「障害者雇用を検討しているが、自社でうまく働いてもらえるか不安…」
そんな悩みを抱える中小企業の経営者・人事担当者の方に、ぜひ活用していただきたい制度があります。
それが、トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース)です。
この制度は、就職が困難な障害者をハローワーク等の紹介で「まずは試しに雇ってみる」仕組みを活用した事業主に、月額最大8万円(最長6か月間)を支給するものです。障害者雇用の法定雇用率(2026年7月からは2.7%)を満たすうえでも、採用リスクを軽減できる使い勝手のよい助成金です。
トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)とは?
障害者トライアルコースは、就職に困難を抱える障害者をハローワーク等の紹介で試行雇用(トライアル雇用)した事業主に助成金を支給する制度です。
トライアル期間(原則3か月)を通じて求職者の適性や業務遂行能力を見極めながら、双方の相互理解を深めることで、障害者の早期就職と安定した雇用を実現することが目的です。
なお、テレワークによる勤務を行う場合は、トライアル雇用期間を最長6か月まで延長することができます。
対象となる労働者の要件
障害者トライアルコースの対象となるのは、次のすべてを満たす障害者です。
- 継続雇用を希望しており、トライアル雇用制度を理解した上で希望している
- 障害者雇用促進法に規定する障害者であって、以下のいずれかに該当する:
- 紹介日において就労経験のない職業への就職を希望する
- 紹介日前2年以内に2回以上の離職または転職がある
- 紹介日前6か月を超えて離職している
- 重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者
「重度の障害がある方だけが対象」ではなく、就労経験のない方や長期離職者も対象になる点がポイントです。障害の種別を問わず、幅広い方が対象になります。
支給額はいくら?(障害者トライアルコース)
支給額は対象労働者の種別によって異なります。
| 対象者の区分 | 支給額(月額上限) | 支給期間 | 最大受給額 |
|---|---|---|---|
| 精神障害者 | 最初の3か月:月額8万円 次の3か月:月額4万円 |
最長6か月 | 36万円 |
| 上記以外の障害者 | 月額4万円 | 最長3か月 | 12万円 |
精神障害者については、雇用定着が難しいケースが多いことから、最初の3か月は月8万円と手厚い支援が受けられます。複数名同時に採用した場合は、その人数分の助成金を受給できます。
障害者短時間トライアルコースとは?
障害者短時間トライアルコースは、精神障害者・発達障害者に特化したコースです。通常のトライアルコースが「週30時間以上」を前提とするのに対し、このコースでは週10時間以上20時間未満の短時間勤務からスタートします。
精神障害者・発達障害者の中には、体調の波があり、最初から長時間勤務が難しい方もいます。このコースは、そうした方が職場に徐々に慣れながら、最終的に週20時間以上の勤務を目指すことを支援するものです。
対象者
継続雇用を希望する精神障害者または発達障害者で、短時間トライアル雇用制度を理解した上で希望している方。
支給額(障害者短時間トライアルコース)
| 支給額(月額上限) | 支給期間 | 最大受給額 |
|---|---|---|
| 月額4万円 | 最長12か月 | 48万円 |
通常のトライアルコースと比べて最大12か月と支援期間が長いのが特徴です。職場定着までの期間を十分に確保できます。
雇入れの条件・注意点
両コース共通の条件として、以下が必要です。
- ハローワーク等の紹介による雇用であること(自社への直接応募はNG)
- トライアル雇用等の期間について雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと
- 雇用関係助成金共通の要件(計画的な雇用管理など)を満たすこと
また、過去に同じ職場でトライアル雇用を経験した方や、直近1年以内に解雇・退職勧奨を行っていた場合などは対象外となることがあります。事前にハローワークへ確認してください。
申請の流れ
- 求人票の作成・提出:ハローワークに障害者トライアル雇用対応の求人を提出する
- 紹介・面接:ハローワークから対象者の紹介状が発行される
- 実施計画書の提出:採用内定後、ハローワークに「トライアル雇用実施計画書」を提出する
- トライアル期間開始:試行雇用を開始(障害者短時間コースは3〜12か月)
- トライアル終了後に申請:「トライアル雇用助成金支給申請書」を労働局・ハローワークへ提出
- 支給:審査後、指定口座に振込
電子申請にも対応しています。障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコースいずれもオンラインで手続きを進めることが可能です。
こんな場面で活用できます
- 障害者雇用を初めて検討しているが、どんな業務を任せればよいか不安な場合
- 精神障害者・発達障害者を採用したいが、本人のペースで慣れてほしい(短時間コース)
- 法定雇用率の達成に向けて障害者雇用を進めたいが、採用ミスマッチを防ぎたい場合
- 職場定着率を高めるため、慎重に採用したい場合
試行期間中に業務適性や職場環境とのマッチングを確認できるため、お互いにとって安心して始められるのがこの制度の最大のメリットです。
まとめ
| 項目 | 障害者トライアルコース | 障害者短時間トライアルコース |
|---|---|---|
| 対象者 | 就職困難な障害者全般 | 精神障害者・発達障害者 |
| 週所定労働時間 | 30時間以上 | 10時間以上20時間未満→20時間以上を目指す |
| 最大支給額(月額) | 8万円(精神障害者)/4万円(その他) | 4万円 |
| 最長支給期間 | 6か月(精神障害者)/3か月(その他) | 12か月 |
| 最大受給額 | 36万円(精神障害者)/12万円(その他) | 48万円 |
障害者雇用は、単に法定雇用率を満たすためだけでなく、多様な人材が活躍できる職場づくりにもつながります。トライアル雇用を活用することで、企業側も求職者側も安心してスタートを切ることができます。
「自社でトライアル雇用助成金を使えるか確認したい」「障害者雇用の手続きを一緒に進めてほしい」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
西宮市の社会保険労務士事務所として、助成金申請・障害者雇用のサポートを丁寧に行っています。

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