「ハローワークから生活保護を受けている方を紹介されたが、採用後のサポートはあるの?」
「生活困窮者の採用を検討しているが、人材定着に不安がある。助成金は使えないの?」
こうした疑問をお持ちの事業主の方に知っていただきたいのが、特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)です。
この助成金は、就職に困難を抱える生活保護受給者や生活困窮者を雇い入れた事業主に対して、最大60万円を支給する制度です。人材不足に悩む中小企業にとって、採用コストを抑えながら社会貢献もできる一石二鳥の制度といえます。
今回は、この助成金の概要・対象・支給額・申請方法について、社労士がわかりやすく解説します。
特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)とは?
この助成金は、厚生労働省が設けた雇用促進のための支援制度で、就職が特に困難な方を採用した事業主に支払われます。
生活保護受給者や生活困窮者は、長期間にわたって就労から離れていたり、さまざまな生活上の課題を抱えていたりするため、一般的な採用活動だけではなかなか就職機会を得られません。この助成金は、そうした方々の就労機会を広げるとともに、採用した事業主の経済的な負担を軽減することを目的としています。
なお、よく似た名称の「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」は高齢者・障害者・母子家庭の母などが対象ですが、本コースは生活保護受給者・生活困窮者に特化した別のコースです。
どんな事業主が対象?
以下の要件を全て満たす事業主が対象です。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって対象労働者を雇い入れること
- 対象労働者を雇用保険の一般被保険者として継続雇用することが確実と認められること
- 対象労働者の65歳到達まで継続して雇用し、かつ雇用期間が2年以上であること
業種・規模の制限はありませんが、過去に助成金の不正受給があった事業主や、労働関係法令の違反がある事業主は対象外となります。
対象となる労働者は?
次のいずれかに該当し、ハローワークまたは地方公共団体で3か月を超える就職支援を受けている方が対象です。
- 生活保護受給者(福祉事務所等で就労支援を受けている方)
- 生活困窮者(生活困窮者自立支援制度の認定就労訓練事業を修了した方など)
単に「生活保護を受けている」というだけでなく、ハローワークや支援機関での就職支援実績が必要な点に注意が必要です。採用前にハローワークに確認することをお勧めします。
支給額はいくら?
支給額は、雇い入れた労働者の雇用形態と企業規模によって異なります。
| 対象労働者の区分 | 中小企業 | 大企業 | 助成対象期間 |
|---|---|---|---|
| 短時間労働者以外(週30時間以上) | 60万円 | 50万円 | 1年間 |
| 短時間労働者(週20時間以上30時間未満) | 40万円 | 30万円 | 1年間 |
支給は6か月ごと(2回に分割)で行われます。つまり、中小企業でフルタイム採用の場合、6か月ごとに30万円ずつ、合計60万円が支給されます。
また、対象労働者に対して訓練を実施したうえで賃金を引き上げた場合、通常の1.5倍の助成が受けられる可能性があります。積極的な人材育成を行う事業主にとってはさらにお得な制度です。
申請の流れ
申請は以下の手順で進めます。
- 事前確認・求人票の作成:採用前に管轄のハローワークに相談し、対象者であるかを確認します。
- ハローワーク経由での採用:対象者はハローワークまたは民間の職業紹介事業者等を通じて紹介を受ける必要があります。
- 雇用開始:対象者を雇用保険の一般被保険者として雇い入れます。
- 支給申請書の提出:雇用から6か月経過後、各支給期の末日から2か月以内に管轄の都道府県労働局またはハローワークへ申請します。電子申請にも対応しています。
- 支給決定・入金:審査後、支給が決定されます。
申請期限を過ぎると受給できなくなりますので、スケジュール管理が重要です。
申請にあたっての注意点
- 支給対象期中に対象労働者が離職した場合は、その期の助成金は支給されません。
- 事業主都合で離職させた場合は、その後3年間、同助成金を受給できなくなります。
- 令和8年4月以降は、賃金台帳の電子申請での提出が義務化されています。事前に電子申請の準備を進めておきましょう。
- 同一の労働者について、他の雇用関係助成金と併給できない場合があります。
こんな事業主にとくにおすすめ
この助成金は、次のような状況の事業主に特に向いています。
- 人手不足が深刻で、幅広い層から採用したいと考えている
- 採用コストを抑えながら、社会貢献にも取り組みたい
- ハローワークと連携した採用活動を行っている
- 長期的な人材育成・定着に力を入れたい
特に介護・清掃・運輸・小売など、慢性的な人材不足に悩む業種で活用が進んでいます。
まとめ:採用で社会貢献しながら最大60万円を受給できる
特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)のポイントをまとめます。
- 生活保護受給者・生活困窮者をハローワーク経由で採用した事業主が対象
- 中小企業なら最大60万円(フルタイム)が1年間で支給される
- 支給は6か月ごと2回に分割して行われる
- 訓練と賃上げを組み合わせると1.5倍の助成も
- 電子申請に対応、ハローワークに相談しながら手続きを進める
この助成金は、採用難の解消と社会的困難を抱える方の自立支援を同時に実現できる制度です。採用をご検討の際は、ぜひハローワークや社会保険労務士にご相談ください。
西宮市・兵庫県で助成金の申請手続きや労務管理でお困りの事業主様は、社労士事務所SR竹田(srtakeda.com)までお気軽にお問い合わせください。

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