時間の通算ルール36協定の管理を正しく理解していないと、知らないうちに労働基準法違反になる可能性があります。本記事では、西宮市・阪神エリアの中小企業向けに、副業・兼業解禁時の労務管理上の注意点を社労士がわかりやすく解説します。

1. 副業・兼業解禁の流れ

2018年に厚生労働省がモデル就業規則を改定し、副業・兼業を原則禁止から原則容認へと転換しました。2022年には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定され、労働時間管理の方法が整理されました。

副業・兼業を認めることで、従業員の収入増・スキルアップ・エンゲージメント向上などのメリットがある一方、会社側には適切な労務管理義務が生じます。

2. 労働時間の通算ルールとは(労働基準法第38条)

労働基準法第38条第1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。

つまり、A社(本業)で7時間 + B社(副業)で3時間 = 合計10時間となり、法定労働時間(1日8時間)を超えた2時間分について、後から契約を締結した側(B社)が割増賃金を支払う義務を負います。

この原則により、副業先(B社)は本業の労働時間も把握した上で雇用管理をしなければなりません。

3. 管理モデルと簡便な労働時間管理

副業・兼業の労働時間通算には、2022年のガイドライン改定で「管理モデル」という方法が導入されました。

管理モデルとは

副業・兼業開始前に、本業・副業それぞれで上限となる労働時間数をあらかじめ設定し、それぞれがその上限を超えないよう管理する方法です。設定した上限時間の範囲内であれば、実際の労働時間を毎月詳細に把握・通算する必要がなくなります。

例:本業(A社):週40時間以内、副業(B社):週10時間以内と設定すれば、合計で週50時間以内の範囲で管理できます(法定の割増賃金義務は本業側が負担する取り決めが一般的)。

従来の通算管理との違い

従来は毎月の実労働時間を通算して割増賃金の発生の有無を確認する必要がありましたが、管理モデルでは上限時間の範囲内で働いている限り通算計算が不要になります。実務的に使いやすい仕組みです。

4. 36協定はどちらの会社で締結すべきか

通算後の労働時間が法定労働時間を超える場合、36協定(時間外・休日労働協定)が締結されている必要があります。

通算時間管理の原則では:

  • 本業(先に契約した会社):法定労働時間内の時間外労働について36協定が必要
  • 副業(後から契約した会社):本業分の労働時間も通算した上で法定を超える分について36協定が必要

特に副業先となる会社(新たに雇用契約を結ぶ側)が、通算後の時間外労働について責任を負う点に注意が必要です。採用する際に本業の労働時間を確認・申告させる仕組みを整えておきましょう。

5. 副業・兼業規程で定めるべき5つのポイント

副業・兼業を認める場合は、就業規則に副業規程(兼業規程)を設け、以下の点を明確にしましょう。

① 事前申告・許可制の導入

副業・兼業を開始する前に会社への申告・許可を義務付けます。申告内容には、副業先の会社名・業務内容・労働時間(週何時間か)・期間を含めます。

② 禁止・制限できる場合の列挙

副業・兼業を禁止または制限できる合理的な理由を就業規則に明記します。例えば:

  • 競業他社での就業(競業避止)
  • 本業への支障が生じる場合(健康状態の悪化、遅刻・欠勤の増加)
  • 会社の機密情報を使用する恐れがある場合
  • 会社の名誉・信用を傷つける業務

③ 労働時間の通算・自己申告義務

副業先の労働時間を本人に自己申告させ、通算後の労働時間が36協定の上限を超えないよう管理する仕組みを設けます。

④ 健康管理の義務

会社は従業員の健康確保のため、副業・兼業中も健康診断の受診・結果確認と、過重労働にならないよう配慮する義務を負います。副業申告後も定期的に状況を確認しましょう。

⑤ 副業収入の取り扱い(社会保険・税務)

副業収入が一定額を超えると、本人の確定申告義務が生じます。また、複数の雇用先がある場合の社会保険の取り扱い(特定適用事業所での加入義務等)にも注意が必要です。

6. 副業・兼業に関するよくある誤解

誤解①:「就業規則で副業禁止にすれば問題ない」

副業・兼業の一律禁止は、正当な理由がなければ無効と判断されることがあります(東京地裁平成30年など)。就業規則で禁止している場合も、競業・守秘義務違反など合理的な理由のない副業禁止規定は、裁判で争われるリスクがあります。

誤解②:「副業を認めたら時間外管理は副業先の責任」

通算ルールにより、本業側にも労働時間管理の責任があります。副業開始前の労働時間確認と、申告内容の定期的な更新が必要です。

誤解③:「副業は雇用だけでなく業務委託なら問題ない」

業務委託・フリーランスとしての副業は労働基準法の通算対象外ですが、実態が雇用(指揮命令関係がある)と判断されれば通算義務が生じます。

7. 社労士からのアドバイス

副業・兼業の解禁は従業員の多様な働き方を実現するための重要な制度ですが、会社側の労務管理の手間も増します。重要なのは:

  • 副業規程(就業規則)の整備:事前申告・許可制を明確化
  • 管理モデルの活用:上限時間を設定して簡便管理
  • 健康管理の継続:過重労働防止は会社の義務

当事務所では、副業・兼業規程の整備・就業規則の見直し・労働時間管理のルール作りをサポートしています。「副業を認めたいがどうルール化すればいいかわからない」という方はお気軽にご相談ください。

まとめ

  • 労働基準法第38条により、複数の雇用先の労働時間は通算される
  • 通算後に法定労働時間を超えた場合、後に契約した副業先が割増賃金を支払う義務を負う
  • 管理モデルを活用すれば、上限時間の範囲内での実労働時間通算が不要になる
  • 副業・兼業を認める場合は就業規則に副業規程を整備し、事前申告・許可制を導入する
  • 副業中も健康管理義務は会社が負う

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top