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突然の懲戒処分は無効!?「注意指導なし」で懲戒が取り消された大阪地裁判決から学ぶ懲戒手続きの正しい進め方


「問題のある社員を懲戒処分にしたいが、いきなりやっていいのか?」

「注意したことが証拠として残っていないと、処分が取り消されるの?」

そんな悩みを抱える経営者・人事担当者の方に、ぜひ知っておいてほしい裁判例があります。

2026年4月、大阪地方裁判所が下した判決は、「事前の注意指導を経ずに行った懲戒処分は無効」という内容でした。この判決は、多くの企業に共通する落とし穴を示しています。

何が起きたのか――門真市職員の懲戒処分事件

大阪府門真市の職員2人が、勤務時間中に組合活動を行っていたとして、市から減給・戒告処分を受けました。職員らはこの処分の取消しを求めて裁判を起こしました。

問題のポイントは次の点にあります。

  • 市は、職員らの勤務時間中の組合活動が「適法でない可能性がある」と5カ月以上前から把握していた
  • しかし、市は5カ月以上もその活動を止めなかった
  • 職員らは「黙認されている」と受け取っていた
  • その後、突然、懲戒処分が行われた

大阪地裁の判断――「信義則に反し無効」

大阪地方裁判所(中島崇裁判長)は、この処分を無効と判断しました。その理由は次のとおりです。

  • 市は問題ある行動を長期間放置しており、職員に「許されている」と認識させていた
  • 職員らの認識を正す(注意・指導する)機会を与えなかった
  • 非違行為が積み重なるのを待ってから懲戒処分を行ったことは「信義則に反する」

つまり、「問題だとわかっていたのに放置し、後から突然処分するのはフェアではない」と裁判所は判断したのです。

「信義則」とは何か?

「信義則(しんぎそく)」とは、「互いに誠実に行動しなければならない」という法律上の原則です(民法第1条第2項)。

簡単にいえば、「相手が信頼して行動しているのに、それを裏切るような処分は許されない」ということです。

今回の事件では、市が長期間黙認してきたために職員に「許可されている」という認識が生まれており、その信頼を突然裏切る形での懲戒処分は、信義則違反とされました。

事業主が学ぶべき3つの教訓

① 問題行動を放置しない

「まあいいか」と見て見ぬふりをしていると、後から処分しようとしても「黙認していた」と判断されます。問題が起きたら、できるだけ早期に対応することが大切です。

② 注意指導は記録として残す

口頭での注意だけでは証拠が残りません。注意書・始末書・面談記録など、書面で指導した事実を残すことが重要です。これが後の懲戒処分の正当性を支える証拠になります。

③ 段階的に対応する(軽い処分から)

懲戒処分には段階があります。一般的には次のような順序で対応します。

  • 口頭注意・書面注意(非公式・公式の指導)
  • 訓告・厳重注意(記録に残る注意処分)
  • 戒告・減給・出勤停止(正式な懲戒処分)
  • 降格・諭旨解雇・懲戒解雇(重大な違反に対する処分)

いきなり重い処分を下すと、「均衡の原則」(処分の重さが違反の程度に見合っていること)に反するとして無効になる可能性があります。

まとめ:懲戒処分の前に必ず注意指導を

今回の大阪地裁の判決は、懲戒処分を行う際の「手続きの大切さ」を改めて教えてくれます。

問題行動を把握したら、放置せずに速やかに注意・指導し、それでも改善しない場合に処分へと進む——この流れが法的にも合理的にも正しい対応です。

「この社員をどう対処すればいいか」とお悩みの場合は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。書面の整え方から処分の判断基準まで、具体的にアドバイスいたします。


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