「障害者を採用したいが、専任の介助者を雇用する余裕がない」「外部の専門家に介助を依頼しているが、その費用が負担になっている」という経営者の方はいませんか?
JEEDの障害者介助等助成金「職場介助者の委嘱助成金」は、社外(自社雇用以外)の人物に職場介助を委嘱した費用の3/4を助成する制度です。同じ障害者介助等助成金の中に「配置助成金」(自社で介助者を雇用するケース)と「委嘱助成金」(外部に委ねるケース)の2種類があり、それぞれ使い勝手が異なります。
本記事では、委嘱助成金の仕組み・配置助成金との違い・対象要件・申請手続きについてわかりやすく解説します。
職場介助者の委嘱助成金とは?
職場介助者の委嘱助成金は、身体障害者・知的障害者・精神障害者等を雇用する事業主が、その障害者の業務遂行に必要な介助を「外部の者に委嘱(いしょく)」した場合に、その費用の一部を助成する制度です。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が、障害者雇用納付金制度に基づく助成金として運営しており、厚生労働省の一般雇用関係助成金とは別の窓口(JEED都道府県支部)へ申請します。
「配置助成金」と「委嘱助成金」の違いとは?
同じ「職場介助者」に関する助成金でも、「配置」と「委嘱」では大きく異なります。下表で比較してください。
| 項目 | 配置助成金 | 委嘱助成金 |
|---|---|---|
| 介助者の立場 | 自社の常用労働者として雇用 | 外部の者(社外)への委嘱 |
| 助成対象費用 | 配置した介助者の賃金・手当 | 外部の介助者に支払った委嘱費用 |
| 主な利用場面 | 重度障害者が常時介助を要する場合 | 定期的・非常時に外部専門家の介助が必要な場合 |
| 助成率(新規) | 3/4(重度等は4/5) | 3/4 |
| 助成率(継続措置) | 2/3 | 2/3 |
「委嘱」とは、常用労働者として雇い入れるのではなく、特定の業務について外部の専門家・専門機関等に業務を依頼する(任せる)ことを指します。介護事業者、福祉専門家、NPO法人などに介助を依頼した場合が委嘱に当たります。
小規模企業や、障害者を1名だけ雇用している事業主には、専任の介助者を雇用(配置)するよりも、必要なときだけ外部に委嘱するほうが現実的なケースも多くあります。そのような場面でこそ、委嘱助成金が役立ちます。
対象となる事業主・対象障害者の要件
対象となる事業主
以下の要件を満たす事業主が対象です。
- 障害者雇用促進法に基づく適用事業主であること
- 対象となる障害者を継続して雇用している(または新たに雇い入れる)事業主であること
- 障害者雇用納付金の適切な申告を行っていること
- 受給資格認定申請を事前にJEED都道府県支部へ行い、認定を受けること
対象となる障害者の種別
委嘱助成金の対象となる主な障害の種別は以下の通りです。
- 重度の肢体不自由者(上肢・下肢の機能障害)
- 重度の視覚障害者(特に事務的業務に従事する者)
- 重度の知的障害者
- 精神障害者(精神障害者保健福祉手帳取得者)
- 発達障害者(著しく雇用の安定が困難と認められる者)
対象となる具体的な要件は障害の種類・程度によって異なります。事前にJEEDの都道府県支部(兵庫県の場合は兵庫支部)に相談することを強くお勧めします。
助成額・助成率の目安
職場介助者の委嘱助成金の助成率・上限額の目安は以下の通りです。
| 区分 | 助成率 | 上限の目安 |
|---|---|---|
| 新規の委嘱(事務的業務従事の重度視覚障害者等) | 3/4 | 委嘱1回あたり1万円・年間150万円まで |
| 継続措置・中高年齢等措置 | 2/3 | 委嘱1回あたり9,000円・年間135万円まで |
※ 上記は参考値です。令和8年度の正確な金額は、JEEDの最新パンフレット(障害者介助等助成金 Vol.1)または各都道府県支部にご確認ください。
たとえば、事務職で働く重度視覚障害者のために外部の「書類読み上げ担当者」を月15回(1回1時間)委嘱し、1回あたり1万2,000円支払っている場合を考えます。助成率3/4を適用すると1回あたり9,000円の助成(ただし上限1万円)。月15回では月13万5,000円相当の助成が受けられる計算になります(審査結果・上限額による)。
申請の流れ
委嘱助成金の申請手続きは、「受給資格認定申請」→「委嘱の実施」→「支給請求」の流れで行います。
- 事前相談・情報収集:JEED都道府県支部に相談し、自社・対象障害者の要件を確認する
- 受給資格認定申請書の作成・提出:所定の様式をJEED都道府県支部に提出し、受給資格の認定を受ける(持参または郵送、e-Gov電子申請も可)
- 認定後に委嘱を開始:認定を受けた後、外部の介助者に業務介助の委嘱を行う(認定前の委嘱は原則として助成対象外)
- 支給請求書の提出:委嘱実績をまとめ「委嘱に係る費用の支払実績報告書兼助成金支給請求額算定票(助添付様式第76号)」等とともに支給請求書を提出する
- 審査・支給:JEEDによる審査を経て助成金が支給される
こんな事業主にとくにおすすめ
- 小規模事業所で障害者1〜2名を雇用しており、専任の介助者を常用雇用する余裕がない
- 重度視覚障害者が事務職として勤務しており、外部の「読み上げ・書類補助担当者」を委嘱している
- 週数回、外部の介助専門家・福祉事業者に来てもらっている
- 既に障害者雇用納付金の申告を行っており、助成金をまだ十分に活用できていない
「配置助成金は申請したことがあるが、委嘱助成金は知らなかった」という事業主の方も多くいらっしゃいます。既に外部委嘱を行っているのに助成金を活用していない場合、大きな機会損失になります。ぜひ確認してみてください。
まとめ
職場介助者の委嘱助成金は、外部の介助者に職場での業務支援を委ねている事業主を支援するJEED助成金です。配置助成金とは対象費用・申請構造が異なるため、「委嘱を行っているのに配置助成金しか知らなかった」というケースもあります。
兵庫県西宮市のたけだリフテック社労士事務所では、JEED助成金を含む障害者雇用に関する助成金申請支援を行っています。「自社で使えるか確認したい」「申請書類の作成を手伝ってほしい」という方は、お気軽にご相談ください。

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