「パートやアルバイトとして長年働いてくれているシニア社員を、もっと安定した形で雇いたい」「65歳超雇用推進助成金に興味があるが、どのコースが自社に合っているかわからない」という経営者・人事担当者の方はいませんか?
65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した事業主に対し、1人あたり最大40万円を支給する助成金です。令和8年4月に要件が改正され、より利用しやすくなりました。
今回は、この助成金の概要・支給要件・申請手続きをわかりやすく解説します。
65歳超雇用推進助成金とは?3つのコースを整理しよう
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者がいきいきと働き続けられる職場づくりを支援するために厚生労働省(業務は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が担当)が設けた助成金です。以下の3つのコースがあります。
| コース名 | 主な対象 | 支給額(中小企業) |
|---|---|---|
| 65歳超継続雇用促進コース | 65歳以上への定年延長・定年廃止等 | 最大160万円 |
| 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース | 高年齢者の人事評価・賃金制度整備 | 最大110万円 |
| 高年齢者無期雇用転換コース | 50歳以上の有期→無期雇用転換 | 1人あたり40万円 |
今回解説する高年齢者無期雇用転換コースは、有期契約で働くシニア社員の雇用を安定させたい企業に特に有効です。
高年齢者無期雇用転換コースとは?
制度の目的
高年齢者の雇用推進を図るため、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換した事業主に助成金を支給する制度です。
有期契約労働者は雇用が不安定になりやすく、特に50代以降は「いつ雇い止めになるか」という不安を抱えながら働くケースも少なくありません。無期雇用への転換により、労働者の雇用安定・モチベーション向上と、企業の人材確保・定着率向上を同時に実現できます。
労働契約法「無期転換ルール」との違い
労働契約法18条の「無期転換ルール」は、同じ事業主との有期労働契約が通算5年を超えた場合に、労働者が申し込めば無期転換できるというルールです。
この助成金はそれを待たず、通算1年以上の雇用期間があれば転換できる点が特徴です。より早い段階でシニア人材の雇用安定を図ることができます。
支給額
令和8年4月の改正により、支給額が以下のとおりに変更されました。
| 事業主の規模 | 支給額(対象労働者1人につき) |
|---|---|
| 中小企業 | 40万円 |
| 中小企業以外 | 30万円 |
例えば、50歳以上の有期契約社員を3人同時に無期雇用に転換した場合、中小企業であれば最大120万円の助成金を受け取ることができます。
対象事業主・対象労働者の要件
対象事業主の主な要件
- 雇用保険の適用事業主であること
- 高年齢者雇用安定法第9条に基づく高年齢者雇用確保措置(65歳までの継続雇用制度など)を講じていること
- 転換後も対象労働者を継続して雇用していること
- 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日までの間に、特定の不正等がないこと
対象労働者の主な要件
- 転換日時点で50歳以上かつ定年年齢未満であること
- 転換日までの有期契約労働者としての雇用期間が通算1年以上であること(令和8年4月改正)
- 転換後に、期間の定めのない雇用契約(無期雇用)で継続して雇用されること
※定年が65歳の会社であれば、65歳未満(64歳以下)の有期契約社員が対象です。定年のない会社は対象外となる場合がありますので、詳細はJEEDへご確認ください。
令和8年4月改正のポイント
令和8年4月8日に支給要領が改正され、以下の変更がありました。
① 支給額が変更
改正前と比較して支給額が見直されました。現行は中小企業40万円、中小企業以外30万円です(詳細はJEEDの最新リーフレットでご確認ください)。
② 有期契約期間の要件が変更
転換日までの有期契約労働者としての雇用期間が通算1年以上に変更されました。改正前は「6ヶ月以上」でしたが、より長期的に有期契約で働いた方を対象とする方向に改正されています。
申請の流れ
STEP 1:事前確認・制度設計
まず、自社の就業規則・雇用契約書を確認し、無期雇用転換の手続きを定めておきます。高年齢者雇用安定法の雇用確保措置を講じていない場合は、先に対応が必要です。
STEP 2:対象労働者の無期雇用への転換
要件を満たす50歳以上の有期契約労働者と無期雇用契約を締結します。転換日は雇用契約書等で明確にしておきましょう。
STEP 3:支給申請
転換日から6ヶ月経過後、管轄する独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の都道府県支部に支給申請書を提出します。申請期間は転換日から6ヶ月以降、一定期間内に申請が必要ですので、事前にJEEDにご確認ください。
申請先
大阪府・兵庫県にお住まいの事業主は、各都道府県のJEED支部が窓口となります。
- 大阪: 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 大阪支部
- 兵庫: 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 兵庫支部
この助成金活用が特に向いている会社とは?
次のような会社は、この助成金を積極的に活用することをお勧めします。
- 定年を60歳に設定しており、60歳前後の有期契約社員が多い会社
- 長年アルバイト・パートとして働いているシニア社員がいる会社
- 人手不足で定着率を上げたい中小企業
- 社員の高齢化が進んでいるが、ベテランの技術・経験を活かしたい会社
- 高年齢者雇用の制度整備を検討している会社(他の65歳超コースとの組み合わせも可能)
65歳超雇用推進助成金を活用する際の注意点
① 支給申請のタイミングを逃さない
転換後に6ヶ月の経過を待ってから申請するため、タイムラインをしっかり管理することが重要です。申請期限を過ぎると受け付けてもらえません。
② 転換前に要件確認を徹底する
「通算1年以上の有期契約期間」の算定方法など、細かい要件があります。転換を実施する前に、必ずJEEDや社会保険労務士に相談して要件を確認しましょう。
③ 他の助成金との組み合わせを検討する
同じ65歳超雇用推進助成金の他のコース(継続雇用促進コース・雇用管理改善コース)や、キャリアアップ助成金(正社員化コース)との組み合わせにより、助成金をより多く活用できる場合があります。
まとめ
65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、50歳以上の有期契約社員を無期雇用に転換することで1人あたり最大40万円(中小企業の場合)が支給される実用的な助成金です。令和8年4月の改正で要件が変わっていますので、早めに要件を確認して準備を進めることをお勧めします。
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※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。助成金の要件・支給額は改正により変更になる場合があります。最新情報は厚生労働省・JEEDの公式サイト、または最寄りのハローワーク・JEED支部にご確認ください。
参考:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)」(令和8年4月改正)

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