「外国人スタッフを雇ったが、言葉の壁でトラブルが絶えない…」「就業規則を外国語に翻訳したいが、費用が心配」そんな事業主に活用してほしいのが、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)です。外国人労働者が安心して働ける環境を整備すると、1制度あたり最大20万円・合計最大80万円が支給されます。この記事では、兵庫県西宮市の社労士が、対象事業主・支給額・申請の流れをわかりやすく解説します。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは?
この助成金は、外国人労働者の職場定着を促進するために、就労環境の整備に取り組む事業主を支援する制度です。外国人労働者は労働法制の知識不足や言語の違いからトラブルが生じやすく、離職リスクも高い傾向があります。厚生労働省は、事業主が自発的に就労環境を整備することで、外国人労働者が安定的に就業できる環境づくりを後押ししています。
根拠法令は雇用保険法第62条(雇用安定事業)であり、雇用保険に加入している事業主が対象です。
どんな事業主が対象?
以下の要件をすべて満たす事業主が対象です。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 外国人労働者(特別永住者および在留資格「外交」「公用」の者を除く)を雇用していること
- 「就労環境整備計画」を作成し、労働局の認定を受けること
- 計画実施期間終了後、外国人労働者の離職率が15%以下であること
- 過去3年間に労働関係法令の違反がないこと
業種・規模を問わず幅広い事業主が対象となります。外国人労働者が1人以上在籍していれば申請できます。
対象となる整備措置(5つのメニュー)
以下の5つの整備措置のうち、1つ以上実施することが要件です。複数実施するほど支給額が増えます(上限4措置・最大80万円)。
| 整備措置 | 内容 |
|---|---|
| ①雇用労務責任者の選任 | 外国人労働者の雇用管理を担当する責任者を選任し、定期的な面談等を実施する |
| ②就業規則等の多言語化 | 就業規則・雇用契約書・給与明細等を外国人労働者の母国語に翻訳する |
| ③苦情・相談体制の整備 | 外国人労働者が母国語で苦情・相談できる窓口(社内外)を設ける |
| ④一時帰国休暇制度の整備 | 一時帰国のための特別有給休暇制度を就業規則に定める |
| ⑤社内マニュアル・標識類の多言語化 | 作業手順書・安全標識等を外国語表記にする |
支給額はいくら?
整備措置1つにつき20万円が支給されます(上限4措置・最大80万円)。中小企業・大企業ともに同額です。
| 整備措置数 | 支給額 |
|---|---|
| 1措置 | 20万円 |
| 2措置 | 40万円 |
| 3措置 | 60万円 |
| 4措置(上限) | 80万円 |
支給は計画終了後1回のみ(継続支給なし)です。複数の措置をまとめて計画に組み込むことで、最大80万円を一括受給できます。
申請の流れ
- 就労環境整備計画の作成・提出:実施開始日の前日までに、管轄の都道府県労働局へ計画を提出し認定を受ける
- 整備措置の実施:認定された計画に従い、対象の整備措置を実施する(計画期間:最長1年)
- 計画終了後の確認期間:計画終了後、外国人労働者の離職率を確認する期間(6か月または1年)を設ける
- 支給申請:確認期間終了後2か月以内に、都道府県労働局またはハローワークへ支給申請書を提出する
- 支給決定・振込:審査後、指定口座へ振込
電子申請(GビズIDが必要)または書面での申請が可能です。
申請にあたっての注意点
- 計画提出が先決:整備措置の実施前に必ず労働局の認定を受けること。実施後に申請しても遡及は認められません
- 離職率の管理:計画実施後の外国人労働者の離職率が15%を超えると不支給になります。外国人労働者が少人数の場合でも注意が必要です
- 翻訳の質:就業規則等の多言語化は、専門家(翻訳会社等)による正確な翻訳であることが求められます。機械翻訳のみでは要件を満たさない場合があります
- 書類の保管:整備措置の実施を証明する書類(翻訳物のコピー、責任者選任の辞令等)は必ず保管してください
- 他助成金との併用:同じ外国人労働者について、他のコースと同時申請する場合は要件の確認が必要です
こんな事業主にとくにおすすめ
- 製造業・建設業・介護業など、外国人労働者を積極的に採用している事業主
- 外国人スタッフのコミュニケーション問題や早期離職に悩んでいる事業主
- 就業規則を整備するついでに多言語化も検討したい事業主
- 安全衛生管理の面で、標識・マニュアルを多言語化したい事業主
- 外国人労働者の定着率を上げて、採用コストを削減したい事業主
まとめ
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)のポイントをまとめると:
- 外国人労働者を雇用し、就労環境の整備措置を実施した事業主が対象
- 5つの整備措置(雇用労務責任者の選任・就業規則の多言語化・相談窓口設置・一時帰国休暇制度・マニュアルの多言語化)のうち1〜4措置を実施
- 1措置あたり20万円・最大4措置で最大80万円
- 計画実施後の外国人労働者の離職率が15%以下であることが条件
- 整備措置の実施前に都道府県労働局へ計画を提出し、認定を受けることが必須
外国人労働者の受け入れを強化している事業主にとって、職場環境整備と助成金活用を同時に実現できる制度です。申請手続きや計画書の作成でお困りの場合は、西宮市の社会保険労務士(社労士)たけだリフテック社労士事務所にお気軽にご相談ください。

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