カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先などから受ける、業務上の正当な範囲を超えた言動によって、従業員の就業環境が損なわれることをいいます。具体例としては、「長時間にわたるクレームや怒鳴り声」「土下座の強要」「SNSへの投稿を脅し文句に使う」「不当な返品・過剰サービスの要求」などが挙げられます。
近年、こうした行為が労働者の精神的健康を著しく害するケースが増加しており、社会問題として注目されています。
法改正のポイント:2026年10月から何が変わる?
令和7年6月、労働施策総合推進法等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)が公布されました。この改正により、2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の「努力義務」から「義務」へと格上げされます。
これまでパワーハラスメント・セクシュアルハラスメントには防止措置の義務がありましたが、カスハラについては努力義務にとどまっていました。今回の改正でその扱いが大きく変わります。
事業主が講ずべき5つの措置
厚生労働省が定める指針では、事業主は以下の措置を講じることが求められています。
- ①方針の明確化と周知・啓発:カスハラを許容しないことを就業規則や社内方針として明文化し、全従業員に周知する
- ②実態把握のための体制整備:被害の実態を定期的に把握するためのアンケートや報告ルートを整備する
- ③相談窓口の設置:従業員がカスハラ被害を相談できる窓口を設け、その存在を周知する
- ④被害発生時の迅速な対応:カスハラが発生した場合に、従業員を守る行動指針(クレームの担当交代・記録・法的対応)を整備する
- ⑤プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止:相談した従業員の情報を適切に管理し、相談を理由とした不利益な取扱いをしない
いつから?今すぐすべき対応チェックリスト
施行日は2026年10月1日ですが、体制整備には時間がかかるため、今から準備を始める必要があります。以下のポイントを確認してください。
- □ 就業規則にカスハラ防止に関する条項を追加する
- □ 「カスハラ対応マニュアル」を作成し、従業員に配布する
- □ カスハラ相談窓口を設置(社内担当者またはハラスメント外部相談窓口の活用)
- □ 管理職向けのカスハラ対応研修を実施する
- □ 悪質なクレームへの対応フローを整備する(警告書の送付・出入禁止・警察への通報基準等)
注意点:罰則はないが「行政指導・公表」リスクあり
今回の義務化では、直接的な罰金等の罰則は設けられていません。ただし、措置が不十分な場合は、都道府県労働局から行政指導・勧告・企業名の公表を受ける可能性があります。また、カスハラによる従業員の精神疾患や退職が相次いだ場合、会社としての安全配慮義務違反(民法上の損害賠償責任)を問われるリスクもあります。
まとめ
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策は事業主の「義務」になります。接客業・サービス業をはじめ、すべての業種の事業主が対象です。就業規則の整備・相談窓口の設置・マニュアル作成など、今から準備を進めましょう。
カスハラ対策の就業規則整備や社内研修の実施については、たけだリフテック社労士事務所にお気軽にご相談ください。

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