「男性にも育休を取ってほしいけど、現場が回るか心配…」「育休取得を後押ししたいが、何から始めればいい?」
こうした悩みを抱える経営者・人事担当者に、ぜひ知っておいてほしいのが「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」です。男性社員が育児休業(産後パパ育休)を取得した場合、事業主に対して最大30万円が支給される制度です。
本記事では、西宮市の社会保険労務士が制度の概要・助成額・申請要件・手続きをわかりやすく解説します。
産後パパ育休(出生時育児休業)とは?
2022年10月から施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)取得できる育児休業の特別な制度です。
従来の育児休業とは別に取得でき、2回に分割して使えるのが特徴。男性が育休を取りやすくなるよう設計されています。
| 制度 | 取得時期 | 期間 | 分割 |
|---|---|---|---|
| 産後パパ育休 | 子の出生後8週間以内 | 最大4週間(28日) | 2回まで |
| 育児休業 | 子が1歳になるまで(最長2歳) | 最大約1年 | 2回まで |
産後パパ育休と育児休業は合計すると最大で1年以上の取得が可能です。
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)の概要
この助成金は、男性労働者が産後パパ育休・育児休業を取得できる職場環境づくりに取り組んだ事業主に対して支給されます。
従来の「子育てパパ支援助成金」を引き継ぐ形で設計されており、中小企業(常時雇用する労働者が300人以下)が対象です。
2026年度(令和8年度)の助成額
| 取得者 | 通常 | 雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合 |
|---|---|---|
| 1人目 | 20万円 | 30万円 |
| 2人目 | 10万円 | 10万円 |
| 3人目 | 10万円 | 10万円 |
さらに、育休取得実績を厚生労働省の一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)で公表した場合は1人につき2万円が加算されます。
例:1人目取得で最大措置を実施し、公表も行った場合 → 30万円+2万円=32万円
申請のための3つの要件
①男性労働者の育休取得要件
対象となる育児休業等の取得要件は、取得する人数によって異なります。
- 1人目:子の出生後8週間以内に、連続5日以上(所定労働日4日以上)の育休を取得
- 2人目:同様の期間内に、連続10日以上(所定労働日7日以上)の育休を取得
- 3人目:同様の期間内に、連続14日以上(所定労働日11日以上)の育休を取得
②雇用環境整備措置の実施要件
育休取得前に、以下の措置のうち必要数を実施する必要があります。
- 育児休業に関する研修の実施
- 育児休業に関する相談窓口の設置
- 育児休業取得事例の収集・提供
- 育児休業制度・育児休業取得促進に関する方針の周知
- 業務配置の見直し・代替要員の確保等の体制整備(1人目は不要)
必要な措置数は、取得者が1人目なら2つ以上、2人目なら3つ以上、3人目なら4つ以上です。
③事業主の要件
- 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業
- 雇用保険適用事業主
- 育児・介護休業法に違反していないこと
- 育児休業等支援コース等、他の関連助成金との重複受給はできない場合あり
申請の流れ(ステップ別)
STEP 1:雇用環境整備措置を実施する
育休取得前に、必要な雇用環境整備措置(研修、相談窓口設置など)を実施します。就業規則・社内規定の整備も行いましょう。
STEP 2:男性社員が育休を取得する
対象の男性労働者が、産後パパ育休または育児休業を取得します。取得開始日・終了日の記録を必ず残してください。
STEP 3:育休終了後2か月以内に申請する
育休終了日の翌日から起算して2か月以内に、管轄の都道府県労働局またはハローワークに支給申請を行います。
申請に必要な主な書類:
- 支給申請書
- 育休取得計画書
- 雇用環境整備の措置を確認できる書類(研修実施記録、相談窓口周知資料など)
- 育休取得確認書(出勤簿・賃金台帳等)
申請する際の注意点
育休中の社会保険料免除との組み合わせ
産後パパ育休取得中は、要件を満たせば健康保険・厚生年金の社会保険料が免除されます。助成金と社会保険料免除を合わせて活用することで、事業主の負担を大幅に軽減できます。
雇用保険の育休給付との関係
男性社員が産後パパ育休を取得すると、本人(労働者)には雇用保険から出生時育児休業給付金が支給されます(原則、休業前賃金の67%)。これは助成金とは別の制度であり、重複して受給できます。
公表加算を活用する
「両立支援のひろば」(厚生労働省のサイト)に育休取得実績を公表することで、1人あたり2万円の加算が受けられます。手続きは比較的簡単なので、積極的に活用しましょう。
まとめ
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性社員の育休取得を後押しするための手厚い支援制度です。
ポイントを整理すると:
- 中小企業(300人以下)が対象
- 1人目の取得で最大30万円(措置4つ以上実施の場合)+公表加算2万円
- 育休取得前に雇用環境整備措置を実施することが条件
- 育休終了後2か月以内に申請が必要
男性育休の取得促進は、優秀な人材の確保・定着にもつながります。助成金を活用しながら、働きやすい職場環境づくりを進めましょう。
申請要件の確認や書類準備のサポートは、当事務所にお気軽にご相談ください。

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