障害のある従業員を採用したものの、「通勤手段の確保が難しい」「送り迎えにコストがかかっている」といった悩みを抱えていませんか?
重度の身体障害や知的障害、精神障害のある方は、公共交通機関を利用した通勤が困難なケースも多く、事業主が独自に通勤支援を行うと費用の負担が重くなりがちです。
そんな事業主を支援するのが、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施する「重度障害者等通勤対策助成金」です。
この助成金を活用すれば、通勤用バスの購入・駐車場の賃借・通勤援助者の配置など9種類の通勤支援措置に要した費用の4分の3が助成されます。本記事では、その概要と各メニューの支給額を社労士がわかりやすく解説します。
重度障害者等通勤対策助成金とは
重度障害者等通勤対策助成金とは、重度の身体障害者・知的障害者・精神障害者を雇用する事業主が、これらの障害者の通勤を容易にするための措置を講じた場合に、その費用の一部を助成する制度です。
運営主体は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)であり、各都道府県にある支部の「高齢・障害者業務課」または「高齢・障害者窓口サービス課」に申請します。
助成金の特徴は、支給対象費用の4分の3(75%)を助成するという高い助成率にあります。通勤支援の方法・状況に応じて9種類のメニューが用意されており、事業所の実態に合わせて選択できます。
対象となる障害者の種類
本助成金の対象となる従業員は、次の障害のある方です。
- 重度身体障害者(身体障害者手帳1・2級相当)
- 知的障害者(療育手帳所持者等)
- 精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者等)
- 通勤が特に困難な身体障害者(重度以外でも通勤が困難と認められる場合)
雇用形態は正社員・パート・アルバイトを問わず、雇用保険の被保険者であることが必要です。また、対象となる障害者を雇用する事業主団体も申請できます。
9つの助成メニューと支給額
通勤支援の方法に応じて、以下の9種類のメニューが用意されています。
| メニュー | 内容 | 支給上限額・助成率 | 助成期間 |
|---|---|---|---|
| ①重度障害者用住宅の賃借 | 職場近くに障害者用住宅を借り上げて提供する場合 | 月10万円(世帯用)/月6万円(単身用) | 10年間 |
| ②指導員の配置 | 通勤のための指導を行う職員を配置する場合 | 月15万円/人(費用の3/4) | 10年間 |
| ③住宅手当の支払 | 職場に近い住居への転居等に伴い住宅手当を支給する場合 | 月5万円/人(費用の3/4) | 10年間 |
| ④通勤用バスの購入 | 5人以上の重度障害者等を乗せる送迎バスを購入する場合 | 700万円/台(費用の3/4) | 1回 |
| ⑤通勤用バス運転従事者の委嘱 | 送迎バスの運転者に手当を支給する場合 | 6,000円/回(費用の3/4) | 10年間 |
| ⑥通勤援助者の委嘱 | 通勤を援助する者(ガイドヘルパー等)に手当を支給する場合 | 2,000円/回、30,000円/認定(費用の3/4) | 3ヶ月 |
| ⑦駐車場の賃借 | 通勤用に駐車場を借り上げる場合 | 月5万円/人(費用の3/4) | 10年間 |
| ⑧通勤用自動車の購入 | 障害者が通勤に使う自動車を購入・改造する場合 | 150万円(上肢障害等は250万円)(費用の3/4) | 1回 |
| ⑨重度訪問介護サービス利用者等通勤援助 | 重度訪問介護サービスを利用して通勤する場合の援助 | 費用の3/4(上限あり) | 期間制限あり |
同一の対象障害者・措置について複数のメニューを併用することも可能です(一部制限あり)。
申請の流れ
本助成金の申請は、事前に計画を届け出て認定を受けてから実施するという流れになっています。
- ① 事前相談・計画申請:管轄のJEED都道府県支部(高齢・障害者業務課)に相談し、「受給資格認定申請書」を提出して認定を受けます。
- ② 通勤支援措置の実施:認定された計画に基づき、通勤支援措置を実施します。
- ③ 支給申請:措置を実施した後、支給申請書と領収書等の添付書類を提出します。
- ④ 支給決定・振込:審査を経て、助成金が指定口座に振り込まれます。
計画の認定を受ける前に措置を実施した場合は助成対象外となることがあるため、必ず事前に相談・申請してください。
よくある質問
Q. 中小企業でも利用できますか?
はい、企業規模を問わず利用できます。ただし、助成率・上限額は企業規模により異なる場合がありますので、JEED支部にお問い合わせください。
Q. すでに通勤用自動車を購入している場合は対象になりますか?
原則として、認定を受ける前に購入したものは対象外です。今後の購入・改造について事前に申請する必要があります。
Q. 複数の障害者の通勤支援をした場合、人数分申請できますか?
はい、対象となる障害者の人数分、それぞれについて申請できます。例えば、駐車場を2名分借りた場合は2人分の助成を受けることができます。
Q. 精神障害者の通勤支援も対象になりますか?
はい、精神障害者保健福祉手帳を持つ方や、医師の診断書等により精神障害があると認められる方も対象です。
まとめ
重度障害者等通勤対策助成金は、障害のある従業員の通勤支援にかかる費用の4分の3(75%)を助成してくれる実用的な制度です。
通勤用バスの購入(上限700万円)、自動車の購入(上限250万円)、駐車場の賃借(月5万円×10年)など、支援の規模に応じた幅広いメニューが揃っています。
障害者雇用を積極的に進めている事業主の方、または今後雇用を検討している方は、ぜひこの制度を活用してください。
重度障害者等通勤対策助成金の申請手続きや要件確認でお困りの場合は、西宮市の社会保険労務士事務所 SR武田事務所にご相談ください。障害者雇用に関する手続き全般をサポートいたします。

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