「うちの会社、残業が月45時間を超えると労基署に呼ばれるって聞いたけど、法律違反じゃないのに?」
こんな疑問を持つ経営者の方もいるかもしれません。実は、法律に違反していなくても、時間外労働が月45時間を超えると労働基準監督署から「指導」が入ることがあります。そして今、この慣行そのものの見直しが政府レベルで議論されています。
政府が「労働時間法制の見直し」を検討中
2026年6月、政府の「日本成長戦略会議 労働市場改革分科会」(第4回会合)において、労働時間に関するルールの見直しが議題になりました。
このとりまとめ案では、次のような方向性が示されています。
- 裁量労働制や変形労働時間制など、労働時間のルールを見直す議論を「夏以降の労働政策審議会」で進める
- 法律違反ではないのに、月45時間超の残業で監督署が指導する慣行についても、指導のあり方を見直す
このとりまとめ案は大筋で了承されており、2026年夏にまとめられる「日本成長戦略」に反映される見込みです。
そもそも「月45時間の残業ルール」とは?
2019年に施行された「働き方改革関連法」により、時間外労働(残業)の上限が法律で定められました。
| 区分 | 上限時間 |
|---|---|
| 原則(月45時間・年360時間) | 超えてはならない目安 |
| 特別条項(臨時的・特別な事情がある場合) | 月100時間未満、年720時間以内など |
月45時間の残業は「法律上の上限」ではなく、あくまで「原則的な目安(限度基準)」です。特別条項付きの36協定を締結している会社であれば、月45時間を超える残業も、一定の条件の下で認められています。
しかし実務の現場では、法律に違反していなくても月45時間を超えた段階で労働基準監督署から「指導」が行われるケースがありました。今回の政府の議論は、この慣行についても「必要があるか改めて検討しよう」という流れです。
「裁量労働制」「変形労働時間制」とは何か?
今回の見直し議論に名前が挙がった2つの制度について、簡単に説明します。
裁量労働制
研究開発や企画・デザイン職など、仕事の進め方を労働者自身の裁量に任せる職種に適用できる制度です。実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間(みなし時間)分の賃金を支払います。
現行では対象職種が限られており、「もっと幅広い職種に適用できるようにすべきか」という議論が続いています。
変形労働時間制
週や月・年単位で労働時間を平均し、1週40時間以内に収まるよう調整する制度です。繁忙期に多く働き、閑散期に少なく働くといった業務の波に対応しやすくなります。小売業、飲食業、建設業などで活用されています。
この制度についても、より使いやすくする方向での見直しが検討されています。
経営者として今、何をすればよいか
今回のニュースは「議論の方向性が示された」段階であり、法律改正はまだ先の話です。現時点で慌てて対応する必要はありませんが、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 現在の残業状況を把握する
従業員の時間外労働が月何時間になっているかを確認しておきましょう。 - 36協定の内容を見直す
「特別条項付きの36協定」を締結していれば、月45時間を超えても一定の条件下で対応できます。未締結の場合や内容が古い場合は、社労士に相談を。 - 夏以降の法改正の動向をチェックする
「夏以降に労働政策審議会で議論」とされているため、2026年下半期以降に具体的な改正案が出てくる可能性があります。
まとめ
今回の政府の議論は、「残業ルール」「裁量労働制」「変形労働時間制」について夏以降に本格的な見直し議論が始まることを示しています。法律違反なき「指導」の慣行も俎上に載っており、中小企業にとっても影響が出る可能性のある改革です。
「自社の労働時間管理は大丈夫?」「36協定の内容を見直したい」という方は、ぜひ西宮市の社会保険労務士事務所・武田社労士事務所にご相談ください。
(情報提供元:全国社会保険労務士会連合会 NEWS HEADLINE、2026年6月9日)

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