「発達障害や難病を抱えた人を採用したいけど、長く働いてもらえるか不安…」「障害者雇用に取り組みたいが、サポートにコストがかかりそうで踏み切れない」
そんな事業主の方に知っていただきたいのが、特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)です。
この助成金は、発達障害者や難病患者をハローワーク等の紹介で採用した事業主に対して、中小企業なら最大120万円を支給する制度です。
本記事では、西宮市の社会保険労務士・竹田シニア労務事務所が、この助成金の概要・対象者・支給額・申請手順をわかりやすく解説します。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースとは?
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、特定求職者雇用開発助成金のコースのひとつです。
発達障害者(自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など)や難病患者は、一般的な就職活動で不利になりやすく、安定した雇用につきにくい状況があります。この助成金は、そうした方々を積極的に採用する事業主を国が金銭的に支援することで、雇用機会の拡大を図ることを目的としています。
なお「難治性疾患患者」とは、厚生労働大臣が指定する指定難病(潰瘍性大腸炎、クローン病、パーキンソン病など)を抱えた方が対象です。
対象となる事業主の条件
この助成金を受給するためには、事業主が以下の要件を満たしている必要があります。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 対象労働者をハローワーク(公共職業安定所)または厚生労働大臣の許可を受けた民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 対象労働者を雇用保険の一般被保険者として継続雇用することが確実であると認められること
- 過去に助成金の不正受給などで支給停止処分を受けていないこと
なお、ハローワークを通じた採用が要件ですので、知人からの紹介や自社の求人サイト経由での採用は対象外となります。必ず事前にハローワークと連携した採用活動を行ってください。
支給対象となる労働者の条件
採用した従業員がこの助成金の対象になるには、以下の条件を満たす必要があります。
- ハローワーク等の紹介で雇い入れた発達障害者または難治性疾患患者であること
- 雇用保険の一般被保険者として雇い入れられること(週20時間以上の勤務)
- 65歳に達するまで継続雇用することが見込まれること
- かつ、2年以上継続して雇用することが確実であると認められること
週20時間未満のパートタイムや、雇用期間が短い場合は対象外となりますのでご注意ください。また、役員の親族などは対象外です。
支給額(企業規模・雇用形態別)
支給額は、事業主の企業規模と、対象労働者の労働時間によって異なります。
| 労働者の区分 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 通常労働者(週30時間以上) | 120万円 (2年間・1期30万円×4期) |
50万円 (1年間・1期25万円×2期) |
| 短時間労働者(週20〜30時間未満) | 80万円 (2年間・1期20万円×4期) |
30万円 (1年間・1期15万円×2期) |
支給は6ヶ月ごとに分割して行われます。中小企業の通常労働者であれば、6ヶ月ごとに30万円が最大4回支給(合計120万円)される仕組みです。
ただし、各支給対象期において対象労働者に支払った賃金額が上限となります。賃金の支払い実績が助成金額を下回る場合は、その賃金額が支給されます。
特例メニューについて
雇用後に職業訓練を実施し、かつ賃金引上げを行った場合には、通常の1.5倍の助成額が支給される特例メニューも用意されています。訓練と賃上げの取り組みを積極的に行う場合は、活用を検討してください。詳細はハローワークにご相談ください。
申請の手順
申請はおおむね以下のステップで進めます。
STEP1:採用前にハローワークに相談する
まず、採用を検討している旨をハローワークに相談し、対象者の紹介を受けます。この段階でハローワークの紹介状を受け取ることが、後の申請に必要です。自社で先に採用を決めてからでは対象外になりますので、必ず採用前に相談してください。
STEP2:対象者を採用する
ハローワーク等の紹介状を持った発達障害者・難治性疾患患者を、雇用保険の一般被保険者として採用します。雇用後は、勤怠記録や賃金台帳などを正確に保管してください。
STEP3:支給申請書を提出する(雇用後6ヶ月ごと)
雇い入れ日から6ヶ月経過後、管轄の労働局またはハローワークに支給申請書を提出します。申請書類は、ハローワークから送付されるか、電子申請システム(e-Gov)でも提出可能です。
令和8年4月以降は、賃金台帳の提出が必須となっています。提出が確認できない場合は不支給となりますので、必ず添付してください。
STEP4:支給決定・入金
審査が完了すると、支給決定通知が届き、指定口座に助成金が振り込まれます。これを最大4回(中小企業の通常労働者の場合)繰り返します。
令和8年4月からの変更点
令和8年(2026年)4月1日から、申請手続きに重要な変更が加わっています。
- 賃金台帳の提出が必須化:支給申請時に賃金台帳の添付が確認できない場合、不支給となります
- 令和7年4月から:雇用管理事項報告書の提出が不要になり、申請手続きがやや簡素化されました
書類の準備漏れが不支給につながるケースがありますので、申請前に必ず最新の申請様式と必要書類一覧をハローワークで確認されることをお勧めします。
まとめ:発達障害者・難病患者の採用に積極的に活用を
特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)のポイントをまとめます。
- 発達障害者・難治性疾患患者をハローワーク等の紹介で採用した事業主が対象
- 中小企業の通常労働者なら2年間で最大120万円が支給される
- 6ヶ月ごとに分割支給(中小企業・通常労働者は30万円×4回)
- 採用前にハローワークへの相談・紹介状の取得が必須
- 令和8年4月から賃金台帳の添付が必須化
発達障害や難病を持つ方の中には、適切な環境さえ整えれば非常に高い能力を発揮できる人材も多くいます。本助成金をうまく活用し、多様な人材が活躍できる職場づくりに役立ててください。
助成金の申請手続きや、採用に際して必要な就業規則・雇用管理体制の整備についてのご相談は、西宮市の竹田シニア労務事務所(社会保険労務士)にお気軽にお問い合わせください。

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